日曜日の次の日が嫌なら逃げればいいさ

迎えにきたよ

君を

一緒に行こうか


君は 日曜日よりの使者



ソイツは世界中がどしゃ降りだろうと笑いながら歩いて

ありふれた嘘を適当に吐いて

無機質な空間 楽しそうに浮き輪を浮かべて

プカプカ
ぷかぷか

遊んでいた

だからと言って誰かを傷付ける訳ではなく

だからと言って誰にも咎められやしなかった

まるで空翔ぶ自由人


ソイツは日曜日になったら街中に現れて

笑顔で人波を見つめている

知らないあの子と待ち合わせ中かしら

地面に座り込んで

キョロキョロと忙しそうに眼を動かしている


ある日 あたしは思い切って声をかけてみた



ね アンタが、噂の…日曜日の使者?

へぇ よく知ってるね

割と人気だから

そりゃ嬉しいな


あたしは日曜日の使者 の隣に座って一緒に人波を眺めた

みんなせわしなく動いてて

なんだか悲しくなった


誰かと待ち合わせ?

いんや、誰も待ってないよ

じゃあどうしてこんなところにいるの?

さて どうしてだろうね


ヘラリと笑ってあたしを見る

あ 目が綺麗

綺麗ってか…真っ直ぐな目

ちょっとだけ ゾクッとした


そういう君こそ どうして俺の隣にいるの?

アンタに興味があるから

ははっ 俺に興味があるなんて変わってるね


空を見上げて 雲を仰ぐ

もうすぐ夕焼け
おやすみ 太陽さん

ソイツはそんなことを、また 笑って呟いた

今日は日曜日
明日は月曜日

また一週間が始まるのかと思うと、ちょっとだけ憂鬱になった


君は明日からお仕事?

そうよ 毎日上司のお茶汲みばっかりでつまらないわ
貴方は?

俺?俺は来週の日曜日まで旅をしてくるよ


旅…
今の私にはとても遠い単語だな

なんて思ったら 日曜日の使者はこう言った









「…日曜日の次の日が嫌なら逃げればいいさ」











なにその理屈

訳分からない


「俺が連れてってあげる」


どこに?

どうやって?


「流れ星が沈む西の空まで歩いて、東から昇る太陽を迎えに行こうよ」


心を見透かされたみたいだった

どうやらコイツは、退屈な日々から助けてくれるらしい


「日曜日の次の日から逃げていれば、ずーっと日曜日なんだ」


一週間全てが日曜日

それもいいかも

今、あたしも日曜日の使者になろうとしている

そんな未来 誰が予想出来たかしら

ざまあみろ
今 あたしは日曜日の使者にさらわれてしまうのよ!


この世界にアンタを必要としている人はいないの?

俺を必要としている人がいるとしても 今すぐ出かけないと、ね


旅立ちは突然

悪くはないかも


さよなら見慣れた街

次に逢う時は

日曜日の使者として来るわ


「きっと俺は君を迎えに来たんだ、きっとね」




【song by: THE HIGH-LOWS“日曜日よりの使者”】