本の感想
またです。ごめんなさい、最近活字熱の波がきてて(なんか変な表現だ)。
ネタバレにならない程度に。この小説は友達に薦められて借りました。
こんなに揺さぶられるとは思わなかったし、恋愛小説でしょ、って甘くみてた。その類いの小説って、どうやってもフィクションらしいフィクションで、話を遠くから眺める感覚になっちゃうからのめり込めない。
でも、この本を恋愛小説とだけ呼んでしまうのはあまりに物足りない。
恋だけが、相手だけが、自分の世界じゃないけど、彼と彼に関連すること全てが特別すぎた。
忘れられない。忘れたい、忘れたくない。全部私だったし、君だった。
後、キーパーソンの加地君の言葉で『俺はひとりでいられなくなる方が怖いけどな』『(中略)ちゃんとひとりで立てる人間同士が、それをわかった上でもたれ合うからこそ、意味が生まれるんだ』というのが、小さな驚きでした。いや、なんとなくわかっていた気もするけど、気だけで、もやーとした考えだったので。人がもつべき強さは、たったそれだけでいいはずなのにね。
アイデンティティ・クライシスという言葉を知りました。誰もが経験したことあること、ふむふむ。
解説の重松清氏のことばを拝借して。〈恋すること/愛すること〉を包み込めるものがあるとしたら〈生きること〉、それをテーマにした小説です。私的には読後の虚脱感が心地いいという不思議な体験。
月だけを追いかけて前へ進む私は、月が消えたらどうなってしまうんだろう。
都会には願う星すらない。