スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

:†後書き兼介錯的解釈な反省文†:




はい。皆様こんにちは♪
今日は久々に妹とカラオケに行く事になりました燈乃さんですっ!!(*´∇`*)/
(※寝落ちをして見事に日付を跨いで仕舞った為に、表記が若干可笑しいです)

と言っても、妹の休日に私の半日出勤が乗っかる形になるので、あまり長居は出来無いですけれども。心の叫びを引き連れて楽しんで来ようと思います「(*●∀●*)」

さてさて。今回は前回載せた『文スト乱歩夢』について色々綴って行きますよ〜。

乱歩さん夢は、文ストの小説三巻を読んだアクセル全開の衝動から生まれた話です。夢主の設定は追々載せますが、最初に浮かんだのが『異能力を持っていない』事。

そして、乱歩さんと同じく、異能力者に匹敵(或いは追随)する程のハイスペックな能力の持ち主だと言う事です。乱歩さんの扱い云々については夢主が語っていますので、勿論それ以外で長けた部分を持っています。乱歩さんとワンセットな感じです。

夢主が社長の養女になった経緯は、夏目先生からの依頼が由縁です。最初は保護対象でしたが、紆余曲折の末に、社長が引き取り手に名乗りを挙げました(←ここ重要)
そこから、必然的に乱歩さんを含めた三人暮らしが始まり、現段階で武装探偵社の社員の中でも最古参の一人となってます。

ちなみに。社長と乱歩さんが探偵社として看板を掲げて、初めての救出者だったりします(←表沙汰には出来無い黒社会絡みの少々曰く付きの事件だったりします)

あと。乱歩さんは恋人同士と言っていますが、実情は若干内縁な感じです。勿論、当人同士はその点に関してあまり気にしていません。周りが少しザワつくだけです←
(※籍も入れていなければ結婚も未だですが、家族の延長線みたいな感じです)

前回の夢小説の中でチラッと出て来た、夢主の『肩書き』については、また順を追って追記しようと思います。探偵社の主要メンバーとの関係性も、ちょいちょい混ぜて行きたいですね。個人的に、国木田さんとの上下関係は書いていて楽しいです。同門同士なのもありますが、和むので(笑)

……はい。取り敢えず、骨組みとしてはこんな感じですね。次回はもう少し、夢主について掘り下げたお話になります。夢主の詳細の彼是もちょいちょいお披露目出来たらなぁと考えてます。ほのぼので甘い話にしたいのにシリアスが横槍を入れる現状が打破出来無くて若干ジタバタしてます←



ではでは、今回はこの辺で☆



*

:†文スト夢小説/乱歩夢・壱†:




*文豪/ストレイ/ドッグスで短篇夢譚。
*登場夢主は乱歩の相方で福沢の養女。
*日常系なほのぼの話を目指してます。



【:†名探偵との出掛け方†:】



乱歩は自由奔放で天真爛漫で気分屋だ。
それは、乱歩との付き合いが続いている今も。乱歩と出会って付き合い始めて真新しかった昔も。そして、多分。これから先も、終ぞ変わる事は無いのだろう。

だから。つまり。現時点で目の前で起こっている有り様――国木田の如何しようも無い困り顔と事務所の雰囲気も、そんな乱歩から生じた事象の延長線上に過ぎないものなのだと。何と無く察する事が出来た。

「国木田……あ、うん。大体解った」

外回りから帰って来て早々。如何したのか。そう訊ねようとした矢先に、後輩の国木田から無言で盛大に頭を下げられる。次いで、机(デスク)を椅子代わりにして、その上に嬉々として悠然と座っている乱歩の姿を見付けて、大体の状況は把握した。

確か。記憶している予定(スケジュール)が正しければ、今日は乱歩宛に依頼の予約が入っていた筈である。しかも、この時間帯、義父様――もとい、社長は所用で外出しており、不在だ。故に。此処迄頑張って尽力して呉れた国木田に対して、この場で無性に「偉い偉い」と褒めたくなった。

