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土用の丑の日

今日は朝から六花の様子がおかしい。
妙にそわそわしているし、何度もジェリーさんや神田の所へ行って、何か打ち合わせのようなこともしている。今日は何か特別な日なのかな?と思っていたんですが…その答えは、夕食の時に自ずと知れました。

「蒲焼じゃぁぁあああああーーー!!」

酒ー!うなぎー!と、叫びまくる六花の表情はイキイキとしていました。任務でもこれぐらいの威勢と積極性を持って取り組んでくればいいのにと思ったのは僕だけじゃないはずです。
その証拠に、六花を見るファインダーや科学班のみんなの目が、僕と同じ目でした。

「お、アレン。お前も蒲焼食う?」
「ふざけんじゃないですよまた任務サボって美味しいものだけはちゃっかり食べるんですから是非いただきます」
「支離滅裂になってんぞ、モヤシ」
うるさいですバ神田。こんないきのいいウナギを目の前にして食べないなんて選択肢が僕の中にあるわけないでしょう。
っていうか、ウナギ捌くの妙に手慣れてるんですけど。さっきから逃げられることなくひょいひょいウナギ掴んでるし。蒲焼屋でバイトでもしてたんですかこの人。

「残雪、七輪の火どうなってる」
「いー具合になってきてるぜ。串刺してんの乗せていい?」
「ああ」

六花は神田が捌いて串を刺したウナギを七輪という木炭のコンパクトなコンロで焼きはじめた。ああ、音からしておいしそう…。ジューッて焼ける音を聞いただけで、もう口の中によだれがあふれてきてます。
六花はぱたぱたと風を送って火加減を調節しながら、くるりくるりと網の上でウナギを躍らせていた。

「今年のウナギは肉厚だなぁ」
「ああ。それに去年に比べてデカイしいきのいいのが多いな」
「そりゃぁ、いいことだな。ユウ、終わったんならコムイやセトに一声かけてきてくれよ」

神田はぎゅっと眉間にしわを寄せて嫌そうな顔を作りました。なんでも、神田はセトのことが嫌いで、毎回セトが買ってきてくれるお土産も、受け取らないんだとか。
でも、そんなことはおかまいなしに六花は言います。そして、神田も六花の言葉なら、嫌々ながらも従うんですよね…。

「チッ」

盛大な舌打ちをすると、神田は踵を返して行ってしまいました。
残された僕は、六花の隣にしゃがんで、いい匂いのしてきた蒲焼をながめていました。

「六花、どうして突然ウナギを食べようと思ったんですか?」
「突然ってわけじゃねぇよ。日本の暦ではな、土用の丑の日にはウナギを食べる習慣があんだ。ま、熱い夏だからウナギ食って精をつけて乗り切ろうってこったな」
「へぇ…六花も日本にいるときは食べてたんですか?」
「…食いたかったなぁ……」

少し、しんみりとした声で六花は言った。

「ユウにもさ…食わせてやりたかったんだけど、高くてなぁ…しかたなく近所の田んぼで取れたどじょうに蒲焼のタレつけて食ってたっけ」

あれはあれでうまかったな。
そう言って六花は笑うけれど、僕の胸はぎゅっと締めつけられた。

「ま、今こうしてたらふく食えんだからいいよな」

人生、最後に笑ったもんが勝ちだ。
人が悪いようににやりと笑う六花に、僕も「そうですね」と返した。この人は、本当に前だけを向いて歩いて行く。過去の辛さも悔しさも、全部思い出に変えて。

「残雪、連れてきたぞ」

不機嫌そうな顔をした神田の後ろについてやってきたセトは、あたりに立ちこめる蒲焼の匂いにうっとりとしていた。

「うーん…いい匂いだねぇ。今年もこの季節がやってきたか…」
「あれ?セト、コムイはどったの?」
「誘ったらリーバーに首根っこ掴まれて椅子に縛り付けられていたよ。まあ、本気になったみたいだし、後10分もすればくるんじゃないかな」

……なんで僕の周りの大人たちはこう…面倒臭がりで、怠慢で、怠惰なんだろう。本気出せばあっという間い片付けられるのに、なかなか重たい腰をあげてくれない。そのくせ、自分の欲求には素直に動く。
あれ、なんだろう。煙のせいかな、目が潤んできた。

「おっしゃ、第一号できた。ほれ、ユウ」

目の前につきだされた蒲焼に、神田は目を丸めていた。僕もてっきり、六花が一番に食すと思っていたから、驚いた。だって、ウナギを食べるのを一番楽しみにしていたのは六花だ。

