*匣(密室・空間)にまつわる怪奇譚。
*とある雪の山小屋で起こった怪談。
*極限状態の中で垣間見た不可思議。
*あなたの肩を叩いたのは誰ですか?
*銀世界から這い摺り出で来た異形。
【:†四角い匣の怪奇・肆†:】
(絶対にここで眠ってはいけない)
(絶対にここは眠ってはいけない)
そこは雪に閉ざされた真冬の山奥
遭難した五人の登山家達が彷徨う
(五人の登山家が雪山に登った時の災難)
(天候が急変し登山家は遭難してしまう)
雪華の舞う中で帰らない命背負う四人
悲しみと冷めた鼓動を置き去りに歩く
(途中で一人は落石により頭が割れ)
(遺体は仲間の登山家に背負われて)
音が無くなって行く視界
幅が狭くなって行く足跡
(残った四人は山小屋を見付け)
(その中に避難することにした)
銀世界の端から次第に迫る暗闇
軋む扉を開いた先の空間が歪む
(山小屋に辿り着いた四人の登山家)
(遭遇したのは一生に九死の怪奇譚)
◇
暖は焚けない火もくべない暗い夜
それでも生きたいと足掻く生存者
(四人の登山家は山小屋で雪夜を迎えた)
(そこは暖も無く火も無い暗い極寒世界)
星すら降らぬ雪夜の下にて集いしは
一縷の希望を求めて縋り付き合う個
(それでも朝が来れば下山出来ると)
(僅かな希望の光を絶やしはしない)
窓を叩く窓を叩く雪と風
肩を叩く肩を叩く手の音
(起こす番を決めて瞼を閉じる)
(叩かれる手だけが唯一の合図)
意識の片隅に横たわった境界線
次は誰の番かと触れる手の逡巡
(夜中繰り返される手の合図の中に)
(見え隠れする何者かの気配が蠢く)
◇
四方の四隅は結界を為す場
一つズレ二つズレ手が叩く
生まれてしまった違和感を拭い
死と隣合わせの暗い夜を抜けて
いる筈の無いもう一人の手は
朝日と共に影の中に融けた…
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続き>>>介錯的解釈文+あとがき。
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