ユンとリリスとクレハ
幼なじみトリオー19
++++++
あの星を捕まえて
お題配布元:
流星雨
暗い夜の空、子供達は草原にねっころがり見上げていた。
各々が思い出すのは、先日のテレビのニュース。
今日はドラゴンタイプの技ではなく、本物の流星群が見れると、キャスターが告げていた。
当然、滅多にない機会に3人の目は輝き、大人達の反対を押し退けて、此処で集まっている。
「早く流れ星、流れねぇかなー。」
そう、けだるそうにクレハが言うと、リリスは興奮したように返した。
「この隙を利用して、ユンもクレハもお願い事考えれば良いのよ!それとも二人とも決まったの?」
「……。」
「……。」
急に静まり返った二人に、彼女はきょとんとした。
リリスは左端におり、真ん中にクレハを挟んで、右側にユンが居る。
暗い風景の中、辛うじてクレハの顔は見えてもユンの顔は見えずらく、不思議に思って声を発した。
「どうしたの?二人共。」
そんな中、ユンが頬を染めてモジモジしているのが目の端にしっかりと映るクレハは、願い事も何と無く察してしまい、この甘酸っぱい友人をどうしようかと、内心頭を抱えた。
正直ユンをリリスの隣にしてやりたいくらいである。
しかしそんな事をしたら、顔を真っ赤にして逃げてしまうくらい、ユンがシャイな事を知っているクレハは、今日は別の手助けをする事に決め、わざと困ったような口調で物事を進めた。
「いやー…願い事ねぇ。叶えたい願いもないし、俺は考えてねぇや。ユンもそうだろ?」
「え?……えぇ。」
ユンはその言葉にやっとの事で頷く。
(なんでリリスも気が付かねぇんだろうなぁ……、わかりやすいだろう、ユンの対応。)
クレハが一人ヤキモキしている間に、「あ!流れ星!!」とリリスが指を指し、嬉々とした声ではしゃいだ。
それを合図にユンとリリスは手を合わせ、瞳を閉じる。
そんな二人を見ながら、本当に自分の願いがないクレハは、こうお願いをした。
(星を掴むくらい難しい事かもしれないが、どうかこの友人の恋路が上手く行きますように。)
2011*04*08