「……すみません。詩歩さん」

「ううん。善いよ、気にしないで。そんなに大した事じゃ無いし」

それに、今に始まった事じゃ無いから。
そう云って、深刻そうな表情をした国木田の肩を叩いて宥めると、私は机の上に座っている、件の名探偵へと歩み寄った。

「ただいま、乱歩」

「やぁ。おかえり、詩歩」

お気に入りの駄菓子を食べ乍ら、上機嫌を絵に描いた様に微笑む乱歩。

彼こそが、この『武装探偵社』を支えている名探偵。探偵社の生命線とも云える大黒柱なのだが、少々(後輩が胃を押さえる位には)自由奔放で、気分屋な処が有る。

何時もなら社長が鶴の一声で諌めて呉れるのだが、不在の今は期待出来そうに無い。なので。取り敢えず。私はたった今思い付いた、出来立てほやほやの発案(アイデア)を、乱歩に提示して見る事にした。

「ねぇ、乱歩。デートしよう」

「え? それって今から?」

「うん。今から。正確には、乱歩が仕事を終わらせてから。それに、私の都合で二時間位で終わっちゃうかもなのだけれど」

「それでも良い?」と訊ねた途端、乱歩の表情がキラキラと輝き、嬉しさと期待が全面に押し出されたものへと変わった。

「あっはっはっ! 莫迦だなぁ。良いも悪いも、僕が詩歩からの誘いを断る訳が無いじゃないか! 善し。そうと決まったら直ぐ行こう。事件なんてパパッとサクッと解決して、デートを満喫しなくちゃねっ!」

「うん。解った。でもその前に、仕事の引き継ぎをお願いして来るから、三分位待っていてね」

意気揚々と出掛ける準備を始めた乱歩に軽く制止を掛け、私は部下である事務員を数名召集する。私が不在中の『繋ぎ』として幾つかの仕事の引き継ぎをお願いすると、部下たちはそれを快く引き受けて呉れた。皆一様に、何処か肩の荷が降りた様な、心の底から安堵した表情を浮かべている。

それ程迄に、乱歩の対応に余程四苦八苦していたのか。如何やら部下たちの天秤は、一時的な仕事の増加よりも、そちらの早期解決へと重く傾いていた様である。

私の発案が探偵社にとって二重の意味で助け船に為ったのならそれで良いが、部下たちの仕事を増やして仕舞った事に代わりは無い。日々心労が絶えない部下たちに、後で差し入れを持って来ようと決心した。

「……お待たせ、乱歩」

丁度三分程度で部下たちへの引き継ぎを終えると、待っていましたと云う体で、乱歩がズイッと此方に手を差し出して来た。

「ほら、詩歩。早く行こう!」

「うん」

乱歩から差し出された手を取ると、その儘乱歩に引っ張られる体勢で以て、社員たちの温かな視線に見送られ乍ら、私は探偵社を後にしたのだった――。



退屈は乱歩を殺す。事件が有っても興味が無い、或いは気が乗らなければ、乱歩は能力を発揮しない。ならば。そこに続く様に、乱歩が好きに名探偵を出来る様に、此方が考慮して行動すればそれで済む話だ。

動かない相手を無理に動かそうとするから、それで大抵の事象は拗れて仕舞う。
ならば、此方が譲歩すれば良い。文字通り相手に自分の意見を提示した上で、発言を譲れば良いのだ。最終的な判断は自分と相手の利害の相互一致も加わって来るが、それは普通の一般人に当て填まるものだ。

乱歩に関しては、別段それで困った事は無い。乱歩は他人には出来無い事が出来る。他人には見えない解決の糸口が見える。
それは乱歩の絶対的な強みだ。それを存分に発揮出来る場所が有れば、自ずと乱歩の興味の矛先はそちらに向くだろう。

だから。この場を借りて、幾つか弁明をしようと思う。私は断じて、乱歩の扱いに長けているのではない。乱歩が私の発言に乗って呉れているのだ。自身よりも能力の劣る私の発言に、敢えて乱歩は譲歩して呉れているのだ。理由など簡単で明白だ。

それが合理的でお互いに都合も効率も良いから。乱歩にとっても、私にとっても。

『探偵社最強の事務員』と云う、何とも仰々しい肩書きが、何時から私に附与されたのなのかは定かでは無い。探偵社の武術の最強ならば社長だし、推理の最強ならば間違い無く乱歩だ。私はただ、乱歩が名探偵として恙無く行動し易い様に、探偵社を支える事務員兼調査員として、各場面や各要所の段取りを整えているに過ぎない。

