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俺と虎

※凍て花×黒バスパロです。

夜、信はいつものように優人へ電話をかけた。信はテスト期間中などをのぞいて、なるべく遠く離れた弟たちとのコミュニケーションを大切にしようとしている。特に、幼い時に離れてしまった優人のことは気にかけており、毎日のように電話やメールを送る始末だ。ちなみに、次男の方は電話しようとメールしようと返事が返ってきたことはほとんどない。

『もしもし、信兄?』
「やっぽー優人。どう?今日の学校生活は」
『今日はね、家庭科で調理実習をしたよ』
「へぇ…なに作ったの?」
『今回はお菓子作りがテーマだったから、簡単なマフィンにしたよ。あんまり凝ったモノ作ると時間内に作り終わらないし、失敗することが多いから』

和尚に預けてからすっかり料理上手になった弟につい苦笑をこぼしてしまう。次男の方は、いつまでたってもカップラーメンと蕎麦から進化せずにいるというのに…。そのせいで、同じ都内に住む信は、たまに次男のアパートに行って夕飯を作ってやらなければならないのだ。

「そっかぁ…出来あがったマフィンは柳元さんと食べたの?」
『うーん…その予定だったんだけどさ…なんか、校門前におなか減りすぎて行き倒れてる人がいて』
「それは…珍しいね…」
『うん、まあ……それで、その人にマフィンあげたら、どうやらその味が気に入ったらしくて……バスケ部のマネージャーになった』
「うん?優人、ちょっと過程を2、3段飛ばさなかった?」
『いや、俺もなんか、いまだに混乱してるから、ちょっとその過程を上手く説明できる自信がない…』
「そう…」

またこの弟は変なトラブルに巻き込まれたんだろう、と信は確信した。どうも優人は昔から、トラブル自体、またはトラブルを巻き起こすはた迷惑な人間に好かれやすく、本人の意思に関係なく、トラブルの被害に会うのだ。まあ、マネージャーになったというだけなら、トラブルとしては軽い方だろう。多分。

「バスケ部か…懐かしいな…」
『まあ、俺がマネやるのは高等部のバスケ部なんだけど。なんか、選手を狙った悪質な盗撮があるんだって、だから中等部で男っていうあんま関係性のない俺が採用されたんだと思うけれど…』
「それは…」

少々厄介かもしれない。信の眉間に微かに皺が寄った。
軽いトラブルだろうと思っていたが、意外と根深そうだ。盗撮されるということは、それほど人気があるというわけだし、マネージャーを希望する女子生徒も多いだろう。それを差し置いて優人がマネージャーをするとなると、とうぜん恨みや僻みも優人に向く。

「……優人、余計な心配かもしれないけれど、くれぐれも気をつけるんだよ?」
『分かってる。女子から不満は向けられるだろうし、俺を経由してあわよくば選手と親密になろうとする人が現れる可能性だってあるしね。なるべく波風立たせないようにあしらうよ』

やはり優人も、そこは懸念しているらしい。まあ、もともと人当たりのいい性格をしているし、父の遺伝を受け継いで、優人も口喧嘩ではそうそう負けない。
だが、兄の立場としては、やはり不安が大きいわけで…。

「優人、何かあったらすぐに俺に連絡するんだよ。俺は、家族を傷つけられるのが大嫌いなんだ。だから、少しでも危険を感じたら、頼ってほしい」
『信兄……』
「……いざとなったら、ユウも母さんも父さんも巻き込んで完璧な包囲網しいて、社会的にも肉体的にも精神的にも復帰不可能にして、観野の名を聞いただけで震え上がるような状態にしてあげるから」
『やめてぇぇええええええ!!あんたたちがそろったら本気でそれぐらいしちゃいそうだからやめてぇぇぇええ!!』
「あははっ、いやだなぁ、優人。愛は必ず勝つんだよ?」
『そんな素敵な台詞に恐怖を掻き立てられる日が来るとは思わなかったよ!!と、とにかく!監督もなるべくフォローしてくれるっていうから大丈夫だよ!!』
「そう?」
『うん!大丈夫!!』

まだ優人が幼い頃は、周りの人々が止めてくれたが、それも今は優人が止めなければいけない立場となった。誰かが止めなければ、この兄は笑顔でさらりと有言実行してしまう。

『ところで…信兄の方はどう?副担任になったんだよね?』
「んー…特に問題ありそうな生徒は今のところいないかな?ただねー…俺の授業いっつも寝る子がいてねー…あははーどうしてくれようね?」
『ほ、ほどほどにね』

すると、部屋にチャイムの音が響いた。

「あ、ごめん。お客さん来ちゃったみたい」
『うん。わかった。信兄無理しないでね』
「優人もね」

手短に別れを済ませ、携帯の電源を切り、首をかしげながら信は玄関へと向かう。時刻はもう7時半を過ぎている。こんな時間に来る来客に覚えはないのだが、はたして一体誰だろう。
疑問を抱きながらも、信は玄関のドアを開いた。

