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今日も部活でグッタリなリエーフくんにお疲れ様を言うのが最近の楽しみで堪らない。必ず笑顔で反応してくれるから可愛らしくて堪らなかったのに、ここ数回はおねだりをしてくるようになった。可愛くない。「リエーフくん、手を繋ぐだけではいけませんか」「正直、物足りなさを感じます」「正直者は痛い目を見ないと分かりませんか」「先輩、優しくして」
可愛い後輩は巨人兵並の伸長を誇る、頼もしく見えるけど中身はおバカさんだった。「先輩、俺のこと好きですか?」「好きじゃなかったら付き合ってないよね」「じゃあ!手を繋いでも怒らない筈ですよね!」「時と場所を考えなさい!」「今は帰宅中ですもん」もんとか言っても可愛く、いや可愛いなんて思ってしまうなんて私も大概にしなくちゃならないなと思いながらも差し出された手に触れるのが恥ずかしくてなかなか出来ないでいれば強引に手を捕まれる。こういうところは可愛くない。「先輩は三年生で、一緒にいられる時間が少ないから、少しでもこうしていたいのに」「私より女子力高いなあ」「先輩がクール過ぎるんです」「私も来年は大学生かぁ、リエーフくん浮気したらシバくからね」「先輩こそ!大学でサークル浮気禁止ですからね」「なに?サークル浮気って?」「飲み会後のうっかりとか!心配すぎる」「しないよ、大学入ったらケータイの待ち受けリエーフくんにしてあげる」「俺は既に先輩です!」嬉しいやら恥ずかしいやらな報告をありがとう、今すぐ変えてください。
ずっとずっとあの笑顔が苦手だった。人の良さそうな顔して本当は何を考えているのかわからなくて、いざ話をしてみたら裏表なんかないんじゃないかって思わせる、そんな彼が苦手だった。「逃げんなよ」「逃げてないよ」放課後の教室には二人しかいなくて不意に言われた言葉にムカチンときたのだ。「いーや、逃げてるね俺から」「人には向き不向きがあるでしょ、私は菅原に不向きなの」「へえ」言って、しまったと思った。まさか本人目の前にして言うようなことでもなかったかと。しかしながら菅原はへこたれた様子はなくなんとなく--なんとなく面白そうに笑ったような気がしたのだ。「俺は向いてると思うよ」「は?」「だから、不向きから向きにさせてやるべ」神様、やはり菅原は猫の皮を被った何かです。
「先輩」「お、月島くんどうしたの?」三年生の教室に来た後輩くんは私の目の前まで来てダンッと机を叩く。喧嘩売りに来たのか可愛くない後輩だなと思っていると「昨日の件は忘れてください」とか言いやがった。やはり喧嘩売りに来たのか。「はいはい、」「それだけです」素直に返事をすれば月島くんは帰っていった。そんな光景を見ていた友達が心配そうにこちらを見ていた。「何かあったの?」「わかんない、けど、いまさきほど私はフリーになりました」「はい?あ、さっきのが噂の月島くんって子?」「そうそう、可愛くない後輩くん」「昨日何かしたの?」「彼氏より親友を優先しただけだよ」「アンタが悪いわそれ」「ひどいな」「勘違いしたんじゃないの?親友って菅原くんでしょ?」「勘違いするような子供、彼氏に欲しくないし」「アンタたちは平気で手を繋ぐんだから勘違いもするわよ」「いいの、どーせ卒業しちゃえば別れるんだし」「好きだった癖に」「は?」「あの後輩くんのこと、アンタ好きだったでしょうに、あんなに嬉しそうなアンタは初めて見たんだよ?今なら間に合いますよ?」「火に油注ぐようなことしか言えないよ私は」「いいから、行き
「先輩と、キスしたい、です」「リエーフくん、邪過ぎる」「だって」手を掴まれて距離を詰められる、少しだけ怖いと感じてそっぽを向けば彼は「駄目ですか」と子犬のような声で鳴いた。ほだされてはいけないと思いながらも見上げた彼は泣いてしまいそうだった。「今度はいつ会えるか分からないのに」「だ、だからって」「ほっぺでいいですから、俺からさせてください」「っ、し、かたないなぁ」チュッと頬に柔らかな感触、早い。もう少し躊躇うという言葉を覚えて欲しいものだ。「せんぱいからは?」「そんなこと言ってません」「えー」