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それでもあなたがだいすきなんだ!(銀魂3Z:土方)

「…なんか、美味しくなさそう」


こうしてバレンタイン前日に出来上がったガタガタのガトーショコラ(と言う名の暗黒物質)は、これまたガタガタのラッピングに包まれて、食べられるその時をひっそり待つのでありました。
まあ、こっから有り得ない量のマヨネーズが乗っかる訳だし、形は気にしないだろう。多分。



でも…
なんで放課後、トシの部活が終わるまで待たなきゃいけないんだろう。人前で渡されるのが恥ずかしいのかな?
まあ、みんなの前で渡すと色々めんどくさいことになりそうだから、トシのその提案はありがたかった。
ていうか、一日中女の子に囲まれてたんだろうな。その中にトシの彼女とかいたりすんのかなあ。トシに彼女がいるのか分かんないけど。

そこ知らないってどうなの、幼なじみのあたし。


季節は春に向かっているはずなのに、夜はまだ冷える。なんという気まぐれな季節なんだろうか!
あたしは玄関の近くにある多目的ホールで寒さをこらえながら、トシの部活が終わるのをひたすら待った。
使い捨てカイロはポケットの中でとっくにゴミになっていた。この役立たず!リサイクルカイロ買おうかなあ。でも金がない。ガッデム!
あーバイト辞めなきゃよかった。くっそー。いい加減新しいバイト探そう。そうしよう。ところでガトーショコラって冷やした方がいいのかな?温めた方がいいのかな?しかし電子レンジはここにはない。残念!

そんな、取り留めのないことばかりぼんやりと考えていると、後ろから頭を小突かれた。


「待たせたな」

「あったかい肉まんおごれ」

「…」


帰るぞ、と一言言われ
慌てて立ち上がった。



こうして帰るのは、クリスマス前に一緒に帰ったあの時以来だった。
あの時と帰る道は同じなのに、あの時とは違う気持ちを抱きながら歩いている。変なの。

歩きながらトシにガトーショコラが入ってる袋を渡した。
上手く出来たか分からないけど、と遠慮がちに言ったら、サンキュー、と短く返ってきた。


どきどき。


「チョコ、どれくらい貰ったの?」

「あ?」

「毎年大量に貰うじゃん」

「知らねー。全部山崎に押し付けてきた」

「あたしのは山崎君に押し付けないんだね」

「アイツに腹壊されたら困るからな」


うぐっ!否定できない!
……まあそれはいい。

気を取り直し、思い切ってトシに聞くことにした。


「本命チョコは貰った?」

「…なんだよ急に」

「後生に語り継ぐから知りたいの!」

「意味分かんねー」


それから無音。
まずいこと聞いた、と思った。


だって、幼なじみって距離が心地好いって思ってたのもあたし
その距離を保ってたのもあたし
なのに、それを壊そうとしてるのもあたし。

あれ、矛盾。


「…貰った」


距離を保つのを止めた後の結末なんて、
進んでしまったら後戻り出来ないって、最初から分かってたはずなのに。
ああ、一気に鬱展開。



気が付いたら道のど真ん中で、柄にもなく大泣きしていた。


「お、おい」


涙で見えないけれど、トシが戸惑ってるのは分かってた。
でも、あたしは、構わずに泣いた。
勝手に出てくる涙の止め方を、あたしは知らない。


「あたし、トシのことが、すきなの」


そして、気付いたら、そんなことを言っていた。
ずっとずっとすきだったんだ、なんて、トシ、絶対困ってるだろうなあ。そしてごめんなさい、まだ見ぬトシの彼女さん、きっとあたしより可愛くて華奢で、


「…泣くなよ」

「だって、本命チョコ、彼女から、貰ったんでしょ?」

「…つーか」


トシはあたしの頭を撫でて、言葉を続けた。


「これ、本命じゃねーの?」

「………」



え?


「何を勘違いしてんのか知らねーが、俺に彼女はいねーぞ」

「えっ、だって、本命って」

「いや、だから…」


トシの言葉にびっくりしたからか、涙は目の奥のどこかに引っ込んでしまった。


「お前、俺のこと好きなんだろ?じゃあこれ、本命チョコじゃねーか」

「すっ…」


すき、
たった二文字なのに、どうしてあっさり伝えることが出来たり出来なかったりするんだろう。
すきなんだけど!すきなんだよ!
だけどちょっと待って、


「…気付くのおせーよ。バーカ」


ああ、だってこれって、


「…ずっと、好きだった」




予想しなかった結末、その時彼女は



「ふぇ、…ぶぇっくしょん!」

「!?」

「ぅあ、は、鼻水!トシ、ティッシュ持ってない!?」

「…」



こんな時も、お前はお前だな。

呆れながらもあたしのだいすきなあの顔で笑ってくれたから
差し出されたティッシュをガン無視、そのままトシに抱き着いた。


「ね、寒いから手繋いで帰ろうよ!」

「なんでだよ!恥ずかしいだろうが」

「幼稚園の頃、手繋いで一緒に帰ったじゃん!」

「…」




このおはなしのつづき。
これにて終了。強引なのは気にしない。
アリガトーゴザイマシター\(^o^)/】

進んだって、結局元に戻るんだって(銀魂3Z:土方)

