背伸びして棚から新しいトイレットロールを取り出しました。
それをホルダーにセットしてる時、パタッと言う音がしたような。
もしや? はい、もしやでした。
もう一つ、転がり落ちて来たんですね。
新品のトイレットロールが、それは見事に孔を塞でいるじゃありませんか!
で、どうしたの?
そっと抜き取り、ジワジワ湿って行くペーパーを外し、
幾つかの塊にちぎって、孔に落としては流すを繰り返しました。
幸い、詰まりませんでした。
手も何度も除菌石鹸でゴシゴシ。
檜には内緒。
トイレットロールの芯を数える人じゃないし、それを棄てるのはマギーだし。
でも、もし新品を丸々駄目にしたと知ったら、嫌な顔するでしょうね。
呉々も内緒ですよ。
ああ、ここに書いたら内緒もないですよね。
一つ去ったらもう次の台風が待ってる。
台風が十月に日本を訪問するのって珍しくない?
マギーの認識不足?
そうでなかったら、地球の回転軸が少しずつずれてる?
と、雨の朝、考える必要もない事を考えてる。
そう言えば、今年は青空に出会う日数も少ない十月だね。
もう一つ、どうでも良い話。
四月四日、六月六日、八月八日、十月十日、
そして十二月十二日の全てが同じ曜日なのを知ってる?
五月二十九日を逆にした九月二十五日も同じ曜日よ。
閏年なら、一月、四月、七月が同じ曜日から始まり、
毎年、三月と十一月は同じ曜日から、九月と十二月も同じ曜日から始まる。
閏年でなかったら、二月、三月、十一月が同じ曜日からね。
ね、どうでも良い話でしょ?
眠れない夜を初めて経験したのは何歳の子とだったかしら?
そんな夜に頭にカレンダーを想い浮かべて遊ぶようになったのはいつ頃から?
ともかく、退屈知らずのマギーです。
補聴器外していても聞こえる風邪の唸りで目が覚めました。
雨の音と窓が揺すられる音は、補聴器着けた今します。
これを書き始めた時より雨風は激しくなっているみたい。
予報通り台風21号が、ここを通過しようとしているんですね。
そっと抜け出して来た寝室は、この居間より温かかった。
その暖かい空気は、そこに眠る二人を護るように動かずにいました。
もし災害や事故に遇っても、このまま手を繋いで死ねるなら後悔はしない。
不謹慎で自分勝手でしょうけど、本気で思います。
ここに辿り着くまで、多くの喜びと悲しみの山谷を越え、
数知れぬ人達との出会いと別れを繰り返しました。
檜にも口に出してしみじみ言います。
ここがマギーの最後の地でしょうね。
30分くらい前、避難告知に留意するよう、エリアメールが届きました。
日記を遡ってみました。
我ながら楽しかった。
それらに追い着くかどうか、ちょっと面白そうな話を。
八月から、檜の勤め先にパートで行くようになったって話ししましたよね。
そこで出会う患者さんに九十歳近い男性がいらっしゃいます。
檜が訪問した日は、最高血圧が九十に満たない事があります。
マギーの日は、それが百を超えていました。
「あの人にとっては、あんたでもピチピチギャルやからな」
檜が言いました。
檜なら安心できて、マギーなら心配。
それで不安で高かったら、どうしよう?