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光と闇の物語

初めてサイバーをダウンロードした理由は、患者仲間の勧めもあったが、ほんの少しの『好奇心』と『承認欲求』、それから『現実からの逃避願望』が主だった。

逃げたい事、とはたくさんある。
例えば『病気の事』『家の事』『未成年である事』。
どれもみんな重たい足枷で、仮に1つ解決した所で何も解決しない。
生きている限りつきまとうそれは、“『死』という概念でのみ救われる”と私は考えた。

助けてほしいと仮に声を荒げても、未成年に出来る事などたかが知れてる。
勿論例外はあれど、大人は『可哀想な子供』に、奇異の目を向けるだけだ。

「こんな事言う私は、可愛くない子供ね」

自嘲気味に笑い、鏡に映るサイバーの私を見つめる。

可哀想な子を見る目を必要としない、純粋な私を構築しようとサイバーでのキャラを、『いつか来る筈だった私』に設定した。
その姿はまるで私の母のようで、何処か懐かしい気持ちになる。

「私にだって、死に場所を選ぶ権利くらいあるわ」

そう鏡越しに言うと、私は光り輝くステージの上へ向かった。

光と闇の物語
(好きなだけ歌を歌い、好きなだけ踊れるこの場所で、私は最期を迎える)

++++++
まだアンジュ君と会う前の話。
そういえばこういう掘り下げなかったなぁ、と思ったので。

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