「……いいのかよ」
「功労賞だ。ありがたく受け取れ」

つまり、ウナギをさばいたご褒美ということらしい。
神田は六花から蒲焼を受け取ると、がぶりとそれにかぶりついた。ああ…おいしそう…。

「……どうだ?」
「うまい」
「そうか」

むしゃむしゃと蒲焼を食べていく神田の頭を、くしゃくしゃと撫でる六花を見て、僕ははっと気づいた。
ああ、そうか。六花は、ウナギを食べるのを楽しみにしてたんじゃなく、食べさせたかったんだ。ひもじくて、満足に食べさせてあげられなかった神田に。
六花が神田を見つめる目は、ひたすら優しくて、僕の胸はまたきゅっとなった。

「ほれ、第二号はアレン〜」
「えっ、いいんですか?」
「いいんだよ。あたしらはコムイが来てから食べるから」
「大人は肝焼きもあるしねぇ。遠慮せずに食べなさい、アレン」
「じゃあ…」

ばくっと一口食べてみて、僕は言葉が出なかった。

「……!」

う、わ…中がふわっふわだ!外はいい感じにパリパリで、噛んだ瞬間タレと一緒にウナギのうま味が口いっぱいに広がっていく。
何て言うか…物凄く白いご飯が欲しい!!このまま食べても十分おいしいけど、この濃厚なタレは白米に絶対合う。

「ジェリーさん!お米!白米を僕にくださいーーーー!!」

カウンターに向かって走っていく僕に、後ろから六花とセトの笑い声が聞こえた。


土用の丑の日



+++++++
昨日は土用の丑の日でしたね。
皆さんのうちではウナギを食べたでしょうか?今年はウナギが値上がりしてしまったので、食べなかった家も多かったかもしれませんね。
世界番付で見たんですが、イギリスでもウナギ料理はあるみたいですね。もの凄くまずいようですが。あと、イギリス人のフィッシュ&チップスにかける情熱は、日本人のおにぎりに対する情熱並に凄い。なんでみんなあんなに推すの。
聞いた話では、イギリスに旅行に行った子が、現地のホテルで出されたアイスクリームが紙粘土の臭いそのもので、食べられたもんじゃなかったと言っていました。

拍手レス

・男主の長編読みました(^o^)〜の方≫緑「拍手ありがとうございます!あの長い話をよくぞ読んでくれました!お疲れ様です!!私生活の方は、ようやくレポートとテストがひと段落したので、これからまたぼちぼち書いていこうと思っています。暑い日が続いていますので、お客様もどうぞ体調を崩すことがないように気を付けてください」

夏バテには気をつけましょう

教室の黒板にエンゲル係数と書かれてる。これを見て、ドキッっとしたのは、一人や二人じゃないはずだ。

拍手レス

・皐月さん≫優人「拍手ありがとうございます、皐月さん」

玄武「焔と…優人は……いいコンビ…」

焔「うむ。我も主の助けとなるようこれからも頑張っていこうと思う」

優人「いや、もう十分だよ。…っていうか、どんだけ俺を不幸なめに合わせれば気がすむんだあのドS作者ぁーーーーーー!!」

焔「それは…流石に我も製作にまでは口出しは…」

玄武「優人ふぁいとー」



・悠城 燐さん≫緑「お祝いの言葉ありがとうございます!!ブログの方にもコメントを残してくださっていましたね!!私的に絶対アレはシシ神様だったと思うんですよね。幸か不幸かデイダラボッチにはなりませんでしたけど。悠城さんからはたびたびバトンをもらったりして、緑も大変楽しくやらせて頂きました。今でもこうして拍手やコメントを頂けることを嬉しく思います。それでは、拍手ありがとうございました!!」

拍手レス

・薫さん≫緑「お祝いの言葉ありがとうございます!そうですね、高校は授業時間が長いので、冬とかは授業が終わったらもう日が傾いていましたね。緑は特に部活動には入っていませんでしたが、まあその空き時間を使って本読んだり小説書いたりしていましたね(笑)暑くなってきましたので、薫さんも体調を崩さないように頑張ってください!!」


・董羅さん≫緑「お久しぶりです!お祝いの言葉ありがとうございます!!董羅さんが初めて読んだ夢小説は当サイトのものだったんですか!良かったような悪かったような(苦笑)当サイトの小説はおそらくかなり異色だと思うんですよね…そもそも恋愛に軸足を乗っけていないですね。完璧ギャグに軸足置いてますよね。信と夏の小説も読んでいただけましたか!あの二人はもう出会った瞬間に上下関係が決まりました(笑)機会があれば夏の視点の方も書いていきたいと思っています。董羅さんも体を壊さないように気を付けてくださいね。拍手ありがとうございました」



・加藤椿さん≫緑「お祝いの言葉ありがとうございます、加藤椿さん。こうして夕闇の図書館が五年も続けられたのは、みなさんがこうしてたびたび拍手をくださって緑を励ましてくれたおかげです。今もこうしてサイトへ来てくださるお客様には本当に感謝しています。また気が向いた時にでも立ち寄ってくださいね」
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