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我が征く道は90

さて、と、ギルガメッシュは意識を記憶へと巡らせる。
エアのことを知らないのに覚えていたように、このよくわからない儀のことも覚えているはずだ。これから何をするのか、確認せねばならない。
「…ほう、便利だな」
思い出すことに集中すれば、やることは簡単に思い出せた。

どうやらこの世界の騎士とやらは、一羽の鳥と対で存在するものであるらしく、最初にエアを呼ぶときに使った笛の音を介することで、鳥の視界を共有し、共に空を駆けるのだという。
無論、生誕と同時につがいとなった鳥であるとはいえ、視界共有まで可能とするには相当の鍛練を必要とする。また、この世界で騎士となるには、その技術の習得が必要不可欠となる。

鳥喚びの儀は、その技術を習得しているか、さらに鳥との連携をきちんと取ることができる人間であるかを確認する、いわば通過儀礼だ。
内容としては、鳥を操り、遠く離れた社に置かれた人形を回収してくる、というものだ。その道中は細かく入り乱れており、鳥との連携は勿論、両者の信頼関係も不可欠のものとなってくる。

幸いにして、あるいは当然というべきか、ギルガメッシュはその辺りの技術にはすでに長けている設定であるようだった。
「行け、エア」
そう軽く声をかけるだけで、エアは静かに、しかし素早く弾丸のように飛び立った。
ギルガメッシュはそれを見送りながら笛を構え、目を伏せた。
深く意識しすぎないようにしながら、覚えさせられている曲を身体に演奏させる。
すぐに目の前にエアの視界が広がった。おそらく多くのものはこうして視界を自由に動かせるものの身体のコントロールは鳥にあるという感覚に慣れず、苦労するのであろう。
だがそんなものは、ギルガメッシュには些末な問題だった。
「(……、あの森だったな)」
大した試練でもないのであるから、さっさと済ませるに限る。そう考えたギルガメッシュは、真っ直ぐに目的地へとエアを向かわせた。生い茂った森のなかを飛行するのは、大いに危険を伴う行為だ。だがエアもギルガメッシュを信用しているのか、ギルガメッシュの指示に従い、迷うことなく森へと飛び込んでいった。

 「(………む、)」
しばらく目的地に向け、エアに森のなかを飛ばさせていると、不意に殺気のようなものを感じた。
森に生息するモンスターの類いか、あるいは他の参加者からの妨害か。
「(………!)」
―ひとまずは、後者であったようだ。
上から急降下してきた黒い鳥を感覚だけで避けさせる。素早く周囲に目をやれば、左後ろにウェイバーの鳥が、右後ろに切嗣の鳥が見える。ウェイバーの鳥はこちらに向かってくる様子を見せているが、切嗣の鳥はまだ仕掛けてくる雰囲気はなさそうだ。
「(ふん、雑種どもが)」
ギルガメッシュはそうして妨害してくる様子を見せるライバルキャラに、呆れたように内心ため息をついた。
だが同時に、にやり、とした笑みを口元に浮かべる。
「(やれるものならやってみるがいい)」
ぐ、とエアは高く飛び上がり、本来のルートとは異なる、近道ではあるがより複雑な経路をとることになる方向へと方向転換した。
ギルガメッシュの指示によるものだ。優勝をとるために妨害しようというのであれば、それができないようにさせるだけだ、ということであるようだ。
また、近道とはいえより失敗の可能性の高い、危険なルートを選ぶことは、同時にウェイバー達を挑発してもいた。やれるものなら追ってこい、追ってこれないのであれば所詮その程度だ、と。
「(……ふっ)」
ウェイバーはその挑発に乗ったのか、その鳥はエアの後ろに続いた。

