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勤労感謝の日って、具体的に何すればいいかよくわからない

――――11月の中頃。勤労感謝の日を前日に控えたその日。

「う〜ん…」

信は机に突っ伏して唸っていた。
明日は休みだとルンルン気分で帰り支度をしていた夏は、珍しく悩ましげな信に驚いた。信は大抵の事なら即座に判断、行動、解決してしまう末恐ろしい高校生だ。
その信を悩ませる。一体どんな大問題だ。

「なんやぁ…そんな追い詰められたような顔して…」
「お前…明日が何の日か覚えてないだろ…」

信は呆れたように夏を見た。
夏は少しむっとして、胸を反らして強い口調で言う。

「忘れるわけないやん!勤労感謝の日!国民達の休日!仕事や勉強ご苦労さん〜。今日はよう休め、っていう日やろ!!」
「なんだその頭の悪そうな解説」
「まあ、元々は新嘗祭ゆうて、天皇が新穀を天神地祇に供え、天皇さん自身も食して、収穫を感謝する祭事やったそうやけど」
「見た目からして馬鹿そうなのに、実は頭いいのがムカツクよな、コイツ」
「蓮君は俺が何言っても気に食わないんですね!?そうなんですね!?」

帰り支度を終えた蓮と千博も信の机に集まってきた。

「信…どうした…?」
「あ…いや、明日の勤労感謝の日…父さんと母さんに何してあげようって…」
「なんや、二人とも休み貰えたん?珍しいな…」
「そうなんだよね…滅多にない休日が重なったんだし、何かしてあげようかなーって思ったんだけど…何も思い浮かばなくって…」

蓮は呆れ顔になって信を見た。
高校生になっても、勤労感謝の日に律儀に親を労わる男子がこの日本にどれだけいるのだろう。
そんな少数派の男子代表・観野信は、深々と溜息をついた。

「そういや俺の家もここ数年勤労感謝の日に親労わってあげたことないなぁ…なんかやった方がええんやろか?」
「夏は…特に…」
「お前常日頃から親に迷惑掛けまくって、すでに雨宮家の不良債権になりかけじゃねーか」
「っていうか、夏が雨宮先生を労わっても、勤労感謝っていうより、心労陳謝の日って感じだよね」

友人達からの容赦ない糾弾に、夏は滂沱と涙を流しながら机に突っ伏した。

「そうだ…。信、ここはCMで定番の、カレーとかを作って両親をもてなすのは…」
「それも考えたんだけどねぇ…。……日常なんだよね、俺の家では」

両親共働きの上、弟がまだ幼いため、家事全般は信の役目だ。
夕食を作って、親の負担を減らす?そもそも両親のどちらも台所に立たない。特に母の彩音は、台所という領域に立ち入らせてはならない類の人間だ。

「……あれ?そう考えると、勤労感謝の日に感謝されるべき人間って俺?」

毎日両親に代わり、家事をこなし、弟の世話をこなし……感謝されるべきは自分なのでは、と思い始める信。何だか勤労感謝の日の主旨が分からなくなってきた。

「うーん…なんか、ますますこんがらがってきた…」
「べっつに特別なことしなくてもいいだろ。気を回しすぎなんだよお前は」
「そうかなぁ…」
「お前一人が変に気合入ってアレコレ計画するよか、家族水入らずで暇な一日ぼーっとしてた方がよっぽどいいだろ」

蓮の言葉に、思わず「そうかも…」と考えを改めそうになった。蓮と話していると、たまに、そういうもんかもな…という気にさせられてしまうことがある。
ぐらぐらと揺れ出した信の心を見透かしたのか「それに…」と、蓮は後押しをした。

「お前ら家族にとって、一日中優人にかまえる以上の喜びがあるのか?」
「それもそうだね」

信あっさり陥落。観野家一の癒しである優人と一緒にいられる以上の喜びはない。

「よし、明日は一日だらだらしながら、優人を命一杯かまうことにしよう」
「そうしとけ。ほら、解決したんだからさっさと帰んぞ。……いつまで泣いてる気だ夏。置いてくぞテメェ」
「…………」

信が蓮の掌で転がされる一部始終を見届けた千博は、蓮の心情を見抜いていた。

(さっさと帰りたかったから適当なこと言ったな…蓮…)

さっき、5時半から見逃したドラマの再放送があるとか言ってたし。
それを知っていても、千博はそれを口に出さない。言った所でどうせ蓮に丸めこまれるに決まってる。

「ちー?どうしたの?帰ろう?」
「ああ」

とりあえず、自分くらいは日ごろの感謝をこめて、明日は母に代わって夕食ぐらいは作ろうと心に決めた千博だった。



勤労感謝の日って、具体的に何すればいいかよくわからない


++++++
勤労感謝の日に思いついて勢いで書いたもの。アップ遅くなってすいません。
それにしてもヤマもオチもないな!

拍手レス

・キリトさん≫ラビ「いやでも…思い返すと結構痴話喧嘩みたいな言い合いしてるよな?アリア達」

フィア「うん。そこに恋愛感情の介入が一切ないっていうのが笑え……悲しいよね」

ラビ「うん。本音が聞こえたな」

アリア「ふーんだ。ユウみたいな短気に損気でタンタンタヌキみたいな人に誰が心許すもんですか」

神田「俺だって呑気で稚気なテメェの心なんか知りたくもねぇ。っていうか、なんだタヌキって。どうせお前の腹ん中なんて見なくてもわかる。真っ黒だろ?この女狐」

アリア「あら、女だからって油断していると、あっさり足元すくわれて溺れさせられますよ?」

神田「ハッ、溺れさせてみろよ」

ラビ「うっわー…マジで愛情の欠片も見当たらねぇさチキショウ」


・ジンさん≫緑「拍手ありがとうございます、ジンさん。確かに一時は非リア充の方々に妬まれるかもしれませんが、当サイトの神田だと、話が進むたびに憐憫の目で見られる可能性が大かと…(笑)大まかな流れだけ見れば結構おいしい話でも、本人にとってはいい迷惑だったりしそうです(笑)」
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