笑っちゃう

家から一番近いスーパーが地域最安値だった。
吸収された数年前まで、は。

そこから北東にズレたところのスーパーも、安いのだが、品揃えが高齢者や単身向けなので、目当てのものだけをそこで。
しかし
このスーパーが最近閉店し、別のスーパーになりかわって、
それが、冒頭のスーパーを飛び抜ける安さで、なるべくそこを使うようにしている。

にしても、近くはないので(気力が足りてないともいう)
ヘビーユースは難しく、週末に買いだめ、
榊が頑張れれば仕事帰りに足を伸ばしてくれる、といった感じ。



卵と味醂。

目下買わなければならないのに、ここ数日買えてない品目。

第3の、駅からの帰り道途中の別のスーパーで僕が購入する?としても
ありえないほどレジが行列だったり、半期四半期末で疲れてそれどころでなかったり、

お互い、
もういいよ、まぁいいよ、な感じで。



3日目むかえて
それでも榊がすっぽかしてて
後から思い出して

こりゃいつものスーパーに行かないからなのか
逆に行ってるからなのか
そもそも選択肢があると、メモリをそっちに奪われているのか

もう笑うしかない。

傷ついてない、わけじゃない

疲れたり、暑苦しいと、
年のせいもあって、支離滅裂に怒り出すのが榊。


見たもの、感じたもの、脊髄反射的に嫌味を言ったり、暴言を吐いたりする。


お風呂に湯をためてないの?
とか
ため始めたら始めたで
なんで言ってくれないの?とか

(言葉は足りないけれど、言いました)


脈絡なく

この先の人生考えた方がいいよ、とか

もう俺は1人で生きていくからさ、とか

また不愉快な言葉を投げかけてくる始末。


酔っ払ってます???
暑いからです???
待ってる連絡が来ないからでしょうか???

子どもじゃないんだから
「八つ当たり的に」投げつけてこないで欲しい。


寝しなには

昨日暑くて眠れなかったからエアコンをつけたいと突然いう。

冬の終わりに掃除はしたけど
使うための掃除はしていない。
昨日寝づらかったのなら
午前中に掃除できましたよね?

僕だって
そろそろエアコンとは思ったけど、使うなら掃除しなくちゃだったなーと反省していたところなのに。

あなたは何も考えてないよね?


で、それもベッドで寝転んだまま1ミリも動かない様子で言うから

僕が脚立出して、フィルター外して
やっとこ起き上がった榊に渡して、

榊、別室に行ったら
「〜!!!」

何かと思ったら
キッチンシンクにまだ皿があるとのたまった。
これじゃフィルター洗えないじゃん、と。
狭い洗面台で洗うのかよ、と。



えええええええー



ご飯食べて、ゆっくりする暇もなく、風呂はいつ?と急かすから

溜めながら、下げ膳して
食器の量によっては
それで大概時間オーバーですよ。


料理を作ってくれてるのは榊だから、
下げ膳するのはは僕で全く構わないけど
洗い終わりまでは
時間や体力次第で前後したっていいじゃんか。

ちゃんと寝る前までには綺麗にしてるし
(なんなら、寝る前どころか、風呂上がりには手をつけてるよ)


本当に昨日はまたいろいろと気に入らなかったようで
最後の最後までぐちぐち言われた。

脈絡も整合性もないから本当に困る。

慣れたからスルーしてるけど。
でも傷ついてないわけじゃないからね

言語化

行き違いで、そのSNSの知人とすれ違いかけた榊。

一旦拒絶したのちの数日後、電話で話をした。
相手もどんな内容でも事実や本音を知りたかったようだ。
自分の物理的および精神的状況やスタンスなどを語っていた。


それを傍で、聞くとはなしに聞いていて(榊はイヤフォンしてたので、榊の部分だけ)
僕も納得や共感できる部分があった。

なんとなく2人とも卒業の匂いがしている。



翌朝、夏至のせいか早く目が覚めた2人で、ベッドの中でそれ関連のことをたらたらと喋りあった。

世代のせいなのか、SNSのせいなのか、異様な関係性や世界観、価値観の世界だよね、と。

すべてはその人の自由だけど、
現実世界での差異のようには理解できないし、
それくらい乖離しているので、理解や助言のために言葉を交わそうみたいな気持ちもわかない。
ただただ諦観。傍観。


