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我が征く道は160

「(…………)」
「(いいの。貴女にそこまでされる筋合いはないわ。元々貴女は部外者なんだから)」
「(…それもそうだ、差し出がましいことをした)」
ドォン、と近くで爆発が巻き起こる。爆風が髪を揺らしたが、凪子は視線をそらすことなくイリヤスフィールを見つめる。
イリヤスフィールは凪子を見ないまま、ギルガメッシュをひたと見据えている。
「(バーサーカーは最強なんだから)」
「(………)」
「(私は、私の道を生きるわ。だからそこで見てなさい!)」
イリヤスフィールがそう言いきり回路を断ち切るのと同時に、バーサーカーが飛び出した。
一方的に断ち切られた弊害でビリッと痛みが走った頭を凪子は押さえながら、イリヤスフィールを目で追う。
「そう。……なら見届けよう、イリヤスフィール、君の生き様」
凪子はそう小さく呟き、両者の戦闘に合わせて移動するべく、静かに地面を蹴った。




 ――両者の戦いは長く続いた。
バーサーカーがよくもったと言うべきか。
ギルガメッシュも苦戦していると言うべきか。
だが構図がギルガメッシュの一方的な暴力であることには違いはない。この場を離脱するか、あるいは数回死ぬことを対価に肉薄して一気に決着をつけるか、そのどちらかしかバーサーカーに勝機はない。だがイリヤスフィールが近くにいる以上、後者の選択はできない。そして少しでも逃げる様子を見せるならば、ギルガメッシュはあの鎖を使ってバーサーカーを拘束するだろう。そうなったら最後、もう負けたも同然だ。

「(バーサーカーはヘラクレス。神性があるからギルガメッシュの鎖は有効だ。バーサーカーとして召喚されて武器があの斧剣しかないとなると…)」
凪子は渋い顔を浮かべながら戦況を見下ろす。イリヤスフィールには勝つ気があった。だが凪子から見ると、イリヤスフィールに勝ち目はない。
「(…まぁ、セイバーが召喚されたときみたいなどんでん返しがない、とは言い切れないのだけれども、と)」
流れ弾で破壊され落ちてきた天井を軽々と避ける。アインツベルン城は容赦なく破壊されていった。
イリヤスフィールが助けは不要といった以上、凪子にはただ見届けるしかすることがない。それしかできない。
たんっ、と跳躍して反対側の廊下に移動し、破壊の崩落から逃れる。
「(……どうなるかな)」
眉間を寄せたまま、凪子は階下を見下ろす。
バーサーカーはギルガメッシュの攻撃を弾き、避け、かわしていく。だが数が数だ、すべては捌けない。イリヤスフィールが近くにいるからなおのことだ。

イリヤスフィールが一人で離脱せず、バーサーカーの傍にいるのは、魔力的な意味で有利であることと、ギルガメッシュの狙いがイリヤスフィールの命であるからだろう。敵の狙いがサーヴァントでなくマスターである以上、ギルガメッシュはバーサーカーが一人になったらバーサーカーの相手などしないだろう。
非常に戦いづらい相手だろう。だが、バーサーカーは顔色を変えない。理性が飛んでいるという意味とは顔色もなにもないのだろうが、それでも。

バーサーカーは一際大きく吼えると、ギルガメッシュとの距離を縮めるべく地面を蹴った。
ギルガメッシュも表情を変えないまま、展開させた武器を容赦なく放つ。バーサーカーはイリヤスフィールを庇いながら、一太刀二太刀と弾いたが、弾き損ねた剣が一つ二つと突き刺さった。

我が征く道は159

タンタンッ、と軽やかにナイフを使いながら石壁をかけ登り、軽々と壁を乗り越える。壁の上で一度立ち止まり、辺りを見回す。そして上から爆発が巻き起こったので、凪子は城壁を再びかけ登った。
爆発で開いた穴から中を覗き込む。少し離れたところで、バーサーカーとギルガメッシュが戦っているのが見えた。
「(……。………、あ)」
呪文は予め発動させてきてはいるが、音をさせないように中に入り込む。そうして入ったところで、隅で震えている少年に気がついた。
くせのある青みがかった髪の毛と、どこか卑屈さが伺い見える顔。どこか見た覚えのある特徴だ。
「(どう見てもマキリの系統だな。つまり代理マスターになってた少年か。一応名目上、ギルガメッシュのマスターになってるから連れてこられたのか)」
哀れになるくらいガタガタと震えている少年―間桐慎二を凪子は一瞥し、両者の戦闘が見えるところまで出ていった。
「(…ッ)」
弾かれたギルガメッシュの攻撃が凪子の隣をかすめ飛んでいく。ギルガメッシュとバーサーカーは、広いバルコニーで戦闘を繰り広げていた。イリヤスフィールは相変わらずバーサーカーの傍らにいた。肩に乗り、恐れのない目でギルガメッシュを睨み据えていた。
「(…ただ、これは……)」
凪子は眉間を寄せた。