「はーい、どちらさ………ま?」
「えっと…挨拶が遅れてすんません…です。隣に引っ越してきた火神っていうんスけど…って、げぇっ!?」
「………Good evening?火神君…」

それは、信の担任するクラスの生徒であり、信の授業の居眠り常習犯である火神大我だった。

 


とりあえず、あのまま立ち話も何なので、信は火神を家にあげた。適当に火神を座らせ、昨日開けたばかりのコーヒーと、クッキーを用意しつつ、会話をする。

「まっさか、お隣に引っ越して来たのが火神君だったとはね……一人暮らし?」
「最初は親父と一緒に住む予定だったんスけど、入学手続きとか終わってからアメリカに戻ることになっちまって…俺だけここに残った…です」
「ああ、いいよ。敬語苦手なら使わなくて、流石に学校出てまで先生ぶる気はないし」

そのかわり、俺も取り繕わないから。そう言いながら、火神の前にコーヒーを差し出すと、意外そうに目を丸めた。

「先生、学校と若干キャラ違くねぇ?」
「そりゃぁ、生徒の前で「俺」なんて一人称使えないし、あんまフレンドリーすぎるとねぇ…今保護者とかがうるさいから。特定の生徒を贔屓してるーとか言われちゃうしねぇ」
「ふーん。じゃあ、今の状況ってけっこうヤバイんじゃね?」
「これはご近所付き合い」
「……それ、屁理屈って言わねぇか?」
「保護者たちの言い分も十分屁理屈の域だよ。屁理屈には屁理屈で返すのが俺の流儀」

火神は呆れたように溜息をついた。

「ほんっと、あんた学校とキャラ違ぇな」
「あっちもあっちでわりと素なんだけどねぇ…ただ今は、新入生にいきなり化けの皮はがすと脅えられそうだから、表面上は穏やかにしているだけで」
(この教師タチ悪ぃ!!)

火神は、信のとんでもない裏の顔を目の当たりにしたような気がした。実際は裏でも何でもなくて、信の本性の表層部分を垣間見たにすぎないのだが。

「今のクラスの保護者さんたちはわりと友好的だけど、教育実習の時とか大変だったなーモンスターだったよ、モンスター」
「ふーん。大変なんだな、教師っていうのも」
「そう思うなら俺の授業で寝ないでくれなーい?ねぇー?火神君ー?」
「いへぇ!いふぁい!!」

信は火神の頬を強めに引っ張った。

「君さぁ、リスニングは良いけど、筆記、アレなんなの?ギャグなの?マジで採点中目を疑ったんだけどアメリカで一体どんな生活送って来たのかな?ん?」
「にっ、日本の英語が細かすぎんだよ!もっとこう…適当な感じでも通じるし!!」
「開きなおんな馬鹿!言っとくけど、俺のクラスから赤点なんて出さないからね!?期末で赤点取ったら夏休みの半分は補習!!」
「ちょっ、マジふざけんなし!!そんなことになったら俺部活出れねぇじゃねぇか!!」
「ふざけてんのはお前の成績だ!!補習になりたくなかったら、授業で分からない所は聞きに来い!高校生レベルの問題なら英語でなくても教えてやるから!!」

副担任である信は、火神の総合成績もバッチリ知っているのである。あれほど低空飛行の点数を見たのは、次男以来だった。

「とにかく、出されたプリントはやっておきなよ。7割はそこから出されるはずだから」
「ちくしょー…補習なんかになったら、監督にぶっ殺されんじゃねぇか…」
「補習にならないように頑張りなよ。っていうか、火神君って何部に入ってるんだっけ?」
「バスケ部だよ…っつーか、全校朝会で宣言したじゃねぇか…」
「あ、俺そん時出張でいなかったんだよね。へーそっか…バスケか…」

懐かしそうに、しかしどこか寂しそうに細められた目を、火神は不思議そうに見ていた。

「……先生…?」
「ああ、なんでもないよ。じゃあ、明日も部活か。大変だねーまあ、俺も出勤だけど」

土曜日で授業がないとはいえ、教師が学校に来ないわけではない。教師の仕事は意外と多種多様なのだ。

「俺は…ただ、バスケしたいからするだけだし。先生の方がキツくね?」
「まあ、仕事だからね。楽しいことばかりじゃないよ。でも、自分でこの道に進むって決めたから。君がバスケする感覚と一緒かな?好きだから、頑張るし、頑張れる」
「ふーん…」
「ってなわけで、火神君はそれの食べ終わったら自分の部屋に帰ってもう寝なさい。明日も早いんだから」
「いきなり先生モードかよ…ったく、変な人だな…あんた…」

