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メロンソーダが好き。
コンビニとかで売っているアルミ缶に入ったやつじゃなくて、ファミレスとかでよく出される、透明なコップに注がれたもの。
普段は炭酸なんか滅多に飲まないのに、メロンソーダだけはべつ。
あの透き通る綺麗な緑色が好き。
だから外食する時は、私は決まってメロンソーダを頼んでしまう。
すると、一緒に食べていたクラスの友達は「子供っぽい」と笑い、珍しくお母さんと食べた時には、呆れた顔をされた。
笑ったり、呆れなかったりしたのは、お姉ちゃんだけだ。
お姉ちゃんはそんな私が好きだという。
無理に背伸びして、苦いアイスコーヒーを「美味しい」と偽って飲む子供じみたクラスの人たちより、素直に自分の好きなものを好きと主張できる方が、よっぽど大人だと言って笑う。
だから私は、中学生になった今も、メロンソーダを好きでいる。
「……暑いな…」
「暑いね…」
今私と山本君は、炎天下の中、ビニール袋をぶら下げながら歩いている。
どうしてこうなったかというと、それは3時間前にさかのぼる。
まだ六月の下旬だというのに、最近暑い日が続いた。暑さに弱いお姉ちゃんはここのところ毎日クーラーのある応接室を避難場所にして頻繁に訪れていた。
委員長さんも最初のころは追い出そうとしていたみたいだけど、お姉ちゃんが応接室のソファーに爪を立ててまで抗ったから、諦めたって。
「革のソファーに歯さえ立てそうな勢いだったからね…傷つけられちゃたまらないよ」と呆れた声で言った時の委員長さんと、私は目を合わせることができなかった。いつもお姉ちゃんがすみません…。
そもそも緑中の私がなぜ並中に行ったかというと、ハルちゃんの部活の見学だ。
並中と合同練習すると言ったので、それを見について行ったら、突然体育館にアナウンスが流れた。
『葛城亜樹、山本武。今すぐ応接室に来ること。来ないと咬み殺す』
……この命令に誰が逆らえるというんだろう…私はたいして速くもない足を一生懸命動かして、応接室へと走った。
山本君と応接室の前で合流して、ドアを開けると、ばっちり暑さにやられているお姉ちゃんが、干物のようにソファーに横たわっていた。
お姉ちゃんのオアシスが、応接室のクーラーが壊れた。
それまでお姉ちゃんは、応接室に居させてもらう代わりに、委員長さんのデスクワークを変わったりして、それなりの恩返しはしていたらしい。
けれど、クーラーが壊れてしまった途端、仕事はしないどころか、かえって邪魔になるような行動ばかりとるようになったそうだ。……それがどんな行動であったかは、私も山本君も聞かなかった。疲弊した委員長さんの顔を見て、なんとなく察せた。
そこで流石の委員長さんも動かざるを得なくなって、私たちを呼びつけ、福沢諭吉が描かれた一万円札を突き付けてこう言った。
「今すぐ近くのコンビニでアイスとジュース買ってきて。ちなみに僕はハーゲンダッツと緑茶ね」
「あきぃ〜…お姉ちゃんはパピコとカルピスを頼む〜…」
覇気のない声で、それでもちゃっかり注文するお姉ちゃん。
……もう、なにも言えない。
この我が道を行くコンビに私と山本君が逆らえるはずもなく、委員長さんからお金を受け取って最寄りのコンビニへアイスを買うため、焼けつくようなアスファルトを歩く羽目になった。
今は、その帰り。
「でも…私たちの分も買っちゃってよかったのかな…」
今、大きなコンビニの袋の中には、四つのアイスと四本のジュースが入っている。
山本君が、会計の時に、さっと横から滑り込ませたのだ。
「いいっていいって。だってこんな暑い中買ってきてやったんだから、おつかいの駄賃ぐらいもらってもいいだろ?」
「まあ…確かに…」
「それに、雲雀万札で渡しただろ?自分と遥季のだけ買うなら千円札差し出せば十分なのにさ」
俺、見えたんだよ。雲雀の財布に千円札入ってんの。そう言って山本君は苦笑するように笑った。
「ま、雲雀なりの気遣いじゃね?俺の勘違いだったとしても、その時は金払えばいいだけだし」
「うん…そうだね。お姉ちゃんたちが食べてるの見てるだけっていうのは何か癪だし…」
「だよなー」
山本君が声をあげて笑う。
汗かいても爽やかだなぁ、この人は。
「ところで山本君、応接室にコップっであるかな?」
「あると思うぜ?それがどうかしたのか?」
「んー出来れば、コップに移して飲みたいから」
私が買ったのは、もちろんメロンソーダ。
コンビニで売っているのは、アルミ缶に入っているものしかなくて、やっぱり私はコップに移して飲みたかった。
その旨を山本君に伝えると、きょとんとした顔をされた。
ああ、また呆れられちゃったかな。
「子供っぽいでしょ?でも好きなの。綺麗でね、ずっと眺めたくなっちゃうの。小さい頃に初めて頼んだ時から」
