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月島

「先輩」「お、月島くんどうしたの?」三年生の教室に来た後輩くんは私の目の前まで来てダンッと机を叩く。喧嘩売りに来たのか可愛くない後輩だなと思っていると「昨日の件は忘れてください」とか言いやがった。やはり喧嘩売りに来たのか。「はいはい、」「それだけです」素直に返事をすれば月島くんは帰っていった。そんな光景を見ていた友達が心配そうにこちらを見ていた。「何かあったの?」「わかんない、けど、いまさきほど私はフリーになりました」「はい?あ、さっきのが噂の月島くんって子?」「そうそう、可愛くない後輩くん」「昨日何かしたの?」「彼氏より親友を優先しただけだよ」「アンタが悪いわそれ」「ひどいな」「勘違いしたんじゃないの?親友って菅原くんでしょ?」「勘違いするような子供、彼氏に欲しくないし」「アンタたちは平気で手を繋ぐんだから勘違いもするわよ」「いいの、どーせ卒業しちゃえば別れるんだし」「好きだった癖に」「は?」「あの後輩くんのこと、アンタ好きだったでしょうに、あんなに嬉しそうなアンタは初めて見たんだよ?今なら間に合いますよ?」「火に油注ぐようなことしか言えないよ私は」「いいから、行き
なさいよ」はぁいなんて間延びした返事したら背中を叩かれた。
「月島くん待ってよ」「何ですか、もう僕に用事なんてないでしょうに」「あー、あのさ、えーっと、」大切なことを言うのに言葉が出てこない、仕方ないなと深呼吸ひとつついて笑って見せたら月島くんの眉間に皺が寄った。「好きです」「は?」「何を勘違いしたのかは知らないけど、私は月島くんが好きだよ、付き合ってください」「なに、言って」「菅原は親友で、ちょっと度を越えた感じがあるかもしれないけど異性としては見られないから」だからその、と頭を掻く。「愛想尽かさないでよ、あんな言われ方したんじゃびっくりするでしょう?私たちまだお互いを知らなすぎるよ」「言いたいことはそれだけですか?」「はい。月島くんに告白しに来ました」はぁ、なんて溜め息ついて携帯を取り出した。なんだろうかと思っているとどうやら連絡先を消してしまったらしい。また登録し直してくれるという意味なのだろう。「先輩がそういう行動をするとは思いもしませんでした」「ひどいな、好きな子に振られたんだよ?必死にもなるわ」「どーせ、友達に説得されて追い掛けてきたんでショ?」「否定はしないよ、ただ、びっくりして反応が遅れただけだよ」「はい、早く
送ってくださいよ」「はいはい、セッカチさんですね」素直になれないのを知られてしまっただけでも私の性格の半数は知ったことになるのを彼はまだ知らない。

リエーフ

「先輩と、キスしたい、です」「リエーフくん、邪過ぎる」「だって」手を掴まれて距離を詰められる、少しだけ怖いと感じてそっぽを向けば彼は「駄目ですか」と子犬のような声で鳴いた。ほだされてはいけないと思いながらも見上げた彼は泣いてしまいそうだった。「今度はいつ会えるか分からないのに」「だ、だからって」「ほっぺでいいですから、俺からさせてください」「っ、し、かたないなぁ」チュッと頬に柔らかな感触、早い。もう少し躊躇うという言葉を覚えて欲しいものだ。「せんぱいからは?」「そんなこと言ってません」「えー」
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