スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

さようなら、きっとずっと(銀魂:沖神)

あの頃の僕は
忘れたくない大切な思い出さえ
雪と共に溶けていって
なくなってしまう気がした

だから
こころの中にあの日の冬の空を閉じ込めた
そうすれば
まぶたを閉じるといつも君に出逢えたから

幾つもの季節は僕を風のように追い越していって
その度に僕は嫌でも大人になっていって
たまに
あの頃に戻りたくなって
そっと
目を閉じて
こころに降り積もる
永遠に溶けない冬の地面を蹴った


そうして今日も
あの頃の君に逢いに行く




「…んで、」


ふたりの最後の日は
季節外れの淡い雪が降る真夜中
その次の日は卒業式だった

雪は朝も降っていて
折角の卒業式なのに
桜が咲いてないことにみんなで嘆いた


「なんで…っ」


小さな封筒をしっかりと握りしめて
俺は心に染み付いている
あの時見たアイツの寂しそうな顔を思い出しながら
ただ
ひたすら走り続けた


「──俺に何も言わねーで…っ」


続くと思ってたんだ
ずっと、永遠に
だから
何の疑いも持たなかった

どうしてあの時
気付かなかったんだろう


「…っ、バカやろ…」


自分の情けなさに泣きそうになる
ぎゅ、と唇を噛み締めながら
それでもふたつの足は走ることをやめなかった。





『神楽は今日、卒業式に来ない』


卒業式本番前
最後のSHRの時間
担任の口から、そんな言葉が出た
どよめく教室
ざわめくこころ
え、と
瞬時に状況が理解出来なく て


「昨日、留学先の国に帰ったんだ
決まったのが急で、テメーらに報告出来なかった…」



気付けば俺は
乱暴に席から立ち上がっていた


「総悟!」


どこからか近藤さんの声がする
それは近くで聞こえたかもしれないし
遠くから聞こえた気もした


「……、どーいうことでィ…」

「オイオイ、落ち着けって」

「あの野郎が、国に、帰った…?」


頭ん中真っ白で
何も考えられなかった

辺りを見回す
いつもの小さい後ろ姿はどこにもなかった
アイツが座っていた席には誰も座っていなくて
鼓動が早まる


ふと
ここで俺は
昨日アイツから貰った手紙の存在を思い出した

結局
手紙を貰った後
卒業式前夜祭だとか何とかで風紀委員の奴等と夜通し騒いで
手紙のことをすっかり忘れていた

急いで封筒を開けて中身を確かめる
中には1枚の便せんが入っていて
開くと、いつものきたねー字で
こんなことが書いてあった


“沖田総悟君へ

私は明日、国にかえります。

みじかい間でしたが、私と仲良くしてくれてありがとうございました。

いつかまた、一緒に遊びましょう。




大好きです。

神楽より”



次の瞬間
俺は迷うことなく走り出していた
最後方から俺を呼び止める静止の声
でも
俺はそんなのに捕まってる余裕がなかった



とにかく逢いたかった
ただそれだけだった
だから
無我夢中で走った


「…んだよ、」


何度も凍り付いた地面で滑りそうになって、
1、2回マジで転んで
それでも立ち上がって
また走った

すれ違う人は俺を変な目で見てくる
でも
人混みの中にアイツの姿はなかった


「ちくしょ…」


すりむいた手のひらがかすかに痛い
よく見りゃじんわり血が滲んでる
それどころが
空港に行く道さえ分からなくなってしまった

目の前が真っ白になる
膝が笑って、崩れそうになるのをなんとか堪えた


「どうすりゃ……」


ポケットの中にはジャリ銭ばっかり
ケータイは学校に置きっぱなし
焦りで息が荒くなる




目の前に飛び込んできたのは
よくクラスの奴らで遊んでるゲーセンやら映画館やらボーリング場やらがが入った大きな複合ビルだった

俺は急いでビルに駆け込んだ
そして
階段を使って屋上に向かった


重たい、錆びた扉を押して開ける
まだ冷たい春風が優しく髪を滑った


「…まだ」

「まだ、言えてねーってのに」

「なんで勝手にいなくなるんでィ…!」


認めた瞬間
堰を切って溢れる想い
冷えた空気に身体を震わせて
また
寂しそうな顔を思い出した


「俺…っ」

「俺は、っ…」



滲む、。

呟きは上を通る飛行機の音に飲み込まれて、


俺はその飛行機に向かって思い切り叫んだ
息を、すって、思い切り。


「バカ野郎ーっ!!」

「俺だって…」

「お前のこと、…!」


好きだ、と
もう届かない宛先不明の気持ちは
一粒の涙と一緒に落ちて消えた


「…バカ野郎は、俺…か、」


刹那、
アイツと積み重ねてきた思い出達が
急にいとおしくなった

そうして想って
また、
泣いた




そんな思い出を包む雪



繰り返す
繰り返す
あの日の後悔

それでも君に出逢えるから、と
言い聞かせて
もういない君のことを忘れないように
心の隅に焼き付けた


きっと、永遠に



【song by:サカナクション“ネイティブダンサー”
この白い雪との続編】

或る青春の一ペヰジ(SKET DANCE:ボスヒメ)

