この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。
ログイン |
―――…ある日の放課後。
「ねぇ!京子!!今日ちょっと帰りに駅前のファミレス寄っていかない!?」
「えっ…別にいいけど…どうしたの?花」
「今あそこに大学生ぐらいの美形な従業員が沢山いるんだって!!他校からも結構その人達目当てで寄る人いるらしいわよ?」
「もう、花ったら…じゃあ、ハルちゃんも誘っていい?あそこのケーキ結構おいしいから喜ぶと思うの!!」
「あんたは色気より食い気ねぇ……なんだか優人みたいよ」
「くしっ!!」
「あれ?優人風邪?」
「わかんない…けど、凄く失礼な噂された気がする…」
よもや、自分の知らぬところで神将達がとんでもない行動を起こしていることなど、この時の優人は知り得るはずもなかった。
「あそこのケーキは美味しくて好きなんですー!京子ちゃん、花ちゃん今日は誘ってくれてありがとうございます!」
「ううん。大勢の方が楽しいもんねっ!!」
「ほんと、アンタ達は楽しそうね〜少しは恋愛にも目を向けなさいよ」
友達同士できゃっきゃと騒いでいるハルと京子にはどうも身近ではないらしく、花から出てきた「恋愛」と言う言葉に、顔を真っ赤にしてはしゃいだ。
「そんなこと言ってもまだ好きとかよくらからなよ、花」
「はひっ!ハルはツナさん一筋です!!」
「あーハイハイ。ったく、ダメツナのどこがいいんだか…」
「へくしょん!!」
「あれ?俺の移った?」
「わ、わかんない……けど、なんか凄く余計なお世話な発言された気がする…」
綱吉がいらんところで超直感を発揮している間に、京子達三人は噂のファミレスの前に到着していた。
「さて、どんなイケメンがいるのかしらねぇ」
「花ちゃん…目が怖いです…」
「もう、花ったら…」
年上好きの花と付き合いの長い京子は苦笑程度だが、まだ付き合いの浅いハルには狩りをする獣のように見えた。
そして、花がファミレスのドアノブに手をかけ、ドアを開けると。
「ヘイ!らっしゃい!!!」
何とも威勢のいい…いや、よすぎる声が店内に響き渡った。
思わず入ってきた3人だけでなく、店で寛いでいた客までが怯んだほどだ。
見れば、人懐っこい笑顔を向けた赤髪の青年がメニューを持ちながらこちらをうかがっているではないか。どうやら、先程の掛け声は彼のようだ。
「なぁ、お客さん?3名でいいのか?」
「えっ、え?」
なんとも従業員らしからぬこれまた人懐っこい口調で話しかけられたハルは少し困惑する。
すると、その燃えるような赤い頭に丸いトレイが下った。
「いってぇ!何すんだよ青龍!!」
「何すんだよじゃねーよ。なんださっきの掛け声は!居酒屋か何かかここはっ!!」
「挨拶は元気いい方がいいだろっ!?」
「元気過ぎんだよお前は!!他の客までお前の声にビビッたじゃねーか!もうお前は向こうで料理運んで来い!」
「ちぇー」
その二人のコミカルなやり取りに、すでに店にいた客からクスクスと笑い声が飛んでくる。
その声に気恥かしそうに頬を掻きながら、自分の胸辺りまでしかない身長の三人を見下ろして聞く。
「あー…その…三名様…ですか?」
「あ、はいっ!」
明らかに敬語に慣れていないとわかるつっかえつっかえの言葉で話す青龍に、また他の客から穏やかな笑い声が提供される。
