スキだと言う言葉に偽りはない。なのにどうして彼だけを愛せないのだろうかと整備士は困惑していた。彼に対するのは親愛の情なのだろうか、それでも彼に抱かれるのもスキだし傍に居られるだけで胸が熱くなる。なのにどうして、彼だけを愛せないのだろうか。こんな感情はいらないと頭を振る。
「セツ‥セツ、だいすき」
握る工具を投げて身体をソファに沈める。帝国にはありとあらゆるものがあって幸せなはずなのに、ここでまさか彼らを思うなんて考えてもみなかった。
「ダリル、貴女ならどうした?彼だけを愛せない私を笑うかな」
金糸の双子を思うと叫びたくなる、あんなことするなんて卑怯だよと王様を憎らしく思いながら「バカ」と呟くのだった。