色違い故に捨てられ、孤児院で8つまで居たが、引き取られた際、執事になる事に決め、現在執事として仕事についている。
フィズ、シャルル、ジルベール、ルネの4人とは血は繋がってないが、互いが兄弟のように思っている。
幼少期は他の4人に劣る事が多く、「何か上手く出来るようにならなくては」と、プレッシャーに苛まれた時期もある。
しかし今は亡き執事長に、「お前の取り柄は、居るだけで明るくなるような、その性格だ。」と言われ、それからは自分の利点を伸ばすように、ポジティブに生きている。
他の4人よりも体を動かす事が得意で、身体能力が良い。毎朝ジョギングと基礎運動は欠かさない。
昔仕えた所では主と恋仲だったようだが、とても幸せな思い出だったようで、時折思い出しては懐かしんでいる。(しかし引きずってる訳ではない。)
アネモネ+ロータス
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メンバーがそれぞれ自由時間を満喫してる中。
アネモネは自然公園で寝転がり、ぼんやりと空を見た。
心の隅では悩んでいる事があるが、それは大した問題ではない。
(恋人が出来ない事が不幸だとは思わない。思わないけどさ。)
その筈なのに、妙に沈んだこの気持ちは何なんだろう、と自問自答をした。
「人を好きになって、成長して、そうやって変わっていける仲間達を見て、ちょっと羨ましいって思う。」
ぽつりと呟いた言葉は思ったより本気で、重みを孕んだ。
空は蒼く澄んでいる。
それはアネモネの気持ちとは、何処か遠い色合いだった。
せめて今日の空の色が灰色だったなら、もっとセンチメンタルな気持ちに浸れたかもしれない。
「まぁいっか。好きな人なんて、そんな急に見つかる訳じゃないし。」
土を掃いながら立ち上がる。
「そもそも“好きな人”は探すモノでも作るモノではなく、気が付いたらそうなってるモノなんですよ、モネ先輩。」
後ろを見ればいつものように澄ました顔で、男が立っている。
「ロー…。」
思わずその人物を見て、愛称を呼んだ。
ロータスはアネモネのほうけた顔を見て、一度溜息を吐く。
その次の瞬間には、何となくバカにされたような気持ちになって、大声でアネモネは騒ぎ立てた。
「なんだよ!過去に付き合った人が居たからってっ!!ボクの方が大人なんだからなっ!!」
「はいはい。集合時間に一人だけ遅刻しておいて、大人とか言えるんですか?」
ぐぅの音も出ない切り替えしに、アネモネは怯む。
「早くしないと置いてかれますよ。」と言いながら、先に行くロータス。
その後を渋々付いて歩くアネモネは、「絶対素敵な恋人を見つけてやるんだ。」と速度を速め、ロータスを追い越した。
春は遠い
2013*08*01