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:†獄都事変短編夢奇譚・壱之後日†:




*獄都事変見切り発車短編夢小説です。
*前回の後日談と夢主設定の小話です。
*谷裂とのほのぼのしたやり取りが主。
*最後の方で獄卒達がごちゃってます←



【:†友愛なる戦友と語らう一時†:】



(お互いに気付かない振りをしている)
(そんな穏やかで細やかな相思の矢印)



―……とある日の午後の事。
報告書を纏めるのに必要な資料を図書室から借りた忌瀬が、談話室で書類作成を勤しんでいると、丁度其処に谷裂が現れた。
制服で無い処を見ると、谷裂はどうやら、今日は非番だったらしい。

「おい、忌瀬。少し良いか?」

「うん。大丈夫だよ。ちょっと休憩しようと思っていた所だから」

声を掛けられた忌瀬は、問いに答えて作業の手を止めると、谷裂を見遣った。

「それで、今日は如何したの?」

「別に如何と言うことは無い。ただ、前に任務帰りの治療で借りたハンカチを返しに来ただけだ」

「あぁ、あの時の……って、え?態々返しに来て呉れたの?貴重なお休みなのに?」

「だから、そう言っているだろ。あと、これも遣る」

忌瀬の問い掛けにぶっきらぼうに答えた谷裂は、簡素な装飾の施された箱を取り出すと、ハンカチと共に忌瀬に手渡した。

「そんな、気にしなくて良いのに……」

手渡されたハンカチ。それと共に受け取った箱を手にした忌瀬は、何処か申し訳なさそうに眉を下げ、淡く苦笑を浮かべる。

「誰だって、怪我をしていれば嫌でも気が立つものだよ。死なない獄卒でも生存本能は有るんだから、そこは仕方無いよ」

「……いや。例え仕方が無くとも、俺の納得が行かん。不可抗力とは言え、負傷したまま帰還した上にお前に当たる等、筋違いにも程が有るだろう」

確かに、忌瀬の言い分も一理ある。

しかし。自身の未熟さ故の弱さの矛先を仲間に向ける等、お門違いにも程が有る。
幾ら任務帰りで気が立ち、頭に血が昇っていようとも、誉められた事では無い。
治療を受けて冷静になった谷裂の頭を埋め尽くしたのは、忌瀬への罪悪感だった。

故に。謝罪と感謝の意を込めて。谷裂はこの場を借りて、忌瀬にバッと頭を下げた。

「……済まん。あの時は世話になった」

谷裂の言動に、忌瀬は思わず―黄緑の双眸をキョトンと丸くする。

「……ふふっ。どう致しまして。あれ?でも、あの時は谷裂君、『礼は言わないからな』とか言って無かったっけ?」

「や、喧しいっ!!例え親(ちかし)い仲間内でも、礼儀を欠かしたく無いだけだ」

口調を真似しながら揚げ足を取る様にからかう忌瀬に、顔を上げた谷裂の調子は―珍しいしおらしい姿から、いつもの頑ななものに戻っていた。

「兎に角、これで借りは返したからな」

「うん……あ。ねぇねぇ谷裂君。貰ったコレだけど、早速開けて見て良い?」

「ふん。好きにしろ」

「じゃあ、お言葉に甘えて……」

谷裂の言葉に促され、忌瀬はハンカチと共に渡された箱を開ける。

「……わぁっ!!風車(かざぐるま)の釵(かんざし)だぁ♪」

簡素な装飾を施された箱から出て来たのは、紫色と黄緑色と言う―二色の中間色で作られた風車の釵。風車の装飾の部分には、鉄線花の模様が施されている。それを見て手に取った忌瀬は、幼い少女の様な笑顔を咲かせた。

「うわぁ、素敵……て、あれっ?えっ?でも、何で釵??」

「……昔見習いだった頃に、縁日に行っただろう。その時に、お前が肋角さんに買って貰って喜んでいたのを思い出してな」

箱の中身(釵)に喜びながらも、頭上に疑問符を浮かべる忌瀬に対して、谷裂は若干答え難そうに説明を紡ぐ。それを聞いて、忌瀬は再び目を丸くして驚いた。

「えぇっ!?そんな大昔の事なのに、もしかして覚えていてくれたの?」

「お、お前に贈る物など、それと食い物以外思い付かなかったからな。気に入らなかったのなら、流石に済まないが……」

そう言いながら、忌瀬から視線を外す谷裂の横顔は、僅かに朱が差している。
そんな谷裂を見た忌瀬は、胸の内から込み上げて来る感情のままに―表情を綻ばせて嬉色の微笑を浮かべた。

「……ううん。そんな事無いよ。私嬉しいっ!!スッゴく嬉しいっ!!」

「そうか。ま、まぁ、肋角さんのとまではいかないが、お前がそれで良ければ好きにしろ。粗末にならん程度にはな」

「ふふっ、うん。大事にするね」

手に持った釵を大切そうに胸の前に抱え、忌瀬は是の意と共に大きく首肯する。
そんな忌瀬の笑顔に、谷裂は満更でも無さそうな笑みを浮かべていた……―。



(お互いに気付かない振りをしている)
(そんな穏やかで細やかな思想と日常)







※おまけ※


(↓二人の様子を影から見守る同僚の図)