【超推理】を発揮せずとも、その機微を看破するのは、乱歩には朝飯前だろう。
敢えて私に合わせているのは、自惚れになるかも知れないが、乱歩に私個人として信頼されているからだと、そう願いたい。

そう願わずには、いられない。



「……ねぇ、乱歩。如何して、今日の依頼に行きたがら無かったの?」

「ん〜。待って居たら、こうして詩歩と出掛けられる気がしたから」

宣言通り。事件をパパッとサクッと解決して見せた乱歩は、仕事が終わったその足で私を連れて、とある喫茶店のテラス席で、甘味に舌鼓を打っていた。

「根拠は? 私の帰りが遅くなる可能性だって、十分有った筈だよ?」

「それは無いよ。詩歩も僕と同じで、依頼に時間は掛けない性分だからね。それに万が一長丁場に為るとしたら、詩歩ならもう少し軽装(ラフ)な格好を選んだ筈だ」

私の問い掛けに、乱歩はショートケーキの苺をフォークで突付きながら答える。

確かに。依頼が長丁場に為る様ならば、現場での予期せぬ事態を想定して、もう少し動き易い服装にするだろう。

その思想は、私が未だ社員として駆け出しだった頃。私を心配して見兼ねた社長から提案された言い付けに基づいている。

社長曰く――時として、身に合わない服装は自身を危うくさせる要因と為りうるらしい。肌に触れている衣服の類いは、攻撃から来る損傷(ダメージ)や衝撃を身体に伝え易い危険材料に為るのだと。

依頼で荒事に巻き込まれても、単独且つ無傷で収拾を着けられる様に為った今でも、当時からの習慣が抜けてない処を省みると、社長からの『提案(思い遣り)』が、私の中で願掛け(或いは原点回帰)に似たものに為っているのかも知れない。

それを長年の付き合いで知っている乱歩からすれば、身近で些細な疑問など、推理せずとも、最早見慣れた日常の域だろう。

「それに。今日の詩歩の予定だって、近場の得意先から入った物ばかりだったし。僕の呼ばれている時間迄には帰って来るって、自ずと解って居たんだよ」

「これで解ったでしょ?」と乱歩に小首を傾げられ、私は素直に首肯した。

「……ん。相変わらず、乱歩は凄いね」

「そりゃあ。何て云ったって僕は名探偵だからね! 僕に解けない謎は無いよっ!」

「じゃあ。如何してショートケーキの上には苺が乗っているのか、知ってる?」

「えー? 知ーらない」

話題を切り替えれば、先程の発言とは打って変わって、乱歩は興味の無さそうに唇を尖らせる。年相応でない子供っぽい言動が板に着いているなあと、改めて思う。

「だってねぇ、詩歩。謎解きと雑学は違うよ。ショートケーキの上の苺なんて、甘いクリームと一緒に食べたら酸っぱく為るだけなのにさ。それを知っていて如何して態々乗せているのか、未だに疑問だよね」

云い乍ら、納得が行かない様子の乱歩は、ショートケーキに乗った苺を突付く。
確かに。そう云われてみれば疑問だ。

「……味の減り張りとか、色合いのバランスとかじゃないかな? このケーキの種類(タイプ)で一番ポピュラーなのが、苺だって云うのは聞いた事が有るけれど……」

「ハイ。詩歩、あーん」

何処かに的を射た答えは無かったものかと彼是(あれこれ)考えていると、何の前触れも脈絡も無しに、私の思考を遮る様にして眼前に苺が差し出される。

「……え?」

「だから、『あーん』だってば。久々のデートなんだからさ、たまには恋人同士(カップル)らしい事しようよ」

疑問に小首を傾げる私に、乱歩は苺を差し出した儘説明して呉れる。その表情がとても愉しそうに見えて、不思議と胸が高鳴るのを感じた。紡がれた『恋人同士』と云う響きに誘われる様にして、私は徐に口を開ける。

「……あーん」

鸚鵡の様に乱歩の言葉を復唱して、フォークの先に刺さった苺を口に含む。
もぐもぐと咀嚼すれば、噛み締める度に口内に甘酸っぱい風味が広がった。クリームが付いていて普段よりも酸味が強い苺を飲み込むと、乱歩がクイクイと自分の方を指差す。如何やら今度は乱歩の番らしい。