言ってるそばから
泊まりがけイベントの件で榊の携帯が通知でブルブルなり続ける。

当初の予定とは真逆の我儘を言い始めた大人が出て、それを他の若い子たちが軌道修正しようとフォローのコメントを入れる、みたいな。
若い子たちも片目潰れる範囲での我儘を言っちゃったせいもあるんだけど。

「「ほんと、みんな自由だね」」

幹事の榊もため息。



ネガティブな疲れもあれば
ポジティブな疲れもあって
とにかく目まぐるしい世界。


僕らはそれほど投げ打てる体力も時間もお金もない。(別のことに使いたい)


カーテンでは遮れきれなかった光で柔らかく仄暗い部屋で
2人呆けていた。

そこには、もう満足といった
いよいよ終わるなぁといった空気が、気配が、漂って、共有していた気がする。

「俺には鮎川しかいないんだからさぁ?」
そうだね。僕も、榊だけでいいんだよ。


こうやって遠くから
眺めあえる程度の知人がいればいいくらい。

交わるのは相方だけでいいよね

カリモノ

すべては借り物。仮のもの。
いつかは天に返すもの。

そう思えば
今の不思議な状況も、やがては消え薄れゆく、無常のもの。

ならば
執着しなくても、行く先々までの身の振る舞いを過度に案じなくても、大丈夫な気がしている。


今一時的に僕の元にやってきているだけ。
いつかは去ってゆく。

眺めていられるだけで

幸せ



榊につられてSNSを活用してみたけれど、疲れるばかりだった。

楽しいこともあれば
退屈だったり、不快だったり
疲弊することもあったり。
長い付き合い/付き合い方にはならなさそうだ。



榊はその点まだ巧かった。

最初こそ力んで、仮想空間での自分像を打ち立て、その通りに振る舞ってきて、
誤解されたり
自分自身も疲れたりして
そこはもう「閉じ」た。けれど

等身大+αくらいで通すことにして
やたらと絡まない(関わらない)ことにしたらしい。


その切り替えのさなか、僕は、ひとり宙ぶらりんでSNSにいた。
とはいえ
榊の移行期間でもあったので、余計なことはしまいと、僕も沈黙を貫いていたけれど。

一挙手一投足に緊張する。
楽しいはずなのに、1人だと、少し重荷。

それは僕が、僕ではなくて、榊のパートナーとして扱われてるからかもしれないと思ったし、
同時に、
だからこそ僕自身もいやすかったのかなと思ったりした。



僕はそんなに友達はいらない。

思い思いにつぶやく知り合いを、眺めて、いいねして、たまにその逆になって、してもらって。
何かあったら薄れて切れてもいい。その瞬間は寂しくなるけれど悲しくはないくらいの別れ方で。
それで十分な性質なのかもしれないと気づいた。

表に立つには重すぎる。




だから、榊が動いて、僕はそれを眺めているだけで満足なんじゃないかなって思った。

パレートで言う2割の側で。



ーおまえ、こんなのにもいいねしたの?

え、だって…ナントカさんだったから、お仕事頑張ってるね、って意味で

ーかー(お人好し、生真面目すぎ!)



そうか。共感まで達さないものなら、しなくてもいいんだ

その言葉を受けた翌朝は
気圧で体や頭は気だるかったけれど、心は静かで穏やかだった。

流れてくるものも
いい意味でいつもより少し遠く見えた。

流れの速さがわからない、川ただそれだけの情景のように、それらはなりかわって。
僕は左右されなくなった
気がした。
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