「相変わらず、あの二人は仲が良いな」

「うん、そうだね。あれで付き合っていないとか……恋仲と言うよりも、何か熟年夫婦みたいだよね」

「ふぉ?じゃあ、とっととくっついた方が、二人には良いんじゃねぇの?」

「意識したらしたで逆に気まずく為りそうだからだろ。特に谷裂な。平腹の言うように、とっとと収まるトコに収まれば、見てるこっちも面倒臭くねぇんだけどな」

「う〜ん、まぁ。ここはあの二人を気長に待つしかないんじゃないかな」


(※会話の順番は、上から斬島→佐疫→平腹→田噛→木舌の順になってます。上司の肋角さんと災藤さんは都合により欠席しています申し訳ありません←)





……はい。後日談でした〜。何故か最近谷裂君プッシュ気味な燈乃さんです←
沼った当初は全然これっぽっちも掠りもしなかったのに、真面目過ぎて逆に弄りやすいからですかね谷裂君。いやぁ、ツッコミ苦労人で遊ぶのは楽しい楽しい♪(爆)

本当なら忌瀬が釵を着ける場面も有ったんですが、文字数を考慮して泣く泣く削る羽目に。そして、超個人的な話として『…』(←三点リーダー)の使い方が最近になって判明したと言う……正確には二個続き何ですよね。コレ。点一個なら三個打てば良いらしいですが、かなり衝撃的でした←
もう、意識し始めたら止まらない!!(爆)
今までの文章に発破を見舞いたいです←
まぁ、原稿用紙に記す際のマスの取り方的なものらしいですけど、違いとしては『……』≠『・・・』な感じらしいです。
私は『…』派なので、間の取り方が大分長くなりそうな……はい。文章構成は奥が深いですね……(遠い目)

……と言った所で↓から夢主設定です。


※獄卒夢主設定※
名前:忌瀬(キセ)

身長:170cm、体重:??

眼の色:黄緑色(木舌よりも明るい緑)
(※木舌が怪異すらも魅了する『エメラルド(緑)』なら、忌瀬はストレス緩和作用のある『ペリドット(黄緑)』なイメージ)

髪色/髪型:黒色/背中までの直毛ポニテ
(※勤務時は制帽の中に収納している)

外見:人間の十代後半くらいの顔立ち。
制服の造りは若干異なり、ズボンはハーフパンツ。上着の前は一緒だが、後ろがロングコートの様に長くなっており、長い部分は佐疫の外套と同じ仕様になっている。
(主に武器や医療品/非常食の収納場所)
足元は黒タイツとショートブーツ着用。
手袋は着けたり着けなかったり疎ら(笑)

武器:苦無(銘は『カゲヌイ』)
(※分裂したり影に潜ませたり追尾&発信器になったりと多機能仕様型の暗器)

性格:仲間思いで面倒見の良い(少々)世話焼きなお姉さん。ノリが良く明るい。
話術(言動)による先手・牽制・奇襲を得意とし、相手を言いくるめる(説き伏せる)のが得意。前世の記憶所持者。その生い立ちから、獄卒の中でも感情表現は豊かで、人間に近い感情を持っている(←※ちなみに生前は非人間であった模様)。

特殊能力:呪詛毒喰らい&結界構築
(※能力詳細は夢小説作品内にて記載)
主に仲間をサポートする為の技が多い。

設定:『特務室』に所属する数少ない女性獄卒(鬼女)。住まいは基本女子寮だが、能力が高いのを買われて肋角から助っ人(ピンチヒッターや増援)として召集を掛けられることが多い。任務から直帰出来無い時は、館の資料室か仮眠室で寝泊まりするのは最早日常茶飯事。非番の日でも(谷裂との鍛練や弟たちの相手や、キリカの作る食事を目当てに)居座る時がままある。

獄卒との関係性:木舌を実の兄の様に慕い(眼の色と気性繋がり)、谷裂(同期)を戦友として認め合い、基本的にやんちゃな弟達(斬島・佐疫・田噛・平腹)を時に見守りながら時に支え合い、大切な家族兼仲間兼同僚として可愛がっている。
(※呼び方は年上なら『さん付け』で敬語。年下なら『君付け』で素の口調です)

ちなみに肋角は上司兼父親。災藤は見習いの頃から上司兼直属の師匠筋に当たる。
(※どちらも忌瀬の尊敬する恩人である)

実は谷裂とは隠れ相思相愛(互いに自覚あり)の仲だが、業務上想いは告げていない。所謂戦友以上夫婦未満。異性よりも戦友(同僚)期間が長かった所為か、力関係の安定感が獄卒の仲間内でも半端無い(良い意味で)。なので、周りからは微笑ましい眼で見られている事が多い(主に上司's)。

※おまけ設定※
木舌が大酒飲みなら忌瀬は大喰らい。なので、この緑眼コンビ(兄妹)が絡むと色々と喧しい事になる。しかも自重しないので佐疫と谷裂からそれぞれお説教を喰らう。
『いっぱい食べる君が好き〜♪』は最早忌瀬の持ち歌である(笑)

底無しの食欲では無いが、能力使用時の燃費がよろしくないので食いしん坊万歳←


……はい。取り敢えず、現時点での設定はこんな感じです。後書きとかで追加設定とかが増えるかも知れませんが、それはまた後日と言う事で♪

次回は夢主(忌瀬)が任務を頑張るお話になる予定です。初っぱなからホラー強め←


ではでは、今回はこの辺で☆



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