そりゃ俺はかの有名なジョン・レノンやオノ・ヨーコなんかじゃないし
箒で空を飛んじゃったりすることも出来ないし
魔法を使えるようになろうと努力もしてみたけど、
結局かめはめ波も出せずに修行が終わる始末
特別な才能を持ってる訳でもなし
ずば抜けた何かがある訳でもなし
みんなが驚く程
自分でもガッカリする程
“普通”ってやつで

ほら見ろ
財布の中も普通だ
ってか
普通どころがジャリ銭ばっかしか入ってねえ
(ああ野口様、一体どこへ行ってしまったのですか!)
ため息もつきたくなるよな
はあー
っとね。

そういや友人にスイッチとヒメコがいたっけな
だけどニックネームなんだな
彼らが外国人
もしくは宇宙人だったら
もしくは未来人
もしくは超能力者だったら
俺の生活も変わってた?


本日はムカつく程の晴天
ああ
こんな日は海にでも行って
太陽の下でアイスとか食べてーなあ
四角に区切られた部屋にはさっきからキーボードを叩く小気味いい音しか響いてなくて
その音を意識して聞いてたら
なんだか無性にどこかへ行きたい衝動に襲われて
このままここにいたら俺は腐って死にそうだ!
なんて錯覚

急になんだか空しくなって
発狂、
たまりかねて席を立とうとした瞬間、部室のドアが乱暴に開かれた




「ボッスン!スイッチ!!
海行こうや、海!!」


不意打ち
いつもの、聞き慣れた声
危うく椅子から転げ落ちそうになる


『海?』

「せや!
こんなに天気ええのに、部室でぐずぐずくすぶってるのも勿体無いやん!」


な!な!と
外の太陽みてーな笑顔で現れた女
その声に圧倒されて
一瞬、
夢かうつつか
何が何だか分かんなくなった
女は踊るように部屋に入ってきて
俺達にガキみてーにキラキラしてるふたつの瞳を向ける


「なっ、スイッチ!ボッスン!海行こうや!
この気温やし、海入ったら絶対気持ちええって!」

『だが断る』


カタカタ、という無機質なキーボードの音と
これまた無機質な合成音声が響く
なんでやスイッチ!
何で断るんや!と
さっきとは違って不服そうな女の声に
合成音声は言葉を続ける


『俺は太陽の光を5分浴びたら溶けてしまう体質なのだ』

「どこのドラキュラやねん!
お前、こないだ太陽の下で一緒にしりとりやったやろ!」

『それはそれ、これはこれ☆』

「なんでわざわざ語尾に☆つけるねん!ウザっ!」

『俺に構わず、ボッスンと行ってくればいいじゃないか』


その言葉と同時に
ふたりの視線がこちらに向いて
なんかちょっと怖かった


『そんな訳でボッスン、ヒメコと一緒に海に行ってきたらどうだ?』

「…え?あー…」


急に振られたので返答に困っていると
女がゆっくりと口を開いた


「…ボッスン、今暇か?」

「ん、まあ…暇」

「……一緒に海、行かへん?」

「…まあ、いいけど」


ぽつり、と呟くように言うと
女はちょっと嬉しそうな
照れてるような
複雑そうな表情をした


『はい決まりー☆
と言う訳でお前らとっとと部室から出てけもう戻ってくんな』

「なんやねんスイッチその言い草!!しばくぞ!」


女の誘いに気が乗らなかった訳じゃない
ただ
この気持ちをなんと言えば分からないけど
しいて言うなら
意識と現実が比例していなくて
目が開いてるのか閉じてるのか分からなくて
なんだか
夢心地、 。

こころが理解して
震えた瞬間
遅ばせながら


「…う、海に行くって!?」

「遅っ!」

と、言葉が思考に追いついた





自転車を編み出した人は神様だと思うハンドル握って
身体はあちこち揺れて
ペダルを踏んで
景色は後方に失せて
ふたり分の体重をどこまでも運んで
ただそれだけで
きっとどこまでも行ける


「ほらボッスン!さっきより遅なってるで!」

「うっせ!ヒメコこそ…もーちょい…痩せろ!」

「ギャーギャー言わんと、早よ漕げや!」

「ダメだー!もう疲れたもうヒメコ交代!」

「なんでや!なんで女がチャリ漕がなアカンねん!
これでもアタシ非力なんやで、かよわい乙女なんや」

「誰が…かよわい乙女だっつーの!!」


ぎゃあぎゃあ言いながら海岸線の歩道をつき進む
隣には空の色と負けないくらいの青い海がいて、
ミラーボールみたいな太陽がいて、
キラキラと水面が輝いて
浜辺はジリジリと焦げて
季節の始まりを静かに告げて

まるでそこは真夏のダンス会場
くるくると目が廻りそうになっても
今日は夜まで踊りたい気分だった


「もうちょいやん!頑張り!」

「分かってるっつーの…っ、ほら!着いたぞ!」


旅の終着駅は輪郭のぼやけた波打ち際
女は軽やかに自転車を飛び降りて
海の方に走りながら靴を脱ぎ捨てそこら辺に放り投げる

次の瞬間、
鮮やかなステップとジャンプで
水飛沫を撒き散らしながら
海に飛び込んでいった


「ひやー!冷たっ!
でも気