エメラルドみたい。
幼いころ、そう言った私をお姉ちゃんは撫でてくれたの。
そのあと、そうだな。綺麗だな。といって微笑んでくれたのもお姉ちゃん。
「いつまでもお子様なの、私」
「……そんなことねぇよ」
「え?」
驚いて見上げると、山本君が笑ってた。
びっくりするぐらい、あの時のお姉ちゃんの笑い方と似ていた。
「亜樹はちっさかったから覚えてねぇかもしれねぇけど、あの時俺も一緒に食べてたんだぜ?」
「えっ…やだ、ウソ……ごめんなさい…覚えてない…」
「いいって、いいって。だってあの時亜樹まだ四歳ぐらいだったし。……あのメロンソーダな、実は俺が頼んだんだよ」
「えっ?」
「そしたら亜樹が目きらきらさせてあまりにも見つめるもんだから、亜樹のオレンジジュースと交換したのな」
最悪だ、私…。
交換してもらったことも、さらには交換してくれた相手も忘れてたなんて…。
「そしたらめちゃくちゃ亜樹喜んでくれてさ…すっごくおいしそうに飲んでくれたんだよ。
……亜樹ってさ、あの頃から好きなものとかも色々変わっただろ?昔は寿司じゃイクラが好きだったけど、今はエビの方が好きだし。昔はピンクが好きだったけど、今はオレンジが好きだし。
だから、そん中でメロンソーダが変わってないっていうのはすっげー嬉しい。色々変わっても、俺があげたメロンソーダは相変わらず亜樹の好きなものにあるっていうのが」
暑さなんか吹き飛ばしそうなほど爽やかな笑顔で笑う山本君は、きらきらしていた。
メロンソーダの泡がはじけるみたいに。
「それにさ」
今まで上から聞こえていた山本君の声が、突然耳元で低くささやいた。
「子供っぽくなんかねーよ。……お子様なのって言ってた亜樹の顔、びっくりするくらい大人っぽかった」
山本君が耳から離れていく気配を感じながら、私は真っ赤になってうつむいた。
ああ、山本君のさっきの声の方が、よっぽど……。
しゅわしゅわぽんぽん
(次々とはじけるようにはずむ私の心)
おまけ
雲雀「……ねぇ」
遥季「ん?なんだ委員長」
雲雀「君、いつもその白い飲み物飲んでるけど、それってどんな味なの?」
亜樹「え…っ…い、委員長さんカルピス飲んだことないんですか…?」
雲雀「うん。牛乳みたいなものかい?」
山本「いや…牛乳とはちょっと違うのなー…」
遥季「カルピスは乳酸菌飲料だからな…」
雲雀「ヤクルトみたいな?」
遥季「いや、それとも微妙に味が違う」
雲雀「じゃあ、アレ。ミルミル」
亜樹「若干遠のきました、委員長さん」
遥季「あれはビフィズス菌飲料だ、委員長」
山本「っていうか、ヤクルトとミルミルは知ってるのな…雲雀…」
遥季「……ふむ。実際に説明した方が早そうだな…委員長、例えるなら、私が乳酸菌で委員長が牛乳だとしよう。それがこう…」
ガラッ
草壁「委員長、クーラーの修理に……っ!?」
遥季「………こう乳酸菌と牛乳が結合してカルピスが出来上がる。まあ、砂糖とかも加わっているらしいがな」
雲雀「ふぅん。変わった飲み物だね。大体わかったから離れて、暑い」
遥季「ああ。それにしても…細いな、委員長。女の子抱いてるみたいだ」
雲雀「咬み殺すよ」
草壁「葛城ーーー!今すぐ委員長から離れろぉぉおおおおお!!」
遥季「ん?なんだ。いたのか副委員長。どうしたこの暑いのに顔を青くさせて」
草壁「誰のせいだと思ってる!!」
遥季「山本か?」
山本「俺!?」
草壁「違う!お前という女は…!なに委員長をたぶらかしているんだ!!」
遥季「何を言うか。教えてほしいとさそってきたのは委員長だ」
雲雀「誤解を受けるような発言は控えろ、葛城」
亜樹(どうしよう…私が突っ込まなくちゃいけないのかな…コレ…。さ、沢田君呼んできちゃダメかなぁ…)
++++++++
……夏になると無性に炭酸が飲みたくなる時があります。普段は滅多に飲まないんですけどね、炭酸。喉を通る時のぱちぱちとした刺激が苦手で。
ちなみに他のオリキャラですと、優人も炭酸は飲みません。メロンソーダなんて「合成着色料の塊みたいな液体を体内に入れて、それでも美味しいって言うの?」と言って見向きもしません。なんて若者っぽくない子…!
最近は合成着色料を使っていないメロンソーダの方が売ってるんだからね!←
妹が買ってきた志方さんの白夢の繭聴きました!
・優人君もう少し夢を・・・〜の方≫優人「えー十分夢見てるよ」
「将来の夢…ねぇ…」
・悠城さん≫緑「拍手ありがとうございます、悠城さん!!私の住んでいる地域では結構メジャーな食べ方でしたけど、やはり地域によって違うんですね…味の素と醤油…!私が食べたことのないトマトの食し方です…!今度挑戦してみますね。砂糖をかけるのは…人によっては美味しいという人もいれば、これはない、という人もいます。悠城さんのお好みで食べてみてくださいね。
性 別 | 女性 |
誕生日 | 8月24日 |
血液型 | A型 |