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花売りの娘(ぶしねた)

「お前の所為だ!」
 拳が壁を殴る。鈍い音が響いた。吠える声は何処までも強い。
「お前があの子を!」
 ぎらぎらと憎しみに燃える瞳が、恵介を睨んだ。
「何度私たちから奪えば気が済む! 何度私たちから引き離せば気が済む! だからお前らは嫌いなんだ!」
 何度? その言葉に疑問を持つものはいない。
 尤も、美月の剣幕に口を挟めないだけなのだが。
「美月」
 そっと、晴太が美月の拳を取った。
 痛ましげに眉を寄せ、両手で優しく包み込む。
「言い過ぎだよ。今回は忽然と消えたんだ。彼の所為だと決まった訳じゃない」
「でも――」
「それに、彼に後ろ暗いことはないんだ」
 顔だけ恵介を見て優しく微笑む。
「そうだよね? 恵介」
 美月に噛み付かれていた恵介の、身体の震えが一層強くなった。
「俺、は……」
「知らない、と言ったよね?」
 焼けた鉄を近付けられたときのような気持ちが恵介を襲う。
 逃げたい、でも動けない。
「知らないんだよね?」
「俺、おれ……」
 恵介が口を開き、言葉にならない言葉を喉から搾り出していると、黒い爪が襖に音を立させて開いた。
「花音」
「円香ちゃんが帰ってきたよん」
 ちらと室内に目を走らせ告げる。
 ほっと息を吐いた麻子に近付き立たせ、恵介と美月そして晴太の三人を順に見遣る。
「恵介は行っといで」
「え、でも」
「行けよ」
 花音の言葉に戸惑う恵介に美月は低い声で突き放した。
「お前見てると吐き気がするんだ」
「ごめんね、美月思い込み強いから」
「そんなこと、」
「だから行っていいよ」
 すぅと、晴太の取り巻く空気が冷える。
「罪をなすりつけられたい訳じゃないだろ?」
「、」
 ごめん。口の中でそう呟いて、恵介は部屋を出て行った。
「麻子も仕事に戻ってねぃ」
 とんと背を押し麻子を促す。
 躊躇うように花音を見たが、花音は笑顔で黙殺した。
「にしてもやり過ぎじゃあないかい?」
「……どうせ忘れる。『人間はそういう生き物だ』」
「この部屋での出来事は記憶に残らせないよ。勿論、麻子もね。…………狡いよね。彼女は人間になれたのに」
「まだあと五百回あるよねぃ。じゃあ準備したほーがいーんじゃない?」
「後五百しかないんだ……!」
 爪が食い込むまで握りしめられた拳。
「その五百回すべて僕たちが見つけられるとも限らない。それに、ひとであるとも限らない」
「なのに」
 悔しさに口唇を強く噛む美月。そんなことをしたら切れてしまうだろうに。
「……あなたたちの答え合わせはいらないよん。だってこの物語は」
 花音は口元に弧を描く。
「唯の挿話なんだからねぃ」
 しゃらん。美月の髪を飾る朱塗りの簪が鳴いた。


――――
改変してから使う。因みにタイトルは未定。

ね、むい

愚痴。
しかもバイト先で客に対する愚痴なので、見たくなければバック。
単に私が吐き出さなきゃ気が済まないだけのページ。







今日高学年〜中1くらいの男子の客に、真面目に切れそうになった。
「せやからちょぉ待てゆうとうやろ」って言いそうになった。(キレぎみ)
だってレシート二枚あるはずやのに一枚しか持ってこんと、しかも会計ばらばらで(これはいい。よくあること)、二枚に一人の会計が跨がってる(どういうことやねん)。
しかもお前持ってきたん一枚やからな? こっちにお前の注文半分ないわ。ちゃんと伝票見てからゆえや^^
何回「少々お待ち下さい」言ったやろ。それでもしつこいから「せやから、」といいかけて飲み込んだ。やばかった。
てか客だと思って大きい態度なのか、たんに日常からそんな態度なのか……前者なら唯の馬鹿。小さい人間。後者なら親の気がしれんわ。

個人的にあちこち動き回ってたのにすごいいらついたけど。きさんおとなしく座れんのか。飛び出し坊やか^^。何回もぶつかりそうだったてかぶつかったし。いった、とか知るか^^おとなしゅう椅子座っとけ。

あと、たまたま渡した五百円玉が汚れてたらしく、これ使えるんですかね?とか違うやつが聞いてきた。知るか^^偽じゃなきゃ使えるわ。近所のコンビニか自販機で試してこいや^^。鬱陶しかったから交換してやったら、まあ当然やなとか私がキレそうになった奴が言ってリアル死ねと思った。
本当は放置でもよかったんやけど、はよ出てってほしかったし。二度と来んなと思うけどまた来るんやろな。何回も見たもん。ほんま来んといてほしい。鬱陶しい客や。

なんか食べ終わった食器下げるときにも変なパフォーマンスされたし。寸劇?うざかったから一から十までシカトした。どんなこと言われてもマニュアルのことしか言わんかった。

私「そちらのお盆下げても大丈夫でしょうか?」
客「あー?ええで」(何故か財布を置いたままのお盆を持ち上げ差し出す)
私「ありがとうございます」(受け取る)
客2「お前財布持ってかれよるで」
客「何財布まで持っていきよん」(盗むなや、的なヤジが入る。財布を回収する)
私「コップの方大丈夫ですか?^^」(財布のくだり丸シカト)
客「はぁ?いるし。下げんな」(お盆からコップ回収)
私「ありがとうございます。ごゆっくりどうぞ」(客の友達とかのヤジとか総無視。やってられっか)


あー今日もバイトだ

小さな少女

はじめはひとりきりでした。
こどもは ひとりにさびしさをかんじました。
「どうしてわたしはひとりなの?」
こたえはありません。
「どうしてみんなはいっぱいなの?」
こたえはありません。
こどもはじぶんのなかに ともだちをつくりました。
じぶんをたいせつにしてくれる。
じぶんのこえにこたえてくれる。
じぶんをまもってくれる。
じぶんをあいしてくれる。
だからこどもはそのこをあいしました。
あいしたぶんだけ かえしてくれるとしっていました。
こどもはもうさびしくありません。
こどもはふたりだからです。

しょうじょになったこどもはさびしさをかんじました。
「どうしてわたしたちはてをつなげないの?」
――わたしにからだがないから。
「どうしてみんなはてをつないでいるの?」
――みんなはからだがあるから。
しょうじょはみずたまりをながめました。
きのうのあめが のこしたものでした。
ぱしゃり。
みずたまりをけりとばしました。
「……あなたにからだがあればいいのに」
「大丈夫」
「え?」
ぶあついまえがみではなまでかくしたこがいました。
「きっとその子も箱ができるわ」
すずのなるようなこえ。
「どういう、」
てをのばしかけるとどうじに、ざあとあめがぎゃくりゅうしました。
しょうじょはそして。



(20100803)
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