榊、本屋にて

家→病院→職場という日々が続き、少し疲れた僕は、週末、買い物途中に本屋をぶらつかせてもらった。

仕事関連の参考書、雑誌、記録簿、スポーツトレーニングの本、そして新書。

「ごめん、待たせてるね。あと二種類見たら終わるから」
「あぁ。…しかし、ここは医療系の本少ないね」
「?? うーん、ファミリー向けのお店だからね、」

……………

「鮎川、決まったか?」
「あ、うん。これとこれ、二つ買うか、片方我慢するか悩んでるんだけど…」
「ふーん。雑誌はいらないんじゃないか? ていうか、本がナメてやがるの」
「は?」

見ろ、と言わんばかりに榊が指差す先には、
「…血管…」と特集名の書かれた平積みの書籍。

それが?と顔をしたら

「心臓の血管ばかり!
全然参考にならん!」

思わず笑ってしまった。


榊には感謝してるし、その分申し訳ないけれど、それに関する本は既にざっと探したけれど存在しないみたいなのだ(機関誌は除く)。


僕が自分のためだけに本屋をうろついてる間、榊は僕のための本を探してくれていたんだね。

なんだか少し自分がカッコ悪く思えた。自分のことばっかり。

セカンドオピニオン

セカンドオピニオンをとることにした。

申し出たら、先生はがっかりしたような喜んだような不思議な反応だった。
「先生」といっても30歳前後に見えるから、若い方。

「ここの先生は、断然僕よりも詳しいので…」

という声がわずかに震えていたのは、どう捉えたらいいのだろう。



先生の診断や治療(しないけど)計画に納得しているが、病気についてちゃんと知っておきたい。
それが第一の目的。


この病気に気づいてくれたのは先生だってことは変わりない。

その前の科の先生よりも、じっくり画像を見て、それを指示しながら丁寧に説明してくれて、微かな映りにも気がついて、様々な想定をしてくれた。
偉そうな言い方になるが、すべてにおいて適切だったと思ってる。


セカンドオピニオンは=転院ではないつもり。
仮に転院になっても、僕は先生への感謝の気持ちを持ち続ける。

この道を拓いてくれたのも、まぎれもなく先生だから。
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