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リドル

いつも慕われる側だったから恋慕うことを知らずに育った彼は初めての感情に戸惑っているように見えた。本能ですら律してしまう完璧な彼が、じわじわと愛を知る。想像しただけでも背筋がゾクゾクとした。孤独で完璧な彼が私に愛情に限り無く近い感情を抱いている。恐怖でしかないソレを彼はゆっくりと染み込むように知っていくのだ。愛はヒトを強くも弱くもするのを私は知っていて彼がどちらに転がるのかも私は知っている。彼は強くなるようなヒトではない。後者であろう。それでも私を殺せない、失いその後を考えるという恐ろしさを知って、行動に移せず、私に関しては立ち止まってしまっていた。今しがた儚く散った命にも愛する者が存在するのだと考えるようになってしまったら彼は二度と誰も殺せなくなってしまうだろう。闇の皇帝とやらは姿を消してしまうのだろう。私の手に掛かっているかのように思えたが、生きて償わせるには遅すぎてしまった。ようやく愛を知った彼は私を抱き締め、英雄に殺されに行ったのだ。これでいいのだと思った。どうあがいても、闇に落ち行く彼を救うことは出来なかった。彼の強い憎しみを拭うには遅すぎたのだ。それでも愛を
知った彼に愛されることが出来て幸せだった。おやすみなさい、リドル。

セブルス

愛している、そんなチープな台詞で片付けられる程、簡単な想いではなかった。「貴方が欲しいの、すべて、血の一滴まで誰かの手に渡すなんて許さない」言ってみるものだと思った、その言葉が彼を本気にさせたのだから。本気になったのかどうかは正直、理解に苦しむが彼の緋色の瞳が私を映し、欲した。前とは違う彼の態度に嗚呼まだヒトの成りがあったのだと嬉しくも悲しかった。本当に闇がほしいのならばあの時に私を消すべきだったのだ。朽ちた彼を見て、私はようやく安心できたのだ。アルバス、私はようやく任務を終えることが出来たよ。可愛い可愛い我が子同然のあの子はようやく呪縛から解き放たれたんだよ。

「キミは--貴方は何処にいくの?」「愚問だね、ハリー。私は全てを終えることが出来たんだ。これでアルバスとの約束も果たせた、長かったよ」「死なないよね?」「アズカバン行きを逃れられるならね」「もちろん!証人はたくさんいるんだから!」「ありがとう、でも、少しだけ休みが欲しいなぁ」「やすみ?」「学生時代から今まで殆んど休みらしい休みがなかったからね、そうだな、10年ぐらい休んでもバチは当たらないだろうね」「出来れば、連絡が取れるところにいて欲しいな」「もちろんだよ」「あと、」「私のことはいいからさ、」「えっ?」「まずは、友達のところへいってあげなよ。キミを待ってるよ。私は逃げないから」「うん!」走り去るキミは昔の友を思い出させて、少しだけ悲しくなった。

身体が、ふらつく。支えてくれたのは嘗ての宿敵、セブルスだった。「無理をする」「流石に、ボロボロ、でもようやく終わった」「我輩を助けたのは何故だ?」「何故って、」「校長から聞いていた、死すべき者であると」「一人で楽になろうと思わないでよね」「なに?」「セブルスは私の道連れ、初恋が実らなかった同士仲良くやりましょ」敵わないなとセブルスは言って私はお茶目にウィンクをしてみせた。

子供はいなくとも良い夫婦になれそうな設定が浮かんだので。リドル世代はキャラが分からないけれど

リドル

ハリーは私を恨んでいるのだろうか、叔父の家には宛がわれずにのうのうと過ごしてきたのだから。スリザリンと言われた時もトロールに襲われた時も私は弟を守りたくて必死だった。ファミリーネームは養父母のものだけれど、アルバスオジサマはそれでも私をハリーの姉だと教えてくれた。だから私は言えなくても彼らと接触を試みた。邪険にされたが姉だと理解したハリーは嬉しそうで羨ましそうだったのを覚えている。ただ、私はハリーの代わりにはなれなかった。分霊箱はハリーだから、記憶に見た例のあの人は私にとっては初恋の人だったから。あのとき、あの冬に時空を越えた意味は分からないけどアルバスオジサマは話を聞いて、腕の印を見ても許してくれた。私は、私を愛してくれたトムがもういないと知りながらハリーに杖を向けた。「姉さん、何故!」「ごめんなさい」「行っちゃ駄目だ、姉さん!」悲痛な、弟のこえよりも甘く囁く愛しい人の手を取ってしまった。それが悪魔であろうとも私は幸せだった。

