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この街の太陽は沈まない66

――Episode [-6 <アーチャー>――



┃ 7/10 22:04:41 ┃

「バーサーカー!」
アーチャーは後方支援として、セイバーがバーサーカーの元へと向かったあとも外で待機していた。そうしてバーサーカーが、事情はよくわからないが子どもがいると言うなり一人で乱戦のなかに突っ込んでいってしまったらしい様子を察し、思わず無線に向かって叫んだ。
抱え込むな、と言った矢先にこれだ。無鉄砲なところは相変わらずか。
「今はそれどころでは…ッ!」
『ガキが利用されたんじゃなく、UGFクリードを嵌めた組織の人間なら、なにか分かるかも知れねぇだろ!すぐに確保する!』
バーサーカーを止めようと声をかけるが、そう怒鳴り返されてしまった。だが言っていることは正論でもあったので、様子はああでも存外冷静なようだ。
『…仕方ない。アーチャー、外から様子を見ていてくれ』
「了解した」
中にはセイバーもいるし、少し離れたところには戦車隊を用意したライダーもいる。今は自分の勤めを果たすべきであろう。
アーチャーはそう判断すると工場のなかを器用に駆け抜けていくバーサーカーを目で追いながら、持っていてきたスナイパーライフルを構えた。そうしてバーサーカーを追いかけようとする者を見つけては、牽制としてその足元に縦断を叩き込んだ。工場内では銃撃戦が繰り広げられている、外からアーチャーが撃っていると気がつく者はいないだろう。


そうしてアーチャーは事態を見守り、通信からバーサーカーが保護した子ども共々狙われていることを知ると、その援護をすべくスナイパーライフルを手早く片付け、足早に工場の裏手へと向かったのだった。



「………ッ、遅いじゃあないか、ライダー」
アーチャーは膝を布で縛って止血しながら、少し荒れた息でそう笑う。ライダーがメアリー・リードに対して砲撃をしたのが確認できたからだ。直撃はさけただろうが、果たして生きているだろうか。
はぁー、と、無線の先から深いため息が聞こえてきた。
『はっ、雀蜂だかクマンバチだか知らねぇが、変なやつがうろちょろしてたんでよォ。セイバーがなるべく死なすなと言いやがって、』
『そりゃそうだろう、なるべく今は情報源がほしい。それに、あくまで殺害してもいいと許可が降りているのはUGFクリードだけだ』
セイバーの方も戦闘中だろうに、ずいぶんと余裕そうな声が聞こえてくる。相変わらず知略だけでなく戦闘にも優れている彼に、もはや嫉妬すらわいてこない。
『それがめんどくせぇって言ってるんでござるよ!!』
「セイバー、君は一人で平気なのかね」
『ライダーが気前よく2台寄越してくれたからね、大丈夫だよ。今ちょうどヘクトールと対峙していてね、流れ弾を恐れてか雀蜂しか手出ししてこないからなんとなっているよ』
「それは…大丈夫と言えるのかね?!」
『まぁ、彼は強いが、綺麗な型だ。なんとなるよ』
「ならいいが…」
アーチャーはそう言い、予備部品の銃身を支え木がわりにして太股とふくらはぎを固定した。撃たれた膝は動かせない。本来は骨折した足にやる手当てだが、膝を動かさないようにするためにはちょうどいいだろう。
アーチャーはしっかり固定されたのを確認すると、片足だけで身体を起こし、メアリーの居場所を探った。それとほぼ同時に、アーチャーの護衛に来たらしい、多脚戦車が軽々とアーチャーの後ろに着地した。
ライダーの多脚戦車は蛸をモチーフにされている。吸盤のついた脚は簡単に壁をはって上がってこれる。
「おや、私にもつけてくれるのかね」
『はっ、いつものようにスカしてるが、足撃たれたんでござろう?足がわりにしろ、こっちは本戦車があるからな』
「…そうか、ではありがたく借りるとしよう」
アーチャーはそう言い、多脚戦車の胴体部分に飛び乗った。
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