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・凍て花46話を読んでたら〜の方≫信「いいね!それ!!」
・キリトさん≫優人「拍手ありがとうございます。キリトさん」
とある所に小さな島がありました。リゾート開発をされて観光客がいるわけでもなく、かといって、ほとんど人がいないわけではない。ごくありきたりな島がありました。
その島の港に、ある日お客さんがやってきました。
女性と少年でした。
女性は背がとても高く、男の人に混じっても負けることはないほどの長身です。
髪は彼女の背中をすっぽりと覆い隠すほど長く、艶やかな黒髪でした。そして、島の人達が見たことのない、遥か東方の国の服を着て、腰には刀がさしてありました。
少年の方は背が女性の肩辺りまであります。そして、顔の左半分に傷があり、髪は老人のように真っ白でした。そして、やはり島の人達がみたことのない黒い服を着て、左手にだけ手袋をしていました。
「おや、旅人さんかい?」
男が珍しそうに女性に声をかけてきました。
女性は、はきはきと答えます。
「いや。ちょっと仕事の野暮用でこの島に立ち寄ったのさ」
「そうかい。でも気をつけなよ。この島はちょっと治安が悪いんだ」
「…犯罪が多いということですか?」
少年は眉をひそめて聞き返しました。
男は慌てて手を横に振ります。
「いやいや。小さい島だからね。大きな事件なんて滅多に起こらないよ」
「え?ならどうして?」
話に食いついてきた少年に、男は気を良くして話してくれました。
「実はね、この島はとある国で犯罪を犯した奴らが追放されてくる島なんだよ。ま、いわゆる「島流し」ってやつだ。そうしてこの島は、罪人とそれを見張る役人が三百年に渡り住んでいた。いまじゃその制度も廃止されて、今この島で暮らしているのは、その罪人と役人の子孫だ」
「でも、実際罪を犯した人は死んでいるんですよね…?」
「ああ。そうなんだ。けど、血っていうのは恐ろしいもんでね、遺伝しちまうのさ。犯罪者の血がね。そのせいでこの島は、絶対に嘘をつかない正直者の役人の子孫と、嘘しかつかない罪人の子孫がちょうど半々いるんだ。いいかい?罪人の子孫の奴らには気をつけんだよ」
すると、今まで黙って話を聞いていた女性が、男に尋ねました。
「ちなみにお前は役人の子孫か?それとも罪人の子孫か?」
「俺は役人の子孫さ」
「あたしの目を見て、どう思う?」
「綺麗な青色だね!まるで吸い込まれそうなマリンブルーだよ!」
女性は、血のように赤い目を細めて笑いました。
とある所に小さな島がありました。リゾート開発をされて観光客がいるわけでもなく、かといって、ほとんど人がいないわけではない。ごくありきたりな島がありました。
その島の港に、ある日お客さんがやってきました。
青年と少年と大きな犬でした。
青年は赤髪で、バンダナをしていました。右眼には眼帯を付けて、首にはマフラーをしています。
少年は黒髪で、腕に銀のブレスレットをしていました。少年の右側には、常に銀色の毛並みの大きな犬がついています。どうやら彼がこの犬の飼い主のようです。
「珍しいね。旅人さんかい?」
男が声をかけてきました。
赤髪の青年は飄々とした口調で返します。
「まあそんなとこさ〜」
「そっか。でも気をつけてね。この島はちょっと危ない人もいるから」
「治安が悪いってことですか…?」
不安そうな顔になった少年を見て、男は慌てて言い直しました。
「いやいや。小さな島だから、滅多なことが無ければ犯罪なんて起こんないよ」
「どういうことさ?」
青年は不思議そうに聞き返します。
男は少し声をひそめて言いました。
「実はね、この島は昔、島流しに使われていた島なんだ。もう随分前にその制度も廃止されて、今じゃ罪人の子孫とそれをずっと見張っていた役人の子孫が暮らしているんだ。ただ…やっぱり血のせいか、役人の子孫は正直者なんだけど、罪人の子孫たちは嘘つきばかりなんだ」
