ある日俺は迷子になった。
幼児でもないのに迷子かよと思われそうなのだが、なってしまったものは仕方ない。それに迷子といっても迷ったのは道ではなく世界だ。
過程は信号無視の車が突っ込んできたという在り来りなもので命を落とし、実はそれが神の手配ミスだというなんともファンタジーに満ち溢れた理由だ。
こんなことを言うやつが身近にいたらいい病院をお勧めするが、これまた事実なのだから仕方ない。
俺がそれを半分疑いながらも事実として受け入れたのはとある知り合いの影響だ。立ち位置としては友人若しくは親友にあたるのだが、そう紹介すべきか非常に迷うくらい彼女は変わっている。
まあそれで神と名乗る球体が手違いだからと俺を頼んでもないのに別世界に飛ばすと言い、光り始めたときに過ぎったのは家族でもなくその親友だった。
金色の眼を吊り上げて、怒るんだろうな、と。

それより俺は、目が覚めたら赤ん坊になっていたことこそが手違いだと信じたいがな。

(20091230)