我が征く道は89

エアと呼ばれているらしいその鳥は、赤い毛をベースに、黒い毛によって描かれたラインを基調とした、確かに珍しい色合いの鳥であった。黒いラインに沿うようにところどころに金色のラインが走り、その長い尾には緑色の尾羽が一房、差し込まれている。目はターコイズを連想させる深い深い青色を埋め込んでいる。
「…見覚えのある色合いだな。嫌みのつもりか、あやつは」
首もとを擽ってやれば、嬉しそうにエアはギルガメッシュの指に頭を押し付けた。どうやらちゃんとなついているようだ。
色合いは誰かを彷彿とさせているようだが、そうしたエアの様子にギルガメッシュは満足げに微笑んだ。大人しく自らの手の上に鎮座するエアに、気をよくしたようだ。
「斯様な世界の序列に興味はない。が、だからと言って愚かな雑種に勝ちをくれてやる気もない。…我を失望させるなよ?エアよ」
にやと笑ってそう問い掛ければ、当然だというかのようにエアは高く鋭く鳴き声をあげた。



 「あ、ギル!見つかったんだね」
「げっ!」
エアを手に引き連れ、儀式の会場であるらしい広間へ向かえば、エルキドゥとウェイバーなど、参加者や関係者であろう人々が勢揃いしていた。
どうやらギリギリ間に合った、というところらしい。悔しそうな表情を浮かべているウェイバーに、ギルガメッシュは、ふっ、と鼻で笑うように笑みを浮かべて見せた。分かりやすく表情を変えるウェイバーに内心で笑いながら、ギルガメッシュはエルキドゥの言葉に対し肩を竦めてみせた。
「まぁな」
「よかった…」
「おや、無事に見つかったのか、それはなによりだ」
「!?んん゛、」
「お父さま!」
「ん゛ん゛ん゛っふ、ぶふっ、待て設定がキツい、げほっ、んっへ、」
そんな二人のもとへ、村長とおぼしき男が姿をみせた。エアがいなくなった話を聞いていたのか、安心したように微笑んでいる。エルキドゥはどうやら村長の娘という設定らしく、その男に向かって嬉しそうに声をかけている。
当のギルガメッシュは、その村長が自身のかつてのマスターである遠坂時臣であったため、耐えきれずに盛大に吹き出し、噎せていた。
「出場者も揃った、では、鳥喚びの儀を始めるとしよう」
「待て時臣、少し待て、」
「ほらギルはやく!」
「おい無視するな貴様ら」
噎せた勢いでまだ息苦しいギルガメッシュであったが、エルキドゥも時臣も唐突に噴き出して噎せているギルガメッシュを気にすることなく粛々とことを進めていってしまい、ギルガメッシュはエルキドゥに半ば引き摺られるように舞台へと連れていかれていったのであった。

 「これより鳥喚びの儀を始める!見事儀を果たした者には騎士学校の卒業が認められ、騎士見習いへとなることになる。また、同時に騎士の証である天ツ鎖も授与される。皆、不正など行わず、真摯に挑んでくれるものと思っている」
朗々と村長である時臣の声が広場に響く。ようやく噎せたのが収まったギルガメッシュは、ふむ、と少し高いところに立っている時臣を見上げる。
彼が知っている時臣より、少しばかり若いように見えた。
「(…あやつは時臣のことを知っていた。であるなら、アレは我の記憶だけでなく、あやつの記憶の影響もうけているのか)」
「では皆、準備はいいな」
「、と」
時臣の言葉に、ばさり、とエアが羽ばたいた。ぼんやり考え事をしている間に、儀が始まるらしい。
ちらり、と他の参加者に目をやれば、ウェイバーとその取り巻き二人が参加しているようだった。ウェイバーの鳥は茶色っぽく、セイバーのマスター、衛宮切嗣の鳥は白く、言峰の鳥は顔の回りだけどくろ模様に白くなっている、黒い鳥だった。

