適正距離は、相対的

その親子関係から、自己否定的・自虐的な性質を持ってしまった場合、親とは距離を置いた方が賢明なのだろう。



大人になって、人付き合いがうまく「こなせる」ようになって。
親との関係が改善されるかと思ったけど、変わらなかった。

むしろ、どうにかできる気がする、そう期待が高まる分、叶わなかった時の喪失感は倍増だ。



こういうケースは、親(の価値観や評価)が絶対で、
親に認められない限り、満たされないし、自己否定におちいる。



僕は
「親に応えられない僕がいけない」
とばかり思っていたけど、
「親にいつまでもひっぱられる僕」
がいけないのであって
それを植え付けた親にも原因があると思う。



自分が、様々なことでみんなとは違うのかもしれないと自覚を持つまでは

落ち着きがなく、言うことをなかなか聞けず、突発的で、変哲で、運動神経も頭脳も要領も悪い僕だった。

それを丸出しにして、叱られ、呆れられしていた。

ヒトトチガウコトと分かってからは、なるべくオナジく見えるようにかばった。


オナジく見えるように。
いつからか、つねにそればかりを気にかけていた。




「お前。

昔近所で見かけた、虐待されてる犬と同じ目、してる」


衝撃的だった、榊に最初の頃言われた言葉。


でも、不思議と納得してしまったんだよね。

胸にグッサリ刺さったけど、頭にきたりせず、いちばんストンときちゃったんだよね。



僕よりはるかに壮絶な過去と関係を経た榊も

親にそれでも期待する気持ちって無意識のうちに持たされてるし、
捨て切るまでに相当な時間と力が要った
みたいなこと言ってた。

そう、刷り込まれてるみたいな感じ。
すごいイヤだ。




依存に違いないと認めた上で、

榊のそばでないと、
親に引きずられ、擦りあわされて、磨耗してしまう。

榊は僕に擦り寄せをしないし、
榊とのグレーな同居関係ゆえに、親たちも深入りしてこない。

悲しく、切なく、申し訳なくなることもあるけど
でも、
都合良い隔てるもの
になってくれているのかもしれない。



「味噌汁の冷めない距離」?

そこに絶対的数値はない。