バーサーカーは強い。11度殺さねば倒せない上に、イリヤスフィールの言葉が正しければランクA以上の宝具攻撃でなければそもそも攻撃が通らない。おまけに一度殺された攻撃は二度と効かなくなるのだから、実質高名な宝具を持つ英雄が12人必要となるようなものなのだ。

だが、ギルガメッシュはさらに厄介だ。ギルガメッシュは原初の英雄。そしてその宝物庫には、ありとあらゆる財宝が―それこそ、その後の英雄が用いた武器の原典が収納されていた。つまりギルガメッシュは、ありとあらゆる宝具を持つ英雄とも言えるのだ。

そうなると、バーサーカーの優位性が一気になくなる。ギルガメッシュはランクA以上の宝具などいくらでも持っているだろう。ギルガメッシュはそれを投げつけ、バーサーカーを12度殺しさえすればいい。

「(イリヤちゃんが不利だな…。………、…)」
凪子は目を閉じ、少しの間考えたあと、ぱちり、と目を開いた。
「(イリヤスフィール!)」
「!」
イリヤスフィールが脳内に直接呼び掛けてきた、あの一瞬に繋がった時の回路を復元し、遡ってイリヤスフィールの脳内に侵入する。そうして彼女がしてきたように呼び掛ければ、びくり、とイリヤスフィールは一瞬反応を見せた。
凪子はそのまま、イリヤスフィールにも負担を与えないように繋がりを慎重に維持する。
「(……凪子?)」
「(呼んだでしょ。来たよ)」
「(……、そう)」
「(でも、私に観戦させたくて呼んだわけじゃないよね)」
「(………!)」
遠目に見えるイリヤスフィールが僅かに目を見開いたように見えた。凪子は流れ弾に当たらないように適度に動きながら、イリヤスフィールに呼び掛け続ける。
「(…仲良くしてくれたお礼だ。もし、助けて欲しいなら。助けるよ)」
「(…!でもそれ、貴女の流儀に反するんじゃないの?)」
「(流儀は通し、誇るものだけれど、従うものではないよ)」
「(…………ありがとう、気持ちだけ受け取っておくわ、星の旅人さん)」
「!」
凪子は少しばかり意外そうにイリヤスフィールを見た。

我が征く道は158

翌日。
昼に目を覚ました凪子は、布団がないのはさすがにアレだな、と思いながら借家から出ていた。
恐らく凛はイリヤスフィールに会いに行くはずだ。そう思い、とりあえずアインツベルン城に向かっておこうと思ったのだ。
「しっかしなぁ…イリヤちゃん動くかなぁ……うーんわっかんないなぁ…」
ぶつぶついいながら、閑散とした住宅街を抜けていく。

と、その時。

『凪子!!!!』

「ッ!??!!」
唐突に脳内に直接、イリヤスフィールの声が響き渡った。思わず耳をおさえ、辺りを見回す。
使い魔の姿はない。もちろんイリヤスフィールの姿もない。特に周辺に異変はないし、何か変わった様子もない。
だが確かに、頭のなかにイリヤスフィールの声がした。幻聴ではない。その手の類いのものは凪子には判別がつく。
「…まさか」
いやに切羽詰まったように聞こえたイリヤスフィールの声と、頭をよぎる嫌な予感。
凪子はチッ、と舌打ちをすると、勢いよく地面を蹴った。閑散とした住宅街とはいえ、人の目はあちらこちらにある。真っ昼間の住宅街のど真ん中で魔術はさすがに使いがたい。魔術を行使できそうなところまでは足で移動するしかない。
凪子はそのまま―とはいえ、人間にあるまじき足の速さで駆け抜けているのであるが―住宅街を走り抜け、人目のない路地裏へと駆け込むと、ダン、と勢いよく地面を蹴り叩き、そのままその場に現れた魔術陣の中へと姿を消した。



 それから少しして、アインツベルン城の中庭に、凪子の魔術陣が姿を見せた。そして、展開しきると同時に凪子がそこから飛び出す。
「ッ!」
ばっ、と辺りを見回した凪子は、飛び込んできた風景に思わず目を見開いた。

――アインツベルン城の中庭は、手入れされた花壇が色鮮やかに咲いていた。
今その中庭は無惨に荒らされ、なにか攻撃を受けたのかあちらこちらに派手に破壊されたあとが残っていた。そしてなにより。

「………」
凪子は、目の前に落ちていた、生首を拾い上げた。
虚ろな目が凪子の顔を映す。確か名前は、セラといったか。首を横に向ければ、あらゆる方向から剣や槍が突き立てられ、地面に縫い付けられたセラの身体があった。少し離れた場所には、やはり貫かれて絶命しているリーゼリットの死体があった。
「…ギルガメッシュ!」
凪子は思わず眉間を寄せた。
この惨情を引き起こしたのは間違いなくギルガメッシュだ。つまり、言峰の仕業に違いがない。

