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最期まで何も言えず、終わる世界と恋心(進撃:リヴァハン♀/死ネタ注意)

声が聞こえる。

それは悲鳴だ。そして怒声だ。あるいは咆哮だ。

様々な色の声が混ざり合って、鼓膜を震わせて、脳の先端まで届いて、
ばちばちと稲妻みたいな閃光を生み出していく。

麻痺、しているのだろうか。
感情はいつだって凪の海のようだった。


ああ、汚れてしまう。


拭っても消えない、鮮血。
雨に流されてしまえ、憂鬱。
まとわり付いて離れない、悪夢に
さようなら、無。

そこにはいつだって現実があった。




「何してんだ、こんな所で」


今にも止みそうな細い雨と、聞き慣れた声が額に降ってくる。
何もしてないよ、と、言いたかったのに
声はひとつも出なかった。


「…シカトか、テメー」


ああ、違うんだ。
胸がつまる。
後ろで砂利を踏み締める音がした。


「…」


身体が熱い。
そして動かない。
辺りがぼやけて見えるのは、ゴーグルを失ってしまったからだろうか?
私はなぜ倒れている?
何が起こった?
あなたはなぜ、悲しそうな顔をしているの?

自分のことなのに、不確定要素が多過ぎて収拾がつかない状態で、
でも、生憎、煩雑な情報を整頓する器用さは持っていない。


誰かに救ってもらいたかった。
でも、誰も助けてくれないことを、私は知っている。


…ねえ、リヴァイ


いつの間にか私の隣にいて、地面に横たわっている私の顔を見下ろしている、彼。
怠そうな、けれど鋭く尖った瞳の奥には
どんな形の意志が存在しているのだろう。

不思議だ。
こんなに近くにいるのに、知覚は鈍ったままで。

すう、とぬるい風が吹く。
濡れた前髪が重たい。


「…」


雲間から漏れだした淡い光が、街を照らす。
雨はいつの間にか止んでいて。
掌に熱、拙い気持ちだけが冴えてばかりだ。


──ふと、思うんだ。この風景も、この気持ちも、全部タチの悪い夢なんじゃないかって。

なんでだろうね。この瞬間も現実なのに、どこかリアリティに欠けていて…

目が覚めたら、きっと…平和な世界の中にいて、ああ、悪夢だったね、って、キミと笑い飛ばして

…そんなことを、考えてしまうんだ



だから、ねえ。
くだらねえな、って、笑ってくれよ。



「……ハンジ…」


起き上がれない私の身体を、彼は優しく抱き上げる。
そのまま、ギュッと抱きしめられた。


ぼやけて見える、彼の表情。
呆れているのか、困っているのか、怒っているのか、
自分自身で判別出来なかったから、急にさみしくなった。

寒い。
手足の先が、凍り付くように冷たい。
脳は動いているのに、身体が言うことをきかないから
私を強く抱きしめる彼を、抱きしめ返すことが出来ない。

目尻から、涙がこぼれた。
それともこれは涙じゃなくて、雨?


「……リヴァ、イ」


なんとか振り絞って出した声は、すぐに消えてしまいそうで
けれどその声は、しっかりと彼に届いていて、


「お前、っ」


彼との距離がぐっと近付く。
ここでようやく気付いたんだ。

彼の顔が、泣きそうに歪んでいるって。


ああ、キミはそんな顔もするんだね
知らなかった

なんだか、うれしい、な。


さよなら。
キミのことが、好きだった、よ。



そう言いたかったけど、やっぱり声は出なくて
代わりに、瞳からみるみる涙が溢れた。


「っ、…!」


ふ、と彼の顔が視界から消えて
冷たい私の唇に、暖かいものが触れた。



最期まで何も言えず、終わる世界と恋心



「死ぬな…死ぬなよ、頼むから…」


ああ、
ひとりで死にたくないな
あなたと生きていたいな。


唇には熱。
頬には涙。
あなたとわたし。
ごめんねと、ありがとう。




【死ネタ書いたらなにこれせつない。
言葉遊びぶち込みすぎてなんだかよく分からん展開に…^q^
最近リヴァハンの他にもアツいカプがいるので、更新がむばる(●´∀`●)!】
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