ヒワイロ

性欲と創造って繋がってると思う。信じてなかったけれど。

僕は素の自分のタッチやセンスというものを好んでなくて、というのも、周りが商業的な整ったものを求めている「と思うから」僕のタッチは良くないものだと、少なくとも商業通用しないものだと思ってて、表に出さないようにしてきた。いい子の振りして、優等生的模範解答的な、無難でありきたりな教科書的なものをつくってきた。

この間、榊に頼まれて「マーク」を作ったんだけど、提案と没案ごちゃ混ぜのラフ紙まるごとの中からコレというものを指し示したら、まさかの没案推しで、しかも譲らない。
使う本人がいいなら構わないと、それを使って仕上げて、渡した。

僕はそれを小さな紙片にプリントして形にするまでは半信半疑だったけれど、そうなる前から、榊や榊の周りの人、しまいには僕の周りの人も、「良い」って言っていてて。言ってくれて。不思議だった。
僕が少し実感を持てたのは、紙に具現化してからだった。それでも比較級であって絶対ではない。不安がなくなった、くらい。

わずかなことだけれど、これは素の僕なのかもしれない。シュールだと言われたこの線の繋がりが。
僕も知らなかった僕がここにいる。この線の中に。
それは、認められた喜びや、あるいは思い描く自分像に近づけた興奮でもなく、期待外れのような悲しさでもなく、そうなんだ、という綿のような軽さをもって心に落ちるような納得。

その日僕は夢を見た。
前の恋人と性的に戯れる夢だった。設定と記憶は榊に出会う前、らしかった。
実家の僕の部屋で、机、棚、あちこちに肌色をした性的玩具があらわに点在していた。
僕は興奮していた。求めていた。恋人じゃなくて、快楽を。待ちきれないと息荒く、立てた膝をガクガクいわせ宙を仰いでいた。

その前の夜も裸の夢を見ている。旬な俳優が僕の前で突然全裸になり踊り出し、僕が冷ややかな目を向けて無視していたら、襲いかかってきた、というもの。

正直言って、そして神に誓って僕に性欲はない。邪魔だと思い始めたら、いつからかなくなった。
だから、欲求不満のせいと思われるのは御免。絶対違う。


過去の経験も統合すると、創造的なことで目醒めた時、自分も知らなかったような素の自分を出した時、性的な夢を見ている気がする。あるいは前兆として。
そして現実の生活もそうだった気がする。
寝食忘れて創造にふけっていた時は、サカってもいた。
て、なんの話だよ(笑




夢の中って、粘液で身体が汚れることも臭いに顔をしかめることもなく、優雅にイイトコ取りで悦に浸れるのがいいなと思うのは余談。

とりあえず相手は選びたい。過去は目覚めが悪すぎる。榊以外なら、せめて芸能人とか空想の人物とかで。