年に何度か読後気分が悪くなる小説を読みたくなる時があります。今回はコレ。
NHKでオードリー若林と芥川賞作家・羽田圭介が組む番組がありその中で出たメタモルフォシスの感想と端的なSM論から、興味を持って今回購入しました。
あらすじ
昼間は老人に高い投資をさせるサトウは、夜はSMクラブに通うしがない証券会社員である。ある日、変死体のニュースを耳を挟む。それは、そのクラブで通う知人の死体だった。
彼を死に至らしめた女王様は誰?
そして、痛みの究極に行き着いた先には…

今作は、芥川賞受賞以前の候補作という事ですが…内容が内容なだけに、読み終えた後、真っ先に審査員さん方はどのような気持ちで読んだのだろうと過ぎりました。
本当に心の準備が欲しくなる位、あらか様な表現と登場人物達の卑猥な概念(願い)が序盤から最後まで駆け抜けますので、ハラハラドキドキします。
次に際立つのは、日常とのコントラスト。真面目に働いているだけ、その対価は激しいものになっていきました。ただ、彼らには、これが精神的に健全にストレスを解放する術なのだったと思える文脈がとてもグッときました。
ラストは、三島由紀夫の命売りますを彷彿とさせます。
残念なのは「これ、すごい面白いよ!オススメ!」って人様の眼前でとても言えないのが悲しいところ。
でも、本当に面白い小説です。