「梨乃ぉ!」
原稿上がり。
ノックもせずにそのまま、
テンション高めで梨乃の部屋に上がり込む。
「響!?……もう、びっくりした」
そういいながら、デスクに座る梨乃が響を見る。
「んーんー。やっと原稿上がったから、梨乃に会いたくなって。来ちゃった」
梨乃に駆け寄って抱きつき、響はキスをする。
「梨乃、大好き」
「私も」
「うん、でも僕の方が梨乃の事、大好きだよ!」
「はいはい」
お互いにちゅっちゅっして、目と目があって微笑む。
そんないつものやり取りをして、
へへへ、と笑う響の目の下を見る。
……目の下にクマがある。
梨乃はそれに気がつくと、すっと目の下をなぞる。
「あ、テレビ付けよ!テレビ」
響は誤魔化すようにそう言って、
テレビで讃美歌が流れる。
「クリスマスの特集かな?」
「そうかもね」
そう言って二人でコタツに入る。
「ねぇ、梨乃?」
「なに?」
「クリスマスは一緒に過ごそうね」
讃美歌といつもの風景と