クリスマスが終わった。


去年のクリスマスは浮ついても沈んでもいない、ありきたりかつフツーかつ凡庸で平和なもので、唯一誇れるものと言えばトシが持ってきたあのケーキだった。あれはこないだ食べたチーズケーキより美味しかった、正直リピーターになりそう。さすが長年の付き合いというか幼なじみ、あたしの胃袋の好みを分かってるじゃないか!褒めてつかわす。へへん。
結局あの後ケーキを食べて、だらだらして、ふたりでWiiをやって、冬休みの数学の宿題をちょこっと教えてもらって、外で雪だるまを作ってそれで終了。
思い返せば子どもみたいなクリスマスだったけど(子どもでももう少し有意義に過ごすかな?)、それでもロンリークリスマス回避!やったねあたし!

…なんてことをあたしの友達に言ったら、ひがみと嫉みばっかりのコメントを頂くのは想像に難くないので言わないことにする。


あたし達、ただの幼なじみ、
なのになあ。


でもその中途半端な関係をブッ壊したくて、どうしようも出来なくて、告白なんざ以っての外で以っての外で、だけど他の女に取られたくない!なんて気持ちだけ焦ってばっかり。
進んで戻って、現在地点は0。

女子か!と言うツッコミに、今なら
女子だ!
とツッコミ返すことが出来そうだ。



一定距離を保つ健全なお付き合いとはまさにこのことであった!
(いや、まだ付き合ってないんだけど)


そんなこんなで、またカップル達歓喜のイベントが到来する。





それは新学期が始まって少し経ったある日のことだった。
テスト期間も近いことがあり、学校全体がピリピリしていた。
ああ、憂鬱だ。

そんな中、家庭科の移動教室で廊下を歩いていると、たまたまトシと総悟に会った。


「あっ、トシと総悟だ」

「おう」

「久しぶりですねィ。あけおめことよろ」

「ことよろ!あんまりこっち側に来ないからねー」

「クラスが離れて土方さんが寂しがってますぜィ」

「えっ?」


トシと目が合う。
どっきーん。ただ今脈拍急上昇。だって自分の気持ちを認めてから初めて会うんだもん!認めちゃうと案外素直に出てくる感情、戸惑いながらYシャツからちらりと覗く鎖骨に目をやるけど、すぐに視線を外す(変態かっ!)。

トシは棒付きの飴を舐めていた。珍しいね飴舐めてんの、そう言おうとしたけど、トシに遮られた。


「お前、何か俺に渡すもんねーのかよ」

「…は?」


トシは至って真面目な顔をしていた。だけどあたしは言葉の意味が分からなくて疑問符ばっかり。トシに渡すもの?もしや返すもの?はたまた借りたもの?
なんだろ、皆目検討つきませんが、何かあったっけ。いくら考えても分かんなかった。


「大変申し訳ありませんが貴方様に貢ぐものなんて、下賎な身分の私は何も持ち合わせていません」

「なんだその口調」

「そーいうプレイが好きなんですかィ、土方さん」

「どんなプレイだ。テメーは少し黙っとけ」

「まあ!土方さんったら、私のことは遊びだったのですね!」

「意味分かんねーこと言ってんじゃねーよ!」


ごほん、と咳ばらいを一つしてトシは言葉を続けた。


「来週の火曜日、部活が終わるまで待ってろ」


そう言われて疑問符さらに増殖、状況理解不能。
総悟がニヤニヤしてる(気がした)ので、とりあえずローキックをかましてやった。





(来週の火曜日、なにかあったっけ?)

あたしの誕生日は8月、トシの誕生日は5月、今は2月(ちなみにテスト期間は来週の15日から17日まで)
今日は7日で、その一週間後と言えば…

言えば?


…アレ?


「ばっ…」


事実に気付いた時、授業中にも関わらず声をあげてしまった。
もちろん、みんなに注目されるよね。ついでに先生も見てるよね。


「…ば、って、もしかしてお前、俺のこと馬鹿にしたいの?それともバスケットがしたいです銀八先生、ってか?」


呆れた顔で古典の先生(銀八先生)があたしを見つめる。
…てへっ。




…で。
今日が7日、その一週間後ってことはつまり14日、2月14日が何を意味するかってのは恋愛に疎いあたしでも分かる。


バレンタインデーじゃん!


