「ローザ、大人しくしていてくださいね 」「どうして、貴女まで操られているの?」「偉大なる賢者はそのような術には掛かりません、私には私の計画があるのです。今ここで貴女を助けることは出来ませんが、大丈夫です、助けは必ず来ますよ」囚われの白魔導士に賢者はそう言って部屋を出た。クリスタルと交換、それをあの暗黒騎士は呑むだろう、しかし今先程の会話はこの先不利になってしまうと思い、記憶を消すことにした。それをおもいついた賢者はコホンと咳払いをして「それに、」と言葉を続けた。「望みはあなた方と同じなのです。違いは、その為には手段は選ばない、だけ。正義も悪も、私にはありません」「彼がやろうとしていることは、悪よ」「ならば私は悪すらも利用しましょう、いつか互いの道が交わることを」そう言って賢者は杖を向け術をかけた。眠りに浚われる白魔導士が最後に見たのは優しく微笑む賢者の「ありがとう」だった。