「ひろーい!なんかあったかい水が流れてるー!」

風呂場に入るや否や、ディムがそう言った。今、王の楯一同と国王と王妃は新羅の実家兼旅館に来ていた。

「ディムったら子供ね。」

「もしかしてアタイこんなんだから胸がおっきくなんないのかな?!」

「それは関係ないと思うわよ…」

深刻そうな面持ちでディムはそう言った。それを、ラミエルがやんわりと否定する。そして話題は、胸の話へと変わっていく。

「…ルツェファ様はけっこうあるんだね…」

「ディム胸小さくなった?」

「なにおう!そーゆールラっちだって相変わらずぺったんこじゃんかー!」

「ぺったんこって言うなー!」

この二人の言い合いは、幼稚だが必死だった。フェニに至っては不思議そうに小首を傾げているし、ラミエルとルツェファは生暖かい目で二人を見ていた。

「やっぱグっちゃんも胸あった方が好きなのかな…?」

「副隊長はたぶんそういうのに興味示さないから大丈夫なんじゃないかしら。」

「そのままの貴女が好きなのよ、きっと。」

「そうですよね!大丈夫だよね!」

へこむ新羅をラミエルとルツェファ二人掛かりで立ち直らせる。前向きという考え方により、復活は早かった。

「さて、フェニ、いらっしゃい。洗ってあげるわ。」

「ピィ」

化身していないフェニを、ラミエルは豪快に洗いはじめた。フェニも嫌ではない様子で、甘んじて受けていた―

- - - - - - - - - -

「隣って女湯だよな!」

「だからどうした」

「覗こうぜ!」

「…一人でやれ」

一方男湯では、ハイテンションなウルフェンが騒いでいた。それをヘルディオルは忌ま忌ましげに眺めていた。

「陛下も覗こうぜ!」

「馬鹿!陛下になんて事を言うんだ鳥野郎!」

「鳥野郎ってなんだよ犬っころ!」

大声で話す内容ではなかったが、最早関係なかった。話の場に出されたアリウスは、苦笑いを浮かべた。

「俺はいいや、ウルフェンだけでやったらどうだ?」

「陛下、唆すような事は言わないでください」

「ヤッハーちょっと覗くぜぇ!」

楽しげにそう言った直後、壁を叩く音が響いた。何事か、と思案していると、アリウスはリセードに話し掛けた。

「なあリセード、今のってどういう事だ?」

「…威嚇、といったところじゃないでしょうか」

「威嚇されてるぞ、鳥野郎。」

「だー鳥野郎って言うな犬っころ!」

あれだけ大声で覗く宣言をしていれば、隣の女性陣に聞こえないはずはなかった。気の強い女性陣により、ウルフェンの企みは未然に防げた。

「日頃の行い、だな。」

「俺頑張ってるのになぁ…」

「性格の問題だ。」

これみよがしにヘルディオルが呟くと、ウルフェンは納得がいかないといった表情を見せた。一瞬にして静まり返った男湯に、不穏な空気が流れた――



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★中途半端だけどこれ以上なにもできない。ヴェリスは空気。完全に空気。ていうか男性陣空気。ごめん