「んじゃあ、席に案内しますんで、どうぞ」
周りの客からの笑い声に少し赤くなった顔を背けるように、早足で三人を席へと案内する。
もちろんそれにも、他の客からの笑い声が提供された。
「こちらがメニュー…です。決まったら、そこのボタンでお呼び…ください…」
「はーい」
一礼して青龍が去ると、わっと花が騒ぎ始めた。
「ちょっと!ホント凄いわね!!あの赤髪の人と青髪の人!!」
「背、すっごくおっきかったね〜何食べたらああなるのかなぁ…」
「二人ともモデルさんみたいでしたね!」
「そうよね!あーでも、赤髪の方は少し子供っぽかったなぁ…アレさえなければもっと魅力的なのに…」
「はひ〜とつぜん声かけられてビックリしました〜」
「ふふっ、なんだか人懐っこい人だったよね」
「ぶえくしっ!!」
「おま…人に向かってくしゃみすんなよ!!」
「んーわりわり…噂でもされてんのかなぁ…」
「なあ、それより俺がなんかする度に客から笑われんだけど俺、なんか変なことしてるか!?そんなに可笑しいか!?俺…」
「よかったじゃん青龍!笑いを取れるのは芸人にとって凄い才能だって白虎が言ってたぜ!!」
「俺は芸人じゃねぇよ!あぁ…また何か笑われた…」
(あの二人…よう客から可愛がられとるなぁ…)
青龍が頭を抱えて悩んでいる頃、メニューを開いてなにを注文しようかとハルと相談していると、京子がふとメニューから顔を上げていった。
「花が言った通りお客さん、女の人が凄く多いね」
「でっしょ〜?みーんなお目当てなんだって」
「はひ〜高校生や大学生っぽい人までいますー」
「どうぞ、お水とおしぼりです」
「あ、はーい。どうも……」
メニューから顔を上げた花は釘づけにされた。
先程の青髪の男に劣らない長身の、今度は茶髪の男が、自分を見て微笑んでいた。
「メニューが決まりましたらお呼びくださいね」
「はい…」
「六合」
「おや、どうしました?騰蛇」
六合が振り向いた先には、僅かだが六合よりもさらに長身の銀髪の男がこちらに向かってやってきた。
「朱雀がレジの使い方が分からんで困っておる。行ってやってくれ」
「はぁ…またですか…では、お客様。どうぞごゆっくりと…」
六合が礼をしたのを真似て、焔も軽く会釈をするとレジの方へと足早に向かって行った。
「ヤッバ!私ココに毎日通っちゃうかも!!」
「花ちゃんそんなことしたらお金無くなっちゃいますよ!?」
「だってアンタ達も見たでしょ!?あの茶髪の人と銀髪の人!!あの落ち着いて物怖じしない態度!!まさに大人の男って感じじゃない!?」
「うーん…でも、確かにすごく大人っぽかったよね…大学生かな?」
「っ!くしゅん!」
「ん?どうした六合」
「いえ…噂ですかね…」
「そうか。しかし…我は厨房を希望していたのになぜフロア担当と兼用に…」
(その容姿ですからねぇ…)
「うぇえ〜六合ぉ〜レジが開かねぇよぉ」
「朱雀…30分前にも同じことで私を呼び出したばかりですよ…まったく。申し訳ありません、お客様。すぐ会計をしますので」
「い、いえっ!出来ればもう少し長くっ!!」
「ふふふ、お客様は冗談がお上手ですね」
(アイツ見てっとここがファミレスじゃなくてホストクラブか何かだと錯覚しそうになるのは何でだ…?)