「無事でよかった」「全てはハリーの為だったの?」「キミはいつだって、」誰も彼もが--とまではいかないが生き残る術を私は知っていた、私が皆を手に掛けるとトムに言い寄ったのだ。アルバスオジサマだけは助けることが出来なかったが彼は私にそれでいいのだと言ってくれた。夢に出てきて驚いたが私の愛でトムを救うことが出来なかったのだ。所詮、それまでの相手だったのだろう。私は想いを引き摺りながらセブルスと--かつての友達と結婚した。私は二度も時空を越えていたのだ。それでも構わないとセブルスは言う。私は幸せになってもいいのかわからなくて身籠っていた子供を大切に育てることにした。この子が大きくなればきっと私にも答えが出せるだろうと信じている。

リドル

「リーマスはリーマスだよ」そんな言葉で喜んでもらえるとは思ってもみなかった。私がなんであっても友達でいてくれるのだから、こんな言葉は容易いのに。「キミは単純だからね」「ひどい、ジェームズなんでリリーに嫌われちゃえ」「ひどい!」嘗ての友達はこんなに優しくなかったが今回の友達は優しく暖かかった。時々、闇に堕ちてしまった友を思い出しては泣きそうになるがそれでも今の友を思うと気が楽になる。「キミはいつでも泣き虫だ」「リーマスまでひどい!」リドル、私にはこんなに優しい友が出来たよ。キミは何を思って私を突き放したのかな、悲しいよ、リドル。

「東洋薬学の教授は変わり者だ」「ルーピン先生は変わらないね、変わりようがないか」「キミは変わったよ、明るくなった」「そりゃあ、忘れ形見に会えたんだもの。嬉しくもなるでしょ」リドル、キミは闇の帝王なんて呼ばれてるよ、何があったかは分からないけど私はまたきちんとキミに会いたいよ。

「リドル」「その名で呼ぶな」「私は会いたかったよ、キミに」「俺様はもう貴様の知るアレではない」「私にとっては最愛の友だよ、でもね、私のかわいい生徒をこれ以上傷付けるなら許さない」「俺様に勝てるとでも?」「リドル、私はね、あの頃とは違うんだよ」

「生きて償いなさい」「先生!」「ハリー、生きて償うのがどれ程辛いことかキミは知らないんだね」「貴様の好きにはさせぬ」「リドル、私の最愛の友、キミは死なせやしない」

セブルス

先生、と遠慮がちに囁く声が聞こえる。東洋人の彼女は実家が怪しい薬品を扱う神社だと聞いており、彼女自身魔法薬学に富んでいた。蛇を祀るそこは彼女の聖域だと言っている。「先生は気味が悪いと思いますか」「くだらん」「そう言って下さるのは先生だけですよ、みんな気味が悪いと言います」あの人の部下だとかスリザリンの末裔だとか噂され相当参っているらしく冷たく発したスネイプの言葉にすら暖かみを抱いて少女は笑った。「わたし、山神さまのお嫁さんになるつもりでしたが、今はこちらのが心地好いんです」「疎まれているこちらが?」「マグルよりはマシなんです、魔法を使えることが何よりも嬉しい。強ければ--みんななにも言わないでしょう?」「さようですな」「わたし、強くなりたいんです、はやく魔法を覚えてみんなを守りたい」「守る?」「そうです、みんなを守りたいんです」おかしな子だとスネイプは笑う、疎まれ蔑まれているのに、彼らを守りたいと言うのだ。
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