イリヤスフィールは大聖杯の起動に欠かせない小聖杯。そう難しく考えずとも、大聖杯の起動を目的としている言峰一派がイリヤスフィールを狙うことは明確だった。キャスターが一大勢力となり、相手にするのが厄介になった今、そしてキャスターがそのシステムを正確に把握する前に、小聖杯確保に動くことは妥当だった。

ドォン、と派手な音が背後から聞こえる。バーサーカーとギルガメッシュが戦っているのだろう。
凪子はそれに駆けつけるよりも前に、セラとリーゼリットの亡骸から突き刺さったものを全て引き抜き、二つの骸を並べて横たえた。二人の間に、ケーンのルーンを刻む。
松明、導き手を意味する、ルーンだ。
ぼっ、とルーンから炎が巻き起こり、二人の骸を包み込む。
「…………」
凪子は目を閉じ、数秒、黙祷を捧げたあと、音がする方向へと向かった。

我が征く道は157

凪子はちら、とキャスターたちの方を確認し、しばらくは何もなさそうだと判断したので、念のため作っておいたネズミのかたちに折った折り紙の使い魔をそっと放しその場をあとにした。


教会の外に出ると、冷たい風が髪を揺らした。あまり動かないようにしていたために固まった身体を回してほぐし、うーん、と背筋を伸ばす。
「…さぁすごいことになってきたな…これで一応形式的にはサーヴァント四人の同盟ができあがったってことになる。ランサーとイリヤちゃんはどう動くかな…多分言峰は生きてることを公表しないだろうし、んー、どんどんおかしなことになっていくね聖杯戦争。まぁ……」
ちらり、と後ろを振り返る。

アーチャーは必ずキャスターを裏切る。
そして裏切るときは、必ずキャスターを仕留めることができるタイミングを狙うだろう。
キャスターがそれだけの隙を見せるだろう、と考えられるタイミングは。

「(…そう考えると、恐らくそれは凛ちゃんが再戦を挑むタイミング。これだけボコボコにされてなお挑むというのは、キャスターも相手が愚かだと油断する。とはいえまぁ凛ちゃんもバカではないから、バーサーカーとランサーのどちらかを味方につけようとするだろうな。ランサーはどこにいるか分からんから恐らくバーサーカー。バーサーカー強いしね)」
色々と考えながら、凪子は教会をあとにする。新都のホテルだと教会にもアインツベルン城も遠いため、深山町で見つけて借りた借家の一軒家に向かいながら、取り出したコロッケを頬張る。
「(…ただ、イリヤちゃんがアーチャーの正体に勘づいているとなると、この状況で手助けするかな……なにより、誰かサーヴァントを連れてきたとしたら、アーチャーがそれこそ門番代わりになる。 そうなるとイリヤちゃんとバーサーカーをいなしてキャスターを殺しにいく、ってのは厳しいだろ……。ランサーならあるいは、アーチャーの煽りスキルでうまいこと掌で転がせそうではあるが、またランサーも強いからな…)」
ほっ、と、コロッケを食べて熱くなった口内を冷やすべく息を吐き出す。ついついアーチャーはどう動くのかを考えてしまう。

アーチャーの行動は、かなりの賭けだ。
アーチャーの作戦は、凛がほぼ先程と同じ状況でキャスターと再び対峙することが必要条件となる。その上で、恐らく凛が味方として連れてくるであろうサーヴァントをいなし、凛が殺されんとする、キャスターが一番油断するであろうタイミングにはその場に駆けつけなければならない。

凛がつれて来うるサーヴァントはランサーとバーサーカーしか残っておらず、どちらもかなりの強敵だ。凛が恐らくアーチャーの真意には気づいていない以上、どちらも手加減してはくれないだろう。そうなると、いなすことそれ自体が難しく、凛を助ける前にアーチャーが脱落する可能性もある。それこそ本来の目的を果たせなくなる確率も十分高い。
「(…まぁ、あの少年も凛ちゃんにぞっこんっぽいからな。アーチャーがまだ凛ちゃんにある種特別の思いを抱いていたとしても不思議じゃないが)」
鞄から取り出したペットボトルの水を、ぐい、とあおる。
ほう、と息をつくと、ちょうど借家についた。ポケットから家の鍵を取りだし、中にはいる。
「ふぅ」
家具もなにもない、長屋のような家の床に鞄をおき、ふすまを介した奥の部屋の和室にごろんと横になる。
「……相変わらず、アーチャーはよくわからん人間だわ」
そうぽつりと呟くと、枕がわりに新しいマフラーをくるくる丸めたものを、布団がわりにコートを上にはおり、凪子はそのまま目を閉じた。