我が征く道は88

「エルキドゥ、そんな者に構うな」
「僕のどこがギルに甘いって?僕の目を見て言うといい!ほら!」
「うっ………」
「(顔が赤くなった。なんだ、ヒロインに惚れてて主人公に突っかかってくる脇役役かこやつ)」
「ふ、ふん!気付いてないなんて重症だな!それよりギルガメッシュ!鳥がいないんだってな?鳥がいなけりゃ鳥喚びの儀には参加できないぜ?急ぐことだな!」
「また三流な捨て台詞だな」
ギルガメッシュが見抜いた通り、どうやらエルキドゥに惚れているというキャラ付けをされているらしいウェイバーは、そう言い捨てて逃げ去っていった。後ろの二人は取り巻きポジションのくせにそのようにからかわれるのを見るのも面白いのか、やはりニヤニヤしたままウェイバーを追っていった。
ふん、と呆れたようにギルガメッシュは腕を組んだ。キャラ付けという設定がどうしても前提として存在し、意識してしまうので、怒りを覚えてもすぐに呆れに変わってしまう。主にその設定の無理さに。
「まぁ、わざわざ絡みに来た当たり、あいつらが犯人であろうな」
「え?」
「大方やつらが我の鳥を隠したのだろう」
「…そうか、その可能性は高いね。隠したとしたら昨日だ、昨日彼らを見てないか聞いてみよう」
「チュートリアルにしては長くないか…飽き始めたぞ…」
「行くよギル」
すでに面倒になってきたギルガメッシュはそうぼやいたが、聞こえているのかいないのか、エルキドゥはギルガメッシュの腕を引いて歩き始めた。

 そんなこんなで聞き込みの結果、どうやら鳥が閉じ込められたらしい場所は特定できた。また、モンスターが出るとかで、剣を持っていくように勧められ、練習用の剣を借り受けた。
「ようやくバトルのチュートリアルか」
そんなメタな発言をもらしながら、ギルガメッシュはその洞窟の前にたっていた。エルキドゥは途中で別れたので、近くにはいない。
「…」
ふぅ、と息をついて背に背負った剣を引き抜いた。お世辞にもいい剣とはいえない、安物の剣だ。だがしばらくは武器はこれしかないし、その武器と身一つで乗りきらねばならない。

ギルガメッシュは、決して動けない男ではない。というのは、普段武器を投げて攻撃している訳だが、肉弾戦が不得手なわけでは決してない、という意味である。その気になれば、セイバーとして召喚されているアルトリアと剣を交わすこともできないことはない。

だが、それでもかなりの能力を制限された状況下で、ゲームに出てくるようなモンスターと戦う、という経験は、生前も!サーヴァントとなった後も早々には体験していない。
凪子の言葉が正しければ、死んだところで消滅はしないのだろう。だが、気分のいいものではない。
「…さて、行くか」
ひゅっ、と剣を振り下ろし、ギルガメッシュは洞窟へ足を踏み入れた。
 そう長い洞窟ではないらしい。灯りの類いは持ってこなかったが、光が入っているらしく視界には困らない。
「…蝙蝠に……なんだあれは、スライムとかいうやつか」
ずんずんと豪快に歩を進めながら、所々で襲いかかってくるモンスターを容赦なく斬り捨てる。蝙蝠、ぶよぶよとしたなにか、ネズミを少し大きくしたようなもの、おおよそ雑魚キャラであろうものが洞窟には巣くっているようだ。
「…肩慣らしとはいえ、いささか軽すぎる敵よな」
道を塞ぐように立ちふさがっていた大きなスライムを切り刻み滅すると、ギルガメッシュはつまらなそうにそう呟いた。
ウォーミングアップにもならない。まぁ、こんな序盤から骨のある敵がいたらいたで、設定上無理があるだろうと突っ込みをいれていたのであろうが。
「…お前がエアか」
そこから少し進んだ洞窟の終点に、鳥籠に閉じ込められた赤い鳥がいた。
籠を破壊し、取り出してやれば、ふわりと飛び上がりギルガメッシュの差し出した手の上に静かに降り立った。