「じゃあ詩歩、僕にも『あーん』して」

「……じゃあ。はい、乱歩も。あーん」

「あーん♪」

先程乱歩が私にして呉れたのと同じ様に、私も乱歩に苺を差し出す。パクリと苺を頬張る乱歩。その様子を見て、私は今更ながらに思った疑問を声に出して尋ねる。

「……ねぇ。乱歩って、酸っぱいの苦手だよね?」

「うん。酸っぱいのも苦いのも嫌いだよ。甘いのが一番好き」

乱歩は俗に云う『子供舌』の持ち主だ。
しかも、その味覚は甘党に偏っている。
基本的に、癖の強い味付けは好まない。
それは乱歩との付き合いで熟知している事実だが、酸っぱい苺は乱歩の好みに当て填まらない筈だ。

なのに、如何して食べたのかと。

その旨を込めて尋ねると、苺を飲み込んだ乱歩は一瞬ポカンと目を丸くして、次いで盛大に笑い出した。上機嫌で、何処か照れ臭そうな色を含んだ声色で以て、乱歩は言葉を紡ぐ。

「ハハッ!! そんなの、詩歩が好きだからに決まってるじゃないか」

そうじゃなかったら絶対に食べないよ。

そう告げられた言葉を、脳内で咀嚼して反芻する。言葉の意味を理解すると同時に、徐々に頬に熱が集まるのが分かった。そんな私を見て、乱歩は悪戯っぽく笑う。

「わぁっ!! 詩歩、苺みたいに真っ赤だ。ねぇ。今食べたら甘いのかな?」

頬に伸ばされた乱歩の手に、私は自ずと自分の手を重ねる。元より、こう云った乱歩との遣り取りで勝機の無い私は、早々に白旗を挙げる様に乱歩の手に頬を寄せると、高鳴る胸の内を吐き出す事にした。

「……甘いと思う。甘かったら、良いな。だって、乱歩の事が好きだから。乱歩が好きな甘いのが良い。そうしたら、乱歩にもっと、好きになって貰えるでしょう?」

「――っ!!」

「……乱歩?」

乱歩の顔が驚きの色を浮かべると、ボンッと音が聞こえそうな位に上気する。
乱歩から受け取った好意を、私なりに思った侭に素直に告げただけなのだが。何か可笑しな事を云って仕舞っただろうか。

「……うん。そうだ。詩歩は昔からそう云う子だよね」

「……何か、変だった?」

「ううん。もしも詩歩が苺だったら、大好き過ぎて食べきれないだろうなあって思っただけ。あー……だからね、詩歩」

思う存分いっぱい自惚れて良いからね。

朱の差した頬に熱を灯して破顔する乱歩は、テーブル越しに身を乗り出すと、手の触れていない方の頬に接吻を落とした。

甘いねと。囁かれた乱歩の言葉に、私は為す術無く白旗を上げたのだった――。



*

:†延長戦上の反省文兼後書き†:




はい。皆様こんにちは♪
新年度が始まって以来のご挨拶になりますお久し振りです燈乃さんです!!(お辞儀)

今回の四月馬鹿企画。今回は、最近ハマりつつある弱ペダを獄都事変夢と混合してみました。当初は本当に短いプロローグ的なもので、載せるのは一本だけの筈だったんですが。物の見事に延長戦に突入(発破)

結果として、零話から肆話の五本立てになりました。これも途中は四本だけとか言っていたクセに、導入編の零話を持って来たら見事に一話分増えて仕舞ったと言う←

で。今回の混合夢奇譚ですが、各話ごとにフリーホラーゲームの某場面や、ミステリーホラー小説や都市伝説の断片的な要素をちょいちょい混ぜ込んでます。飽くまでも、シチュエーションの雰囲気をオマージュ(或いはパロディ)したものなので、味付けはかなり薄めてます。薄味健康嗜好(爆)

四月馬鹿企画なので、そう言った少し外れた風味をお楽しみ頂けたなら幸いです。

あと、懺悔と言うか反省点としましては、すいません一度寝落ちして話を挙げ損ないました。なので記事が一日空白です(沈)

