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(前略)小泉政権下で行われた派遣労働の自由化。あれは本当にレントシーキング丸出しだった。企業がなぜ派遣社員を雇うかといえば、ズバリ人件費を下げたいからである。企業から従業員に分配される所得のパイを、小さくしたいわけだ。さらに小さくなった給与所得というパイから、チャリンチャリンとパソナなど派遣企業が利益を回収していく。
派遣企業は『企業の人件費の変動費化』というニーズを満たし、所得の分配を受ける。企業も首尾よく人件費の変動費化、より露骨にいえば『給与の引き下げ』に成功し、満足する。企業にとっては、固定費(=必ずかかる費用)であった人件費を変動費化することができるわけで、万々歳だろう。何しろ、変動費とは『売上と連動して変化する費用』を意味しているのだ。売上が減った際には、派遣社員を減らすことができるわけで、経営者にとってこれほどありがたい話はない。
とはいえ、結果として労働者1人ひとりの所得はますます減る。もっとも、企業からしてみれば、人件費が下がるほど利益は増えるから、なお慶事だ。その利益から、株主への配当金が支払われる。(中略)労働者だけが不利益を被り、反対側で企業、投資家、派遣企業が儲かる構造なのである。100歩譲って企業は許すとしても、その向こう側にいる株主たちは、従業員が不利益を被った分、配当金の受け取り額が増えるのである。仮に、株主が新たに投資をして市場を開拓し、みんながお金を使ってくれるようになり、そこから配当金をいただこう、というならすばらしい。新たな所得、付加価値のパイを作っているためである。しかし、単に正規社員を派遣社員に切り替えるだけでは、新たなパイは生まれない。既存のパイから派遣企業と株主が利益をかすめとっていくだけだ。
世の中に存在する政府の各種の規制は、本来こうしたレントシーキングを防ぐためのものである。しかし、グローバル資本家たちは、政治家やほかの新自由主義者たちと結びついて、『規制緩和』を叫び、法律を変えさせる。


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