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無題

「黙ってんな、こっち見ろ」
低い声で怒りを露にしている賭博師に軍師は目を閉じた。
「お前、本当なのかよ、さっきの‥話」「‥事実、です」「お前さんがスパイ?は、何を持ち帰るっつうんだよ」「‥情報は、送りましたから」「昨夜のオウサマとの作戦会議か?」「ええ」
見下ろした軍師に色はない。能面のような表情に賭博師は掴んでいた腕から手を離す。
「嘘だよな?」「‥‥」「なんとか言えよ、お前がスパイだなんて冗談だろ」
見上げた賭博師はアメジストに怒りが灯っていた。これで嫌って欲しいと思う、そしたら躊躇いなく行けるのにと歯痒くなった。
「行かせねぇ、からな」「‥しかし、スパイと知っていながら」「関係ねぇ、監禁したっていい」「セッツァー殿」「スパイでした、はいそうですかって、渡すと思うなよ」

無題

「‥ヒラノエさま」「‥お主‥無事だったか」「はい。まさか特殊隠密の奴等は死にませんよ‥忍びですし」
生き延びて軍師を探していたと言う。あの毒に気付いて抜け出したようだ。
「しかしそれでも帝国兵に殺られた奴等もたくさんいます」「そうか、よく生きててくれた」「ヒラノエさま‥将軍は‥?」「あの方は、あの‥方、は」
沈んだ表情をする軍師に忍びは首をかしげた。
「あの方は、帝国に密偵に」「左様ですか!?さすが将軍!」「お主も動きを見張っていてくれ‥将軍は密偵にお忙しい身だ、接触は避けるように」「承知」
闇に消えた部下を見つめて唇を噛む。言えなかった、だがきっと‥接触は避けるだろう。
「‥ここにいたのか」「マッシュ殿」「あれ‥誰かいた?」「いえ、我一人に御座います」「話声がしたから」「‥気のせいです、何か?」「ああ、酔っ払いを受け取ってくれよ」「セッツァー殿ですか?」「あはは、なんか不機嫌でさ、酒‥煽ってたから」「ベッドにどうぞ、投げ捨ててください」「あはは」
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