日常へ戻る道

やはり疲れたそうな、榊。

数日、鬱々とした様子で。
別れ話でも切り出されるのかと思うほど、沈痛というか、かなり落ち込んで考え詰めている様子だった。

少し探りを入れるも、
「なんもないよ、大丈夫だよ」と返されてしまい、それ以上は踏み込めず。

ただ、顔が、その数日の間はずっと曇っているので、別れ話だったらどうしようと、こちらもずっとつらい妄想に苛まれた。



昨日、寝る前にやっと雑談として打ち明けてくれた。

つまりはこうだった。


いろんな人間模様があって、怖くなったり、心が痛んだりする、と。



幸い、あの後、榊が直接何かに巻き込まれたことはないが

仲良しのように見えるグループAと席を同じくしたら、
イツメンだと(こちらは)思ってたひとりを、虐めたり、除け者にしたり、と露骨にしてるのを目の当たりにしたり。

当然、誰かがいなくなれば、その人の悪口を誰かが言うなんてのはよくあることで。

榊も、フォロー/フォロワーの数に反していいねが伸び悩んでるあたり、裏では…?と怖がっていた。
(榊の人格というより、年齢差や、榊は神出鬼没で、それが若干自分推しに感じられるあたり、ウザがられてる気配はある。本人にはやんわりとしか伝えてないけど)

推し活メンバーの中でも、知名度や貢献度や関係性で多少の序列があるのだけど(貢献度は辛うじてわかるとしても、ここがそもそもおかしいと思う)
仲良くなれるかなと思った人たちに
憧れの人には"さん"づけなのに
榊は適当なあだ名つけられて
優劣つけられて傷ついたり、とか。

ちなみに
榊=50代
憧れ=30代
若造=20〜30代
※僕は30半ばです


ですよね。

いや、僕はよくここまで平気でいられる(た)な、と思ったくらいですよ、と正直に伝えた。

あだ名も、粗末な扱いも
"いじり"として受け入れて、
慕われて嬉しそうだったけど、
僕からしたら、軽んじられてる感があった。
「僕の榊を、気安く扱わないで」という気分だった。
最初は恋人としての嫉妬かと思ったけど(それも含むかもしれないけど)、
親しき中にも礼儀あり、でしょう?


榊だって、いつもそう。
子どもの頃、友達がいなかったから、そういう感覚(アンテナ)もなければ、飢えてる分、そういう扱いにもめろめろに弱い。
僕はプライドが高いので、そう簡単には心許さない。最初からくっついてくる人はNO thank youなくらいだし、失礼な榊の相手も、ユルユルの榊も憎くてたまらないほどだ。


交流=どうしても酒の席になりがちで、酒癖の悪い奴も少なくないらしい。
お祭り番長の榊を持ってしてもドン引く、失礼・無礼すぎる輩がいて、それも疲れる、と。

隣の卓に眉を顰められたり、
僕との私生活話に、挑発的な返しや煽り、絡みしかできない奴がいたり。


仕事でも学校でもない
楽しみや友達作りといった共通の目的を持ってきているのに
こんなにもレベルやベクトルが違うことになるのか、と。



生い立ち的に仕方ないが、やっぱり夢見がちな榊。
これで多少は懲りたようで。

泊まりがけのイベントも、上記の例の当該人も参加するので、どうしようかと惑う始末。
ほぼ幹事なのでちゃぶ台返せないけれど。


そうそう、それも、
榊のオペレーションミスで、参加意思表示が曖昧な人を巻き込んでしまった、という。
そういうところですよ。
ノリと勢いでやるから、あとで後悔する。性急すぎたね。


幸い、榊は推しの人たちも好きだけど、ベースは作品を推しているので、
少しずつフェードアウトしたい、と言っていた。


日常に帰っておいで。少しずつ。