最後にクッキーを二、三枚掴んでお持ち帰りすると、火神は信の部屋から出ていった。ドアの所で「ごちそうさん…です」と、挨拶するあたり、いまどきの若者にしては可愛げがある方かもしれない。
急に静かになった部屋で、信はコーヒーの入ったマグカップを片手に、自室へ戻る。


デスクに置かれたパソコンのすぐ横に立てかけてあるのは、家族の写真と、かつての悪友たちとの記念写真。学生の頃は、こんな腐れ縁なんか、さっさと切れてしまえと思っていたのに、切れるときは、呆気なく切れるもので、お互いの進路を歩み始めてから早一年、顔を合わせる機会もなかった。

「……なんか…久しぶりにあいつらの声聞きたくなっちゃったな…」

久しぶりに、電話でもしてみようか。
信の学生時代を、毎日お祭り騒ぎに盛り上げてくれた、とんでもない悪友たちに。

 


++++++++
おまけ

腐れ縁の夏に電話してみました。

『へぇーバスケ!…いやぁ、ほんま懐かしいなぁ…俺らもあの頃は若かった…』
「今も若いだろ…」
『あ、そういえば、なんや今の高校生はやたらバスケ強い奴らがいるんやろ?』
「え、そうなの?」
『おー、たまに遊ぶストリートのお仲間情報なんやけど…なんか、「キセキの世代」?っていう、帝光中のバスケ部員が、別々の高校に入学したとかどうとか…ネットで「キセキの世代」って検索すれば動画でてくるんとちゃう?』
「ふーん…じゃあちょっと調べてみるよ」
『おー俺もちょっと久しぶりにバスケの試合見てみたくなったわ』


動画見ました。再び夏に電話しました。

「なにこれ怖い」
『若者の人間離れやん!!』
「え、俺らが中学の時のバスケって何?俺らがやってたのって、バスケだよね?」
『落ち着き、信!俺らがやってたのはバスケ!彼らがやってんのはきっとバヌケ!!』
「っていうか、この緑の子ありえなくない!?え、これ物理学とか人間的に可能なの?どうなの?専門家」
『いや、俺べつに理系なだけで物理の専門家や無いんやけど…まあ、不可能ではない。お遊びで長距離から投げて決める奴なんでけっこうおるし…試合中に狙ってやる奴は初めてお目にかかったけどな!!』
「えーえー…優人、今秋田の陽泉通ってて、そこの高等部のバスケ部のマネやることになっちゃったんだけど…まさかいないよね?」
『いや…日本中に学校なんてごまんとあるし、大丈夫やろ』

実はいる。


 

拍手レス

・いつも楽しく読ませてもらってます♪破守大好物です!〜の方≫アリア「は…早口…言葉……」

ラビ「おい、アリアもう顔真っ青になってるさ」

フィア「あーアリアね、普段からよく噛むけど、早口言葉っていわれると余計意識しちゃってドツボにはまるんだよね」

アリア「大丈夫…です……がんばりま、ってスリーサイズも!?」

アレン「………………」

シュッ シュッ

ラビ「悪ぃけど…アレンが向こうで爪やすりでエッジ研ぎ出したから無理さ…」

ロキ「悪いな。俺達も命が惜しいんだ。って、なわけでお題な」

マガリノカナハシノミヤニアメノシタンロシメシシスメラミコト

アリア「あ、の……主要人物の名前ですよね…?」

ロキ「(歴史上の)主要人物の名前だろうが」

アリア「た、確かにそうですけど…」※実在した天皇の名前です

ロキ「……嫌なら、ピカソの名前フルネームで言うか?」

アリア「こちらでおねがいします!」

ロキ「ん。じゃあ、自分のタイミングでいつでもどーぞ。ちなみに、間違える度に、神田がハリセンで引っぱたくからなー」

アリア「ちょっとぉぉおおおお!!あの人ハリセンフルスイングして素振りしてるんですけど!!ハリセンとは思えない音たててるんですけど!!」

フィア「アリアガンバ☆」

アリア「うぅ…こうなったら間違わないでいうしか…!…………マガリノカナハシノミヤニアメノシタンリョ」

スパーン!!

アリア「うっ!マ、まがりのかにゃ」

スパーン!!

アリア「うぅぅ〜!マ、マギャ……!……むぎゃーーーーーーーーー!!!」

神田「っ……!っ……!!」

ロキ「あーあ…神田が笑ってハリセン叩けなくなっちまったからここまでだな」

フィア「拍手どうもありがとー」


・奏流さん≫優人「拍手ありがとうございます、奏流さん」

紫原「ありがと〜」

優人「よかったー見てくれる人いて。黒バスはまっている人他にもいるかなーって、緑、乗せるまでドキドキだったみたい」

紫原「ふーん。で、まだ書く気あんの?」

優人「もうちょっと書いてあるから、それ載せるってさ。いつまで続くかわからないけど」

信「俺も出るんだー。久々の優人との共演!がんばるよ!」

優人「もし暇があったら見てください。拍手、ありがとうございました!!」
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