リアルでの反省もそうですが、人間(生者)と人外(獄卒)の異なる価値観を表現するのが難しかったです。今回は獄卒が人間の生活に混じって生活する逆トリップ要素仕様ですが、各話の登場人物と夢主の会話が所々噛み合っていないのはその所為です。

なので。相手に深く考える隙を与えずに、淡々と会話を進めています。聞かれていない事も淡々と話しますが、夢主はその辺りあんまり気にしません。聞き手からすれば身の毛もよだつ話でも淡々口調です(笑)

ちなみに。混合夢奇譚に於ける生者側(箱学旧三年生)の霊感の有無(強弱)は、荒北君・東堂君・新開君・福富君の順です。
夢主の正体がバレているのも、荒北君の野生の勘ならぬ野獣の勘によるものです。
何気にお互いに貰い事故なんです(滝汗)

東堂君は勘が良いですが、意識を向けない限り干渉は受けません。新開君は見えない事が多いですが見えても素通りします。
福富君は獄卒から見ても至って善良な人間で霊感は皆無です。反面王者の貫禄(生命力)で大体の悪いモノは近寄りません。

生者を連れた上で、怪異絡みの異界での戦闘は大変だろうなぁ(←当初思案した件)

続かない次回予告(真波君編)で、ちらっと出た後輩組の設定やちょいちょい夢主の小ネタが有ったりしますが、それはまた別の機会に書けたら載せたいと思います。

……はい。そんなこんなで。
今回も例に漏れず、企画・反省文共に大分長くなって仕舞いましたが、ここまでお付き合い下さりありがとうございました。

次回からまた平常運転に戻りますっ!!



ではでは、今回はこの辺で☆



*

:†四月馬鹿企画混合夢奇譚・肆†:




*弱ペダと獄都事変の混合夢小説です。
*獄都夢主が弱ペダ世界で生活します。
*旧箱学三年生で基本荒北君寄りです。
*荒北君と面識有で正体もバレてます。
*今回の出演は福富君。忌瀬視点語り。
*人間と人外の強さに於ける相違点譚。



【:†異なる強さと重なる色の譚†:】



(射し込む光の底に隠していた瞳の色)
(それが意味する処は未だ誰も知らず)



他人とは違うモノが見える世界。
人間では無いモノが見える世界。

ほんの些細な処から色彩は溢れ。
重なり合った視点から光が綻ぶ。

「……うわぁ。やっちゃったなぁ」

それは術の定着が揺らいで不安定な日。
何度同じ術を施しても、瞳の色だけが上手く行かず、人間離れした獄卒特有の瞳の色を誤魔化す為に、使い慣れないカラーコンタクトを着けたのが見事に災いした。

不幸中の幸いだったのが、移動教室での授業で別棟に向かう途中だった事だ。距離的な問題で、早めに移動しなくては授業に間に合わない為、廊下に人の気配は無い。

授業に遅れて仕舞うのを覚悟の上で、私はコンタクトを捜す。私が着けていたものは、獄都で作られている獄卒専用の特注品だ。紛失だけなら良いが、現世の物体で無い以上何が起こらないとも言い切れない。

