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この輪においで!

ラウラはマグカップに注がれた珈琲を飲みながら、ぼんやりと窓からの景色を眺めた。

窓の外ではしろつめ草の絨毯の上で、幸と蜜華とドロテーアの3人は、こぞって草冠など作っているのが見える。

「…懐かしいな。」

幸はテキスト通りに綺麗に草冠を作り、ほんの少し飽きっぽい蜜華は途中から雑な仕上がりになるだろう。

その一方でドロテーアは手先が不器用だから、きっと上手く出来なくて、幸に真剣に教えて貰ってるのだろう。

そう、ラウラは考えて柔らかく笑った。

「まるで昔の私達のようだ。」

草冠を作ろうとするも不器用なアンティアと、仕上がる前に飽きてしまって消えるクラエス。

結局まともに作り終えるのは、いつもラウラだけだった。

パソコンに目を戻し、仲が良いとは言えない二人を思い出す。

しばらくして。

規則正しく3回ノックが聞こえた。

「幸だね?どうぞ。」

ドアが開く音と共に、子供が3人、連なって此方を見ている。

「…あのね、ラウラ。これ。」

もじもじとしているドロテーアの手には、想像した通りの草冠がある。

「何?俺にくれるの??」

そう言って3人の傍に行って、目線を合わせるように座る。

「ありがとう。ドロテーア、頭に乗せてくれないかな?」

もじもじとするドロテーアの頭をそっと撫でると、嬉しそうに笑った。

「それとアンネに作ったんだ。いつ帰ってくるか、知ってる?」

「そうだな…。今日の夕方くらいには、ティア達が帰ってくるよ。」

「ありがとう!」

蜜華が大きく手を振って走り、ドロテーアが追って走る。

幸は一回だけお辞儀をして二人の後を追った。

きっとそのままの足でマナの所に行くのだろう。

ラウラはもう一度笑うと、珈琲を口にした。


この輪においで!
子供達には部署も所属も関係ない
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