もしかして渡すもの、ってのはバレンタインのチョコなのか?アレ、あたしトシの彼女でもなんでもないけどなんであたし?
あっ、もしかして、クリスマスケーキのお返しにチョコくれってことなのか!?確かに去年のクリスマスはわざわざホールケーキを買ってきてくれたし。じゃあ別に手作りじゃなくてもいいじゃーん。お返しとかなんでもいいじゃん。なんならチョコじゃなくてもいいじゃん。マヨネーズ一本とかでいいじゃん。ねえ。
あたしとトシはただの幼なじみなんだし、気を遣うこともない。張り切ることもない。そうそう。




…とか言っといて家に帰って一番最初にやったことは、台所の棚の奥底に眠っているお菓子作りの本を探すことだった。


女子通り越して乙女じゃん、これ。



【実はこのおはなしの続きだったりする。
何年振り\(^o^)/←
トシが今わたしの中でアツい!


そして後編に続くのでありました。】

下手くそな愛情表現とキミとボク。

「いちいちうっせーな、このブス!」

「なによ、このチビ!」

「俺は今、成長期だっつってんだろ!」

「いい大人が成長期なんて夢みがちなこと言ってんなっつーの!このハゲ!」

「テメー、誰に向かって口きいてんだ!?」

「あんたよ!あんた!!もういい、勝手にすればいいじゃない!!バーカ!!」


寒い夜に、二つの怒声が響いた。



そうして彼女は旅に出る



あいつがバンドを組んで数年
あたしとあいつが付き合って数年
あいつのバンドがメジャーデビューして数年
(具体的な年数が出てこないのは、忘れてしまったから)

思い返すと、随分長い時を一緒に過ごしてきた。
つってもその大半は
他愛もないケンカで埋め尽くされているけれど。

彼氏彼女、と言うより
同士、みたいな
戦友、みたいな
そんな関係の方がしっくりくるあたし達

結婚、

意識すると、むず痒くなってくるその響き
何度も憧れ、
何度も夢見ただろう

でも、こいつと結婚して
末永くやっていけるのだろうか、
とも思う。


タバコに火をつけようとして、家に忘れてきたことを思い出した。
くっそー。


怒り心頭になりながらも
あたしのパーカーの左ポケットには
携帯電話が落ち着いた様子で鎮座していた。

月天心。

こんな時間にあたしの愚痴を聞いてくれる人なんて
あの人しかいない。
携帯電話を開いて、アドレス帳から
あの人の電話番号を調べた。


発信。



あいつのバンドのリーダーは、ケンさんと呼ばれてる人だ。
一応年下なんだけど、何故かさん付けで呼んでいる。

今、そのケンさんとあたしは
ファミレスで向かい合って座っていた。


「で、今度は何があったの?」


ドリンクバーのメロンソーダをストローでじゅるじゅる飲みながら、
ケンさんが尋ねる。


「あたしの料理をまずいって言いやがった」

「そりゃまたストレートだね」

「焼きビーフンが食べたい、って言われたから、めっちゃ頑張って作ったのに」

「へえ」

「それをあいつ、野菜が固いとか味が薄いとかぬかしやがるから」

「うんうん」

「そんな細かいこと気にしてるから背が伸びないんだよって言ってやった」

「あー、それ、地雷だね」

「うん。いちいちうるせーってキレられた」


そーいや。

先日も大家さんから
近隣から騒音の苦情が来てる
と、言われたんだった。
それをあいつに言うと

んなもん知るか!

キレた。
細かいことでもいちいちキレるから

カルシウムが足りないのかな?

そう思ったから
その夜は牛乳鍋(本当は豆乳鍋にしたかったんだけど、買いに行くのがめんどくさくて)を作ってあげた。
そしたら


「こんなグロテスクなもの、食えるか!」


って、またキレられた。
じゃあ食うな、って言ったら
うるせーブス、って返ってきたから
あたしもキレて
またケンカ。

次の日、たまたまゴミステーションで会った大家さんに
すごく嫌な顔をされたのを、覚えてる。


「もう別れたい」

「…とか言って、別れたくないくせに」


ケンさんはいつの間にか運ばれていた
出来たてのハンバーグを、ご飯と一緒に食べていた。
上には半熟の目玉焼きがこれ見よがしに乗っていて、食欲をそそられた。

あたしの頼んだパフェはまだか!


