1021 Fly DAY 後編

業務はいつも通りの量。
同僚の案件の内校をしたり、比較的手が空いていたので、それまでの案件の原稿や資料を整理したり、次回のための記録や引き継ぎ資料を作ったり。ゆっくりと、頭と心の整理も兼ねて。
やったことのない作業には少し抵抗があったけれど、特段問題なくこなした。

問題は夕方からだった。
誤植発覚で、対応に追われた。
発覚直後は原因追及や見積もり、今後の段取りの手配諸々でばたつく。主に上司が。僕は原因追及と修正だけ。
とはいえ心中穏やかでない。

しかもこれはイレギュラーな業務で、これが落ち着いた後ー思いっきり残業時間に入ってからー本来の業務が戻ってくる。戻ってきた。上司もへとへとだ。月末に向けての経理処理しながらだったので、ため息ついている。
比較的ページ数もあり、原稿もやたら複雑で骨の折れるヤツ。どこが折れるって、レイアウトではなくて校閲的な部分。
毎度二人で入念な確認と検証をし、必ず出てくる疑問点を全て文章に起こし、校正とともに相手方に送る。
しかも今回の案件なんと半年ぶりに戻ってきたモノで、前回の指示との齟齬なんてものがあったので、どう説明したものか頭を悩ませた。忙しい人なので履歴を辿らせるのも、かといって経緯を書き連ねても冗長になり、混乱させるかも知れない。
そもそも戻ってきた時点で(資料とは別に)当時の記憶や感覚を呼び起こすのに苦労もした。
「もう、こんな時間ですし、ゆっくりやりましょうw」上司に笑いかけた。
榊に念の為の「遅くなるよ、」の電話を入れてきた後だった。

結局そこでの榊の予想通りの+1時間強かかり、業務を終え、オフィスを閉めた。
イレギュラー処理の後から、壇(※月へんの方で)中のあたりが張って張って脂汗をかくレベルで仕方なかった。投薬している間は軽く痛む程度で済むが、休薬したらコレだ。しかもそんなタイミングに限ってのハードモードって。

さらりと上司と別れた後は、もうそもそも遅いし、無理せず休み休み帰ろうと思った。
カフェかイートインスペースで一息入れてから帰るか、とも思ったが、そこは金曜日。健全なカフェは閉店作業始めているし、開いているところは賑わっている。なんなら酒飲んで盛り上がっている賑わいが街全体に滲み出ている。
(これは早めに帰ったほうがよさそうだ)
決まれば足早に向かう。

てっきり寝ている思った榊に、念の為の状況報告を入れたら、数分後に反応が。
思わず電話をしてしまう。まどろんでいたところのようだった。しかしその後は目が覚めたのか、しつこく?メッセージが届き、なんと駅の近くまで迎えに来てくれた。


家に帰り、最低限のことを済ませたら諸々の誘惑に打ち勝ち、いつもの時間に床にすべりこんだ。
「こんな日もあるさ、」と思って、この日も薬を飲まなかった。
最悪何かあっても休日だし、とたかを括った。そう、つまり、その翌日に当たる今日は見事に撃沈している。


まぁ、こんな日もあるさ。