少年はしばし考えた後、男に尋ねました。
「あなたはどっちの子孫なんですか?」
「僕?僕は役人の子孫」
「……今日の天気はどうですか?」
「月は所により出るって言ってたね」
少年は、まだ太陽がさんさんと降り注ぐ青空の下で苦笑した。
とある所に小さな島がありました。リゾート開発をされて観光客がいるわけでもなく、かといって、ほとんど人がいないわけではない。ごくありきたりな島がありました。
その島の港に、ある日お客さんがやってきました。
青年と女の人でした。
青年は長い漆黒の髪を高い位置で縛っていました。目つきは鋭く、少し不機嫌そうです。
女の人は腰までの白い髪で、右の頬に傷がありましたが、青年とは違い、どこか穏やかな雰囲気を出していました。そして、二人の腰には、それぞれ刀と剣がぶら下がっています。
「あんたらこんな島に何の用できたんだ?」
青年と女の人が食事をとっていた時、女の人がまだ食事を終えていないにもかかわらず、男がずけずけと質問してきました。
青年は眉をひそめ、質問には答えずに横を向いてしまいます。代わりに、女の人が食事を止めて答えてくれました。
「こちらの島では豊富な海の幸が取れると聞いてやってきたんですよ」
「はっ、何も知らない観光客か。お気楽なことだ」
男は鼻で笑いました。
女の人はさして気にした様子もなく、青年に至っては完全に無視でした。
男は構わず話し続けます。
「この島の島民は一見普通に見えるが、かなり性質の悪い集団だ」
「と、言いますと?」
「ここは元々島流しにあった罪人とそれを監視する役人が住んでいた島だ。まあ、300年くらい前に制度は廃止され、当時の罪人たちもみんな死んだ。だが、罪人や役人の中で何人か子供が生まれた。それが、今日までずっとこの島に住みついている島民達だ。この島は嘘つき者の罪人の子孫と正直者の役人の子孫で構成されてんのさ」
「……本当にそれだけか」
今まで一言もしゃべらなかった青年が、初めて口を開きました。
男はびっくりして、まじまじと青年を見た後、やがてニヤリと笑いました。
「へぇ…馬鹿かと思ってたが、なかなか賢いな。そうだ。この島には、嘘つきと正直者の他に、もう一種類の人間がいる。罪人と役人の間に生まれたハーフの子孫だ」
「そのハーフの子孫の方は、嘘つきなんですか?正直なんですか?」
男はまたニヤリと笑いました。
「どちらでもない」
「へ?」
「は?」
女の人と青年は同時に声をあげました。
「正直俺はアイツらが一番性質悪いと思うね。アイツらは嘘もホントも言わないのさ。例えば「お前は罪人と役人どちらの子孫だ?」と質問すると、「役人の子孫だ」と答える。アイツらはハーフだから、厳密にいえば罪人の血も混ざっている。けれど、嘘ではないだろ?」
「ええ。たしかに役人の血も入った子孫ですからね」
「アイツらはそうやって嘘でもホントでもないことを言ってはぐらかしたり、人を困惑させたりして楽しんでやがるのさ。まったく胸糞悪い連中だ」
女性はグラスに入った水を一口飲むと、男に尋ねました。
「ところで?あなたはどちらの子孫なんですか?」
「俺か?俺は役人の子孫だ」
「……私の髪を見てどう思います?」
「すっげぇ白髪頭だな。正直顔見るまで老婆だと思ってた」
「では、最後に……貴方はアクマという機械を知っていますか?」
男はとたんに嬉しそうな顔をしました。
「なんだ!あんたらも同業者かよ!!アレ便利でいいよな!早くこの島の罪人の子孫の血を根絶やしにしてくれりゃいいのに!そうすりゃ俺達役人の清らかな血だけが残る!!なぁ、そう思うだろ?」
女の人は肯定も否定もせず、にっこりと微笑んでいました。
そして、男に気づかれぬように、こっそりとテーブルの下で、拳銃の安全装置を外しました。
罪人のいる島
・秋鈴さん≫ロキ「そうだ。もっと言ってくれ。このタラシに」
性 別 | 女性 |
誕生日 | 8月24日 |
血液型 | A型 |