青龍が六合の接客態度を見て首を傾げている頃、京子達のテーブルには丁度注文した料理が届いていた。
これには3人ともある意味釘づけになっていた。
花は勿論、その男の容姿に。
そして京子達は…今にも眠りに落ちそうに前後に揺れる男の体に。
「ふわ……こちら…ご注文の品に…なり、ます……」
「あ、あの、大丈夫ですか!?振り込みたいに揺れてますけど…」
「ん……ちょっと、僕…限界……かも……眠くって…」
「え、えぇっ!?」
そしてぐらりと大きく男の体が傾き、京子達に向かって倒れかけた瞬間、即座にそれを支える腕が伸びた。
「ふ〜危機一髪やな。玄武そろそろ限界やと思ってたけど…あ、お嬢さん方大丈夫か?」
関西独特のイントネーションで話しかけてきた陽気な男に、京子とハルは言葉もなく頷く。
周りからは、黄色い歓声が飛び交っていた。
「そか、そんならよかったわ。ケーキテーブルに置いてからでよかったわぁ〜いくらワイでもコイツとトレイに乗ったケーキを同時に抑えこむんは難しゅうて敵わんから」
世間話でもするようにケラケラと笑いながら制服のポケットからチョコを一つ取りだし、それをだらしなく開いた玄武の口の中に放り込むと、もぐもぐと口を動かしながら、再び目が開いた。
「ほら、お客さん驚かせたこと謝り」
「ん、ごめんなさい…」
ぺちんと軽く頭を叩かれ、反動でぺこりと頭を下げる形になるとそのまま謝罪の言葉を口にした。
「い、いえ…ね、寝不足か何かですか…?」
心配そうにうかがうハルに、ケラケラと笑いながら手を振る。
「ちゃうちゃう。コイツ、いっつも眠いねん。驚かせて堪忍なぁ。ほら、行くで玄武」
「んー…」
半ば玄武を引きずるようにして退散していく白虎を見ながら、ハルは呟いた。
「な、なんか…不思議な方達でしたね…」
「そこがいいんじゃない!!ミステリアスな感じがまた人を引き付けるのよ!!」
「もう…花…」
「くちっ!!」
「なんや、風邪か?」
「んーん…たぶん噂…ねぇ、白虎…さっきのお客さんが食べ残したコレ…食べていい?」
「食うたらアカンて。…頑張って働いたらこの後にまかない貰えるから、それまで我慢しとき」
「ぶー…なんで僕まで…」
「しゃあないやん。お前も結構戦力になるんやから。それに、金稼げば好きなもんぎょーさん食えるで?」
「……低反発枕…買える…?」
「おー買える買える。頑張ればなぁ」
「なら…がん、ばる……最近、とーだ(犬)を枕がわりにすると…うるさくて…」
「そりゃ怒るわ。いくら騰蛇でも」
「ぶー…優人なら…おこんない…のに…」
「お疲れ様です、白虎。流石ですね」
「おーホンマビビったわ。コイツ、お客様目がけて倒れんやもん」
「ふか、こーりょく…」
「それにしてもよくこの距離から走って間にあったな。正反対じゃねーか」
「我らでは間に合わんかったな」
「白虎スゲー!」
「ふっふっふ!神将一の俊足、なめたらアカンで!!」
「こうしてすぐに調子に乗るのが悪いところですが」
「ぎゃん!!」
「あの、会計お願いしまーす」
「あ!じゃあ俺が…」
「お前はやめとけ。どうぜ六合呼ぶ羽目になんだからよ」
「う…」
「私がやりますよ。…会計、千と四百円になります」
「はーい」
「あ、いいわよ。今日はあたしがおごるから」
「えっ!?いいんですか?花ちゃん」
「いーの、いーの、今日はあたしのわがままに付き合ってもらったんだし。はい、コレ」
「丁度お預かりいたします。レシートと、割引券をどうぞ」
「どーも」
「また来てくれよな!」
「毎度おおきにー」
「ばいばーい」
「お前らその接客態度どうにかしろよ!!」
「ほら、お客様に言うことがあるでしょう?」
「「ありがとうございましたー!!」」
その日の帰り道。
「ふふ、なんか。賑やかなお店だったね」
「そうですねーちょっと変わってて楽しかったです!」
「今度ツナ君達も誘おっか!」
「そうですね!!」
そして、誘われたツナと優人達とばったり蜂合わせして、お説教を喰らうのはまた別の話。
(多分、きっと、おそらく)つづく
・玲奈さん≫白虎「拍手おおきにな〜。そういやよう、声かけられたわ」
・もう少し年上らしく〜の方≫優人「……拍手貰ってからいきなり俺から目線そらすの止めてくんない?」
・ジンさん≫伯爵「キルケは普段、ノア側にも教団側にもつかない中立の立場を取っていることが多いんですヨv教団嫌いの彼女のことですから、てっきりすでに別行動を取っていると思ったんですガ…思わぬ誤算でしたネェ…」
・ティキに質問〜の方≫ティキ「きっかり時間通りに爆発しやがったよ!!」
性 別 | 女性 |
誕生日 | 8月24日 |
血液型 | A型 |