夏の陽射しの遠ざかり始めた兆しにて。
野に燃える様に佇み風に揺れる君の紅。
葉の時期には花も無く逆もまた然りと。
家に呼べば火事になると称されつつも。
故人の傍らに寄り添いて亡骸を見守る。
不吉な異名を幾つも身に連ねながらも。
彼岸と此岸との狭間に幽玄に咲き誇る。
限りある別れを経て廻る御霊の道標を。
その鮮やかに燃え上がる花弁に灯して。
時に身に宿る猛毒すらも糧として捧げ。
魂の「再会」を切望する言の葉を託し。
天上の花は地上にて静かに風に揺れる。
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【彼岸花の異名】
幽霊花・死人花・地獄花・剃刀花・捨子花・天蓋花・曼珠沙華(天界に咲く花)・リコリス・狐の松明・狐のかんざし・狐花・雷花・毒花・痺れ花・葉見ず花見ず他多数。
【彼岸花の花言葉】
『情熱』・『独立』・『悲しい思い出』・『再会』・『あきらめ』・『想うはあなた一人』・『また会う日を楽しみに』
写メ図解:彼岸花立姿。最盛期真只中。
(※実家前の小路にて。妖艶な炎の色)
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