我が征く道は87

「あの赤いのかい?見てないな」
「今日の鳥喚びの儀、お前に賭けてんだ、頑張れよ!」
「見てないよー」
「まるで情報がないな…」
とりあえず、フラグが立っているならばそこから回収していくしかあるまい。
そう考えたギルガメッシュは、ヒロインに言われた通りに村の南で一先ず聞き込みを開始した。が、当然のごとくなにも情報が集まらない。千里眼でも使ってさっさと終わらせてしまおうか、とも考えたが、ご丁寧に千里眼すらも封じられていた。本当に、この世界では“騎士団見習い”程度の能力しか使えないらしい。
ふぅ、とギルガメッシュはエルキドゥと別れたところまで戻り、ため息をついた。じ、と辺りを見回すが、凪子の気配はまるでない。
「…(受肉しているサーヴァントとはいえ、ここまで能力を封じるとはな。無駄に生きているだけのことはある、ということか)」
「ギル!どうだった?」
凪子に対する評価をそんな風に改めていると、エルキドゥがやってきた。どうやら向こうも一通り聞き終えたようだ。
「…、……」
思わず、じ、とエルキドゥの顔を見てしまう。まさか、このような形でかつての友エルキドゥと顔を合わせるようなことになるとは思いもしなかった。
それがただの、ギルガメッシュの記憶を借りた再生に過ぎないものだとしても。ここではヒロインとしての役割にはめられ、確かに存在している。
それが面白いような面白くないような、複雑な気分だ。
「ダメだ。目撃者はいなかった」
「ん〜そっちもか…」
「見てないということは飛んでいないということだろう。どこか飛び立てぬところに落ちでもしたのではないか?」
「他人事みたいに…でも誰かに閉じ込められた、っていう可能性はあるかも」
「閉じ込められた?他の参加者のやっかみとでも?」
「ようギルガメッシュ!」
不意に、そんな風に声が投げ掛けられた。
びきり、とギルガメッシュの額に青筋がたつ。
「馴れ馴れしいぞ下郎が…!」
怒りも隠さずそちらを振り返る。武器は手元にないが、その気になれば拳ひとつで事足りる。
場合によってはくびり殺してくれよう、と、振り返ったのだが。
「…なんだその滑稽な面子は。設定に無理があろう…」
振り返った先には、随分と自信ありげにふんぞり返った少年と、どこか楽しそうにニヤニヤとした笑いを浮かべている青年…というには辛い、中年が二人。

全員に見覚えがある。少年はたしか、第四次聖杯戦争のライダーのマスターであったはずだ。名前は覚えていないが、忠義を示したその姿勢に見逃した覚えがある。
中年二人組の一人は第四次のセイバーのマスターだ。言峰がやけに執着していた上に、前回の最終決戦時にやたら不粋な邪魔をしてくれた男であったはずだ。
そして中年のもう一人は、なぜか言峰その人だった。

今このタイミングで突っかかってきた態度からして、恐らく主人公に嫉妬心を抱く同期だとか、いじめっこだとか、その辺りの設定なのだろうが、人選に問題がありすぎて怒りを通り越して呆れてくる。
ふん、と少年はまだ偉そうにふんぞり返っている。確かもっとおどおどとした男だったと記憶しているのだが。
「今日は鳥喚びの儀だな!だっていうのに、お前は練習もしないでエルキドゥとイチャイチャか?お前みたいなのが騎士学校の風紀を乱すんだ、恥を知れ!」
「よし殺すか…」
「誰が風紀を乱してるって?ウェイバー、なんなんだい君は、いつもギルガメッシュに絡んで!」
「エルキドゥはギルガメッシュにだけ甘すぎるんだよ!」
「おい我を無視して進めるな」
さっそく琴線を引きちぎってきた少年、ウェイバーにギルガメッシュは拳を作った。
が、そんなギルガメッシュが放つ殺気などまるで無視して、エルキドゥとウェイバーはわいわいと言い争いを始めるものだから、ギルガメッシュは頭がいたくなってきた。