我が征く道は156

契約が、切れる。
「(あれがキャスターの宝具か。契約を切り、無効化するといったところか。物が、というよりそのあり方が宝具になったタイプなのか。なるほどね)」
ルール・ブレイカー
あらゆる魔術効果を無効化する、対魔術宝具だ。
そうきたかーと様々な情報と展開に凪子がうんうん唸っていると、凛が咄嗟に身を翻した。一応、冷静さはまだ持っているらしい。このままここにいても死ぬだけだ。すぐさま撤退を判断したのは、好評に値する。
だが、その後ろにすばやく葛木が迫る。
「(…………無理だ)」
凪子がそう思ったまさにその時、士郎がバルコニーから飛び降りた。
「(お、おおいおいおい!)」
凪子は思わず身を乗り出す。
見ていられなくなったか、凛の絶対的不利を悟ったからか。飛び降りた士郎はそのまま凛を庇うように間に立ちふさがり、葛木の拳は凛の頭蓋ではなく、士郎の木刀を吹き飛ばした。
すばやく葛木が次の手を放つが、直前に双刀を投影した士郎がそれも弾き返した。
「(お、おぉやりよる。いやまぁぶっちゃけここでなにもしなかったら男が廃るとは思うけど…)」
「……手を出すとは分かっていたが、まさか飛び降りてくるとはな」
「(それな)」
思わず葛木に合いの手をいれてしまうが、あまりに不利だ。ただの人間にサーヴァントを倒すなど厳しすぎる。おまけに、どうやら士郎の方は肩に損傷をおっているようだ。怪我に慣れている猛者ならまだ耐えられようが、高校生程度では無理だ。
「(………まさか、アーチャーの奴、)」
「いいや、待ってくれキャスター」
そこまで見ていて、はっ、とある可能性に凪子が思い至ったとき、凛と士郎を始末しようと動きを見せたキャスターと葛木をアーチャーが止めた。
凪子は目を細め、渋い顔をする。
「(…確かにこの場でアーチャーの勝ち目はない。それはアーチャーの敗北だけでなく、凛ちゃんの命の危険も意味する)」
「言い忘れていたことがあってね。お前の軍門にくだるにあたって、一つ条件をつけたい」
「(すげーこの場で言い出すメンタル。でも、そういうことか…)」
アーチャーのやりたいことを察した凪子は深々とため息をつき、壁に背を預けた。

アーチャーに勝ち目はない。そして、凛の命の保証もない。
だが、アーチャーは士郎を殺すことが第一目標であるとはいえ、どうにも凛を勝たせようと、少なくとも生かすために努めている様子もうかがえていた。
この場で凛を生かすにはどうするべきか。凛は恐らく言葉での忠告では止まらなかったし、ここにきて逃走するのも難しい。

で、あるならば。

「条件ですって?」
「無抵抗でお前に自由を差し出したのだ。その代償として、この場では奴等を見逃してやれ。どのみちもうマスターとしても機能しない、殺す価値もないだろう」
「見逃せ?言動のわりには甘いのね、あなた」

キャスターにとっての、凛の命の価値をなくす。
あるいは、命に見合うだけの対価を自分が差し出す。

それをするには、キャスターの部下に成り下がるのが、一番可能性が高い。

キャスターの言葉に、アーチャーはわざとらしく肩をすくめた。
「私とて人の子だ。さすがに裏切った瞬間に主を殺した、では後味が悪い」
「へぇ?裏切り者の癖に、よくもまぁいけしゃあしゃあと。……いいわ、今回は見逃してあげましょう。けれど次はないわ。それでいいかしら?アーチャー」
「(あっまあまだよ〜君が甘いよキャスタ〜でもそういうとこ好きよキャスタ〜)」
「当然だ。この状況でなお戦いを挑むような愚か者なら、手早く死んだ方がいい」
「(…そんでもってワンポイントアドバイスか。いい部下をもったね凛ちゃん。ま…恐らく彼女はそこまで気付いていないんだろうけど、悲しいかなその方がアーチャーにとっても望ましい、か。痛々しい生き方するもんだね、どうにも……)」
「恨むのなら筋違いだぞ、凛。マスターとしてこの女の方が優れていただけの話だ。優劣が明確ならば、私は強い方をとる」
追い討ちをかけるような言葉だが、凪子にはそれが忠告にしか聞こえなかった。
「(守るべきものを守るために、そのものに憎まれようとも構わない。そんな在り方をしていたら磨耗するのは当然。でも、それに気付くことすらできない精神構造してたんだな、この男は)」
それは、あまりに、哀れだ。
「(磨耗してよかったな、アーチャー。…そう言いたくなるレベルだ)」
凪子は階段を上って逃げていく二人を見送ると、困ったように目を伏せた。
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