二つ星
空を仰いでいた。
真っ暗で、全てを包んでしまうかのようなそんな空だ。
今日はどうやら月が出ていない。
レティがじっと目を凝らせば、星が空に瞬いていた。
「どうしたのですか?レティ」
スピカがレティに優しい声音で呼びかける。
「レティ、あれ覚えた」
レティがなにやら自信があるような顔をして、天を指差す。
スピカはレティの「あれ」を不思議に思わずに、「あぁ」と小さく声を漏らした。
「ベガとアルタイルですか?」
キョトンとするレティに、スピカも首を傾げる。
「レティ、違う。王子様とお姫様、話!」
レティが身なり手振りを加えて話す。
スピカはほんの一拍だけ考えて、
「…織姫と彦星ですか?」
と問う。
次の瞬間にはレティは嬉しそうな顔をし、スピカはそんなレティを優しい眼差しで見つめる。
「リザリーのお家、本、ある。読んだ」
レティはキラキラとした目でスピカを見て、こういう。
「レティ、スピカのおかげ、字、読める、なった!」
「そうですか…。レティの為になれたなら嬉しいです。」
ニコニコと微笑むレティとスピカ。
その二人を二つ星が見守っていた。