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「苦海浄土」を読んでみたいと思う

100分de名著のテキストを読んでみての率直な感想です。
石牟礼道子のライフワークと言える。
熊本は水俣病を取り扱った大長編を紹介した本で、当番組も勿論見させて頂きました。
しかし、それで本文をすべて把握出来るものでは決してありません。
ですが、当事者を取り巻く環境、年譜を資料に内容が手に取るように分かるテキストになってます。
「公害」が公認されるまで隠蔽し続けてきた企業、国、社会。富と言う言葉に操られ、二度と取り戻せないものを容易く消失させた人間の愚かさ、食物連鎖からなる自然への畏敬と魂とは何なのかを構成に取り上げられています。
特に、一個人の言葉、表情などの一部が紹介された場面では、桜の花びらの少女、水俣病を生まれながら患った杢太郎少年に対する爺様の石に託した深い愛情は固唾を飲むものでした。
そして、批評家の選んだ作者の他書からも情感を察することが出来ました。
原本は分厚いのを承知で、テキストに書いてあった通り「途中、つまずいたところが大切」と肝に命じ近くの書店に取り寄せてもらいたいと思います。




散るぞ悲しき

久しぶりの読書感想文
散るぞ悲しき-硫黄島総指揮官・栗林忠道-
梯 久美子
もうそろそろ三十路になろうとしているので、今一度生まれ育った『日本』について知ろうかと思い買った一冊。
分類は、ルポ、インタビュー、ノンフィクション作品になります。
タイトルは、彼の辞世の句
国の為重きをつとめを果し得で 矢弾尽き果て 散るぞ悲しき
から。
口絵は貴重な彼が映る戦争資料と家族へ宛てた手紙。
当時の風潮のせいで『悲しき』が『口惜しき』へと改変された理由を序章において、栗林忠道の人間像、硫黄島が置かれた立場、太平洋戦線、玉砕という言葉の真意、米軍の立場、敗戦までの過程がこと細かく描かれています。
作中に出てくる栗林像は映画『硫黄島の手紙』のまま。
家族や部下が語る彼は、温情深く洞察力あり切れ者。戦中に亡くなられたのが本当に惜しい人物です。
地下豪の劣悪な環境下で苦渋が滲み出ていく文章に読中心苦しくなりました。
前述した通り敗戦までの過程の中で『硫黄島』は、大変重要で危険な所だった事が理解出来ます。
民間人が銃を取るように迫られ、戦地で窮地に追いやられる姿が活字の中で甦ってきます。
過去は変えられない。ifを考えても虚しくなるだけですが、そんな歴史の上で生きているのだと読みおわった後、パタリと本を置きしばし黙祷しました。
…これ以上綴るのは難しい作品ですが、ただただ真実を追った著書は今を知る上で大切な一冊だと思います。


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