そう思考した処で、廊下に親しい人間の気配を感じ取った私は、思わず身を固くする。正体がバレている荒北君なら話は早いが、残念な事に、どうやら違うようだ。

「……そこにいるのか喜瀬か? そこで何をしている?」

「あ、福富君。ちょっとコンタクトを落としちゃって。今捜しているとこなんだ」

コンタクトが外れて仕舞った右目を隠し、私は福富君を見上げる。てっきり先に移動教室に行っていると思いきや、まさかの人物との遭遇に内心やや冷や汗が浮かぶ。

「そうか。この辺りで落としたのか?」

「えっ!? いいよ、そんな。福富君まで授業に遅れちゃうよ?」

自然な流れで廊下に腰を下ろす福富君に、私は思わず制止を掛ける。しかし、そんな私の制止など何処吹く風な様子で、福富君はコンタクトを捜す姿勢に入っている。

「問題無い。先生が言っていたが、今日の授業は視聴覚室での映画鑑賞だそうだ」

「えっと。芸術から暗号を割り出して、歴史を紐解くって内容だったよね。でもあれ、レポートが有った様な気がするけど」

「感想文では無く、映画に出て来た作品と時代背景を調べ、当時の歴史についてまとめるものだと聞いている。美術と世界史の二つを学ばせる狙いが有るのだろうな」

「へぇ……じゃなくてっ!! 授業に遅れちゃうよっ!! 私の事は良いから、福富君は先に行ってて大丈夫だからさ」

「いや、良くはない。お前が困っている時点で、大丈夫ではないだろう」

だから手伝おう。そう言い、福富君はコンタクトを黙々と捜し始める。こうなった福富君を止める術は無い。良しとした事を貫く人格者の福富君は、荒北君や新開君とはまた違った面倒見の良さを持っている。

強面で言葉足らずで不器用な福富君だが、その心根はとても真面目で誠実なのだ。

生者の中でも、善良と言われる部類。
その人間の手を獄卒が煩わせていると言う現状に、若干の罪悪感が湧いて来る。

「喜瀬。お前が捜していたのは、これで合っているか?」

「えっ!? 早っ、もう見付けたの!?」

片目を隠していたとは言え、まさか先を越されて仕舞うと思って無かった私は、驚きから声を上げる。福富君の指先には、私の捜していたコンタクトが乗っていた。

「……うん。私ので合っているよ。ありがとう、福富君」

「ああ、見付かって良かったな」

そうして、指先に乗ったコンタクトを福富君から受け取ろうとして、私はコンタクトを落とさない様にと、咄嗟に両手を出して仕舞った。それに気が付いたのは、手の影に隠していた右目が光を得て、珍しく驚いた表情の福富君を映してからだった。

「…………あ」

血の気が引くと言う感覚は久々だった。
気付けば、顔を隠す様に俯いたままの状態でもって、廊下にしゃがみ込んでいた。

見た。見られた。見られた。見られた。
如何しよう。如何しよう。バレた。バレて仕舞ったかも知れない。如何しよう。

「緑……いや、黄緑色の瞳か。その系統の色は、世界的に珍しいものらしいな」

「……え?」

頭上から降って来た言葉に、動揺していた意識が次第に静けさを取り戻して行く。

「喜瀬、その色は生まれつきか?」

「……うん。でも、他の人とは違うから、いつもは色を隠してるんだ。周りに気を揉ませたくないし、驚かせたくないから」

「そうか。ロードはヨーロッパが主流だ。向こうのレースを見ていると、稀にお前と似た瞳の色の選手を見掛ける時が有る」

福富君の短い返答に、私は徐に顔を上げる。鉄仮面と称される強面な表情は、いつもと変わらないながらも、何処か見守ってくれている様な雰囲気を浮かべていた。

「……福富君は、私が怖くないの?」

「怖い? 何故だ?」

「普通と違うのは、怖い事でしょ?」

ほんの些細な隙間から声が零れ。
滴り落ちた先から波紋が広がる。

「違っている奴は強い。他人と異なる意思を持つ者は、その意思を貫こうとする」

だから強い。信念を持つ者は強い。

そう答える福富君は、自分の言葉に強い確信を抱いていた。自身が強いからこそ、高みを目指そうとする者たちの強さが分かるのだろう。型に填まらず。自分たちの意思を、ただ直向きに貫こうとする強さが。

「お前も同じだ。路の上では無く、裏方としてサポートを徹底してくれているお前も、お前だけの強さを持っているはずだ」

「……うん。そうだね」

福富君の言葉に、私は静かに首肯する。

「そうやって、皆を支えられる事が、それが私の強さだったなら、嬉しいな。だってそれは、とても誇らしい事だもの」

獄卒時の任務の際には、前線で怪異と対峙する同僚たちのサポートに徹している。
それが功を奏して、人間時のマネージャー業に活かされている。発揮される能力や強さの種類は違えど、誰かを支える事に長けていると言うならば、それは誇りだ。

