シナモン先生を40歳ちょっとかなとマギーは想っていたけど、
月見草と欅は、まだ35歳くらいだろうと言いました。
若いからにしても、患者に寄り添う口の利き方じゃないって、二人の意見です。
診察に行く度にブーゲンビリアにヘルパーなことを確かめて、
マギーにはあまり話し掛けないシナモン先生に、何度目かにとうとうマギーが、
「先生、患者は私ですけど…」
と笑いながら言ったのをここに書いたのを憶えてくれていますか?
シナモン先生はきっと、全盲の患者の扱い方が分からないんだろう。
これまでに来た全盲の患者に戸惑った経験があるんだろう。
それなら、マギーから彼女にもっと近付き、安らぎを与えてあげなきゃ。
そうもここに書きましたよね。
それこそマギーの独りよがりの空回りだったんでしょうか。
何だか空しいです。
先にも書いた様に、昨日はマギーにお付が3人。
お姫様気分ならいいのに、それが違うんだな。
シナモン先生はいつもに増して一方的で切り口上。
手術するから詳細を訊けって前回、ケースワーカーに回したじゃない。
ケースワーカーからも、身元保証人とか病室の希望とか問われたじゃない。
それが今回は、いきなり延命治療の相談かい!
家を出る前の檜の意気込みは何処へ行った?
ただシナモン先生の言い分を黙って聴くだけ。
勿論、手術について檜は色々質問するつもりでいたから、出鼻をくじかれたのよね。
手術ではなく、このまま投薬治療を続け、最後は延命治療に切り替えるかって。
保ってもマギーの命は2年。
前回1センチと言ったのに、今日は2センチに癌は成長していた。
たった1ヶ月でかい?
マギーの癌は異性が良いね。
癌は小さい方だけど、マギーの肝臓がそれに耐えられない、とシナモン先生。
ん? そんなに弱っていたのなら、もっと前に話せよな。
「マギーはこんなに元気ですけど、今更ですか?」
思わず明るく質問してしまうのがマギーの悲しい定め。
おい、シナモン先生、前回と言うことが全く違うじゃん。
後2年?
ま、それならそれで人生楽しむか。
昨日の診察予約時間はいつもより1時間遅れ。
だから、いつもはあまり乗らない別コースのバスで病院へ。
手指の消毒とおでこの検温を通貨して、直ぐ採血に。
今日はいつもより多めに取ります、と座った途端に検査技師(?)に言われました。
注射針を挿入するのが上手だったから、許してあげましょう。
いえ、血の気の多いマギーが、後で医師に噛み付かないように用心したのかも。
はい、後で話すけど、檜や事業所の代表と一緒に聴いた話には、呆れただけでした。
そう、昨日はマギーのガイドでブーゲンビリア、檜には月見草、
そしてシナモン先生言う所の、マギーのキーパーソンの欅も一緒でした。
3人は診察時間に合わせて、後から別に病院に来てくれたんですけど。
ともあれ、採血の後は病院の食堂でブランチ。
いつものお粥モーニングを止めて、今日はベーコンエッグとバタートーストに。
ブーゲンビリアもマギーも、何となく無口でした。
雨は意外と早く降って来ました。
ブーゲンビリアと待ち合わせの駅までのバスに乗る為に家を出た所で。
駅から総合病院へ向かう別のバスでは、雨がかなり大降りになりました。
濡れた道はステーキを焼く時みたいに美味しい音をたてます。
バスの窓のワイパーが行き来する音は眠気を誘います。
昨日は耳が良く聞こえるのが不思議なくらいでした。
右耳は朝から耳鳴りが大きかったのに。
それって、神様が(もし本当にいるんなら)、
これからマギーにが聴かされる重大発言への優しさだったんでしょうね。