我が征く道は86

「………で?」
「ウッワァ感傷もくそもない声色」
にべもなくずけっと言い放たれた言葉に凪子はそう返しながらも、傷ついた様子はない。感傷的になっているように見えたが、どうやらその辺りはもう慣れきってしまっているようだ。
ギルガメッシュもギルガメッシュでそうしたことにはさして興味がないらしく、つまらなそうに凪子を見、腕を組んだ。
「貴様の固有結界が特殊だということは分かった。で?なぜエルキドゥがいる」
「別にー。ここには何もない。だから景色だけ俯瞰するなら別にいいんだけど、ここに何がしかの存在を固定するには曖昧すぎるから、“設定”が必要でね」
「設定…世界の主というのはそういうことか」
「そ。今回は謎解き冒険ゲーム風に設定してみました〜。だからまぁ、別にエルキドゥ?さん?は、私が設定したんじゃないんだよね」
「何?」
「一番お前さんのなかで“命かけられるヒロインポジション”な人が出てきてるだけだよ」
「………」
ギルガメッシュはしばらくぽかんとした表情で凪子を見ていた。
そして――
「……っざけるなよ雑種ゥ!!」
「わー怒った」
ようやく合点がいったらしい、怒りを隠すことなく顔に出し、凪子の襟首をつかんで持ち上げた。
凪子は持ち上げられているにも関わらず楽しそうにカラカラと笑っている。ギルガメッシュは宝具が使えないからか、顔に浮かぶ苛立ちがどんどん色濃くなっていく。
「遊びが過ぎるぞ雑種!今すぐ変えろ!!」
「はぁー?!お前のなかで一番大事なんだろ照れんなよ、そんなこというと時臣にするぞヒロイン!!」
「何故そうなる!!!ヒロインとは女をさすものだろうが!」
「男がヒロインな作品も世の中にはあるんだよォ!まあそう怒るなよ、どうせヒロイン最初と最後しか出てこないから」
「どう考えても貴様パクっただろうゼ「それ以上はアカンてかなんで知ってんだよ」
凪子は諦めてくれる気配のないギルガメッシュに、はぁ、とため息をつき、ぱちん、と指をならした。
ぶるり、と大気が震える。
それと同時に、凪子を掴み上げるギルガメッシュの手元で火花が散った。
「っ!?」
痛みを伴ったのか、思わずギルガメッシュは凪子から手を離した。ギルガメッシュの手から逃れた凪子は、とんとんっ、と軽やかに後ろに跳躍し、距離をとる。
「残念だけど、始まった以上お前さんの意思では止められない。あぁ、わざと死んだりしてもダメよ、この結界から抜け出すには冒険をクリアするしかない」
「…!ちっ」
「前に私を攻撃したアレも使えないだろ?私の結界のなかでは、お前さんは“村の騎士団の見習いであった選ばれし勇者”でしかない」
ギルガメッシュは不愉快そうに凪子をしばらく睨んでいたが、少しして、はぁ、とあきらめたようにため息をついた。
「…厄介なことにそのようだな。鎧すら出せん」
「理解が早くて何より。あぁ、身体能力は制限してないし、現実世界とは時間の流れの早さを変えてあるから、そこんとこは安心して」
「ふん」
不愉快そうなままではあるが、サーヴァントとしての能力が全て封じられ、凪子の言う手段でなければ抜け出せない状況におかれていることをあっさり認めたらしい。ギルガメッシュは肩をすくめ、踵を返した。
「いいだろう、貴様の茶番に乗ってやる。その代わり、冒険とやらがつまらなかった時は覚悟しておけよ」
「その時は私がラスボスになってあげるよぉ。じゃ、行ってらっしゃい」
凪子は満足そうにそう言うと姿を消した。それと同時に、ギルガメッシュのまわりの世界も動き出す。
ギルガメッシュは、はぁ、とため息をついた。
「…さて、鳥を探すのだったな」
知らないはずなのに、その鳥のことを思い浮かべれば勝手にその姿が脳裏に現れる。
英雄王としての本来の人格の意識を取り返した以上、しばらくは違和感との戦いになるだろうが、それは致し方あるまい。
ギルガメッシュはさっさと終わらせるべく、鳥を探しにいった。
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