「お前の瞳の緑は、芽吹きの明るい色だ。春の名を持つお前に、相応しい色だ」

だから、自信を持て。お前は強い。

そこに他意は無い。仲間を気遣う純真な想いだけが、鼓膜を揺らし、胸に染みる。

「――うん。ありがとう、福富君」

静かに差し伸べられた手を取り、立ち上がる。そこからの風景は、いつもよりも幾分か、色鮮やかに輝いて見えた気がした。

ほんの些細な音色から心が震え。
強くなる意思の在処を指し示す。

他人とは違うモノが見える世界。
人間では無いモノが眺める世界。



(降り注ぐ優しさの前で見せた瞳の色)
(それは直向きな強さと想いを介する)



【:†異なる強さと重なる色の譚†:】



《続》





>>>>次回予告



「ねぇ、『先祖返り』って知ってる?」


それは、神様の約束とは異なる呪い。
異なる血脈が混ざり合い交ざり合い。

世代を越えて覚醒した一人の血脈は。
生きている衝動と歓喜に翼を広げる。


「なまじ本物の翼を持たなくても、風を上手く捕まえられるから、変なモノに目を付けられやすいんだよ。あの子は」


獄卒の不安を置き去りにしたままで。
自由奔放に天真爛漫に路の上を走る。

人間の肉体で産み落とされた血脈は。
両翼と共に何処まで走り続けるのか。



《次回》
【:†見えない翼を追い掛ける譚†:】



(※すいません。次回予告とか書いてますけど続きません。次回は後書きです!!)



*

:†四月馬鹿企画混合夢奇譚・参†:




*弱ペダと獄都事変の混合夢小説です。
*獄都夢主が弱ペダ世界で生活します。
*旧箱学三年生で基本荒北君寄りです。
*荒北君と面識有で正体もバレてます。
*今回の出演は新開君。忌瀬視点語り。
*新開君からウサ吉の事で色々聴く譚。



【:†言ノ葉無き命の声を聴く譚†:】



(命の秒針を刻みながら鼓膜を揺らす)
(小さく小さく鳴り響く温もりの鼓動)



言葉を介せないモノが在る。
言葉を持たないモノが居る。

声無き声の向こう側に佇む。
そして傾聴を望む者が在る。

「――春愛は、動物と話せるのか?」

「ん?」

私を『人間(仮初め)』の名前で呼ぶのは、ウサ吉に餌をやっていた新開君だった。

唐突に振られたその問いに、私は小首を傾げる。疑問も有るが、同時に如何答えるべきかと言う対応を思考しての反応だ。

今の私の場合、両方の答え方が出来る。

荒北君からの発言を経由して、いつからかオカルト系女子と噂されている私は、所謂『霊感持ち』と認識されているらしい。

そもそも。『霊感』云々以前に、人間に変化している獄卒なのだから、意図して感知しようとしなくても、否応無く人外魑魅魍魎を感知して仕舞う癖が付いている。

私自身は公言していないが、そう言った感覚を人間が『霊感』と示すのなら、人外魑魅魍魎側は否定も反論のしようも無い。

「う〜ん、どうだろう。私のは、人よりも見聞き出来るモノが多いってくらいの感覚だから。動物と話せるかどうかって言うのとは、また違うんじゃないかな?」

「そっか。おめさんなら出来るんじゃないかと思ったんだけどなぁ」

出来無くは無いが、私はやや濁し気味に答えを曖昧にして、敢えて首を横に振る。
それに対して、新開君は残念気味に苦笑を浮かべた。その内心は大体察しが付く。

目の前の心優しい少年は。
贖罪の魂と共に在るのだ。

「もしかして『ウサ吉と話せれば良いのにな』とかって思った?」

「……ああ、少しな」

淡い悲しみの中に苦い罪悪感が浮かぶ。
普段飄々としていて気さくな新開君は、その実心根が優しい子だ。誰かの気持ちを察し、汲み取る事に長けている。逆に言えば、誰よりも繊細な子なのかも知れない。

「過ぎた願いは、身を滅ぼすよ」

気持ちは分からないでもないけれど。
そう続けて、私は新開君に釘を刺す。

元来優しい人間は突け込まれやすい。
揺れて壊れた部分が有るなら尚更だ。

目の前の心優しい少年は。
悲しい瞳で命を見るのだ。

「……新開君。少し、話をしようか」

ウサ吉に餌をあげながら、話を続ける。

「この世界に『新しいモノ』が生まれる度に、『昔から在ったモノ』は、少しずつ少しずつ、この世界から減って行ってるんだって。だから、昔からずっと残っているモノは、今では大分少ないんだそうだよ」