「あいつは素直じゃないからね。精一杯の愛情表現なんじゃないの?」

「、」

「俺は恥ずかしがってると思うけどなあ」


愛情。

今のあたし達には縁のないような言葉に聞こえる。
二人の間に、そんな甘ったるい感情が存在しているのだろうか?

アレ?

じゃあ、なぜ、一緒に住んでるんだろう。



と、その時だった。



〜♪



アニメ(魔法少女なんとか)の着信音。
ケンさんの電話からだ。


「あ、ごめん、電話だ」


そう言いながら、ケンさんは立ち上がり、
店の出口へ歩いていった。

こっそり見たあたしの携帯電話には、着信どころが
今どこにいる?
なんてメールも来てない。

彼氏ならちょっとくらい心配してくれたっていいじゃん!

…まあ、あたしが家を出るのはよくあることだから、
向こうも慣れちゃってるのかもしれないけど。


ケンさんが戻ってくる間、暇だったので
ケンさんが残していった、目玉焼きハンバーグを一口いただいた。
美味しかったのとお腹が空いていたこともあって、もう一口食べた。
ますますお腹が空いたので、ご飯と一緒に
ちょっと多めにいただいた。

半分くらい減ったけど、ケンさんなら許してくれるだろう。
どっかの誰かさんと違って。


はあー。


ため息をつく。
すると、視界の端に人影がちらついた。
ケンさんが戻ってきたのかな、と思って顔を上げたけど
そこにいたのはケンさんじゃなく、

あたしの
彼氏だった。


「げっ!」


思わず出たあたしの言葉に
奴はあたしを一瞥しただけで、無言のまま、あたしの正面に座った。

嘘でしょマジかよなんでこいつがここにいる訳なんでどうしてありえないありえないありえない!


家出少女、硬直。
かろうじて声を出す。


「な、」


出てきた声は綺麗に裏返ったので(それでも奴はピクリとも笑わず、無表情のままだった)
咳ばらいをして、もう一度口を開いた。


「なんで、あたしがここにいるの、知ってるのさ」

「んなのどーだっていいだろーが」


アレ?
怒ってらっしゃる?
…てゆーか、なんで怒ってるの?
アレ?あたしのせい?

疑問符だらけのあたしを無視して、
奴は目の前にあった冷めかけの目玉焼きハンバーグを食べ始めた(それ、ケンさんのやつなんだけど)。


「俺、」


食べながら話し始めたので、
あたしは黙ってその様子を見つめる。
けれど彼は、その先をなかなか言おうとしない。


「?」

「俺…」

「…」

「」

「??」


彼がこんなに歯切れ悪く喋るのは始めてだった。
と言うか、変。

すると突然
がーっと目玉焼きハンバーグを口の中にかきこみ始めた。

思ったら、
気管に入ったのか、思い切り咳き込んだ。


「げふっ!」

「汚っ!」

「げほっ、み、水っ!」


丁度タイミングが悪く水がなかったので
(安っぽい漫画じゃないんだから)
あたしは急いでドリンクバーに向かって
氷も入れず水を注いだ。

急いで水を渡すと、奴は急いで飲み干した。


「…」

「…」


なんだか微妙な間。
もやもやするので、何か喋ろうと思った時、だった。


「……俺、お前のこと、好きなんだけど」



…はあ?



一瞬、意味が分からなかった。

奴を見ると、照れ臭い表情を見せまいと
口をへの字にして、頭を掻いていた。


…あー。
そっか

あたし、この顔がすきなんだ。
滅多に見せない、
頼りなさそうな表情をしている瞬間の彼が、
すき、なんだ。


これって愛情?


よく分かんない、けど
その彼を近くで見たくて、傍にいるのかもしれない。




【ごめん最後の方意味不明\(^o^)/
声弦さん登場シーンで力尽きてしまったorz
もっと練習しないとなあ

声弦さんは愛情表現下手くそっぽいよねー笑
不器用な人、嫌いじゃないよ!
鯵缶メンバー、これにて終了!
しかしまだまだ熱が冷めやらぬので
もうしばらくお付き合いくださいませ】





(はい、もしもし)

(俺。あのさあ、あいつ、そっちに行ってない?)

(さあね)

(…なんだよそれ、ケンカ売ってんのか?)

(待ってばかりじゃなくて、たまには迎えに行ってあげたら?)

(うるせーな!関係ねーだろ)

(いい加減素直にならないと、愛想尽かして離れていっちゃうよ)

(…)

(なんなら俺が貰っちゃおうかな)

(て、テメー!何言って)

(〇〇駅のガスト、そこにいるから。早くしないと、二人でどっかに行っちゃうよ)

(…っ!)


通話終了。


「…お節介すぎたかな?」


そんな、もう一つの物語。
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