「……それって絶滅危惧種の話?」

「それも含めた色んなモノ。時代の中に文明が生まれて、その中で埋もれて行ったモノ。意図的に消されて仕舞ったモノ。淘汰されて仕舞ったモノ。自分から忘れて仕舞ったモノ。誰かが隠したまま見付からないモノ。自分から手放して仕舞ったモノ。それら全部が少しずつ、風化して行くの」

「文化遺産とか?」

「動物の言葉もそうだよ。神様が国造りをしていた頃まで遡ると、動物は普通に言語を介していたんだよ。今では擬人法としてしか表現されていないけど。お伽話や昔話で動物が喋るのは、神格化された動物やその遣いが言葉を使っていた名残だよ」

「じゃあさ。昔使えてたんなら、何で今は喋れなくなったんだ?」

「多分。必要無くなったからだと思う」

餌を食べ終えたウサ吉の背を撫でて、今の現世よりも遥か大昔の風景を思い返す。

「自分たちの住処を追われて。人間と共存出来なくなって。人間たちから離れて暮らして。自分たちの縄張りと種を守る事に命を費やして行く中で、動物は言葉を必要としなくなって仕舞ったんじゃないかな」

現に一部の種を除く多くの動物が、その術を放棄した。子孫への言葉の継承を棄て、忘却の道を選んだ。種の存続を選んだ。

「だからね、新開君。無い物ねだりは駄目だよ。欲しがり過ぎても駄目なんだよ」

欲張りは駄目だ。偏っては駄目だ。
平衡を保て無くなった天秤は歪む。
歪み。折れ曲がり。崩れて落ちる。

だから、今有るもので補わなければならない。過ぎた事は元には戻らない。無くなって仕舞ったものは、帰って来ないのだ。

「動物に言葉は無くても、温もりが有るでしょう。ウサ吉は私たちと話せないけれど、これも確かな命の言葉だと思うよ」

指先から伝わる鼓動と温もりに、私には宿っていない、確かな命の形を感じる。

「……なぁ、春愛。俺は、ウサ吉にちゃんと向き合えているかな?」

「うん。ウサ吉を見れば一目瞭然だよ」

不安気な新開君の問いに答えながら、ウサ吉を抱き上げる。可愛らしい円らな瞳は、一点の曇り無く私の顔を映している。

「言葉を介さない分、動物は本能で気持ちを察するんだよ。真っ直ぐに。純粋に」

新開君にウサ吉を預けて、ウサ吉の安心した気配に、自然と空気が柔らかくなる。

「ねぇ、新開君。新開君にとっては贖罪なのかも知れないけれど、君がウサ吉に注いでいる愛情は、ウサ吉にちゃんと伝わっているよ。そうじゃなかったら、ウサ吉がこんなに優しい表情をするはず無いもの」

贖罪の義務だけでは、愛情は示せない。
逆に言えば、真摯に向き合っているからこそ、相手に想いが伝わるのだと思う。

「……そっか。ありがとうな、春愛」

幾分か穏やかになった新開君の雰囲気に、亡者への処罰とは異なる、生者としての贖罪と、その救済の形が見えた気がした。


言葉を介せないモノが在る。
言葉を持たないモノが居る。

声無き声の向こう側に佇む。
そして傾聴を望む者が在る。



(言の葉と同じ重さを内に抱きながら)
(その鼓動は確かな命を紡ぐ声となる)



【:†言ノ葉無き命の声を聴く譚†:】



《続》





>>>>次回予告



他人とは違うモノが見える世界。
人間では無いモノが見える世界。

ほんの些細な処から色彩は溢れ。
重なり合った視点から光が綻ぶ。


「福富君は、私が怖くないの?」

「怖い? 何故だ?」


ほんの些細な隙間から声が零れ。
滴り落ちた先から波紋が広がる。


「普通と違うのは、怖い事でしょ?」

「違っている奴は強い。他人と異なる意思を持つ者は、その意思が強いからだ」


ほんの些細な音色から心が震え。
強くなる意思の在処を指し示す。

他人とは違うモノが見える世界。
人間では無いモノが眺める世界。



《次回》
【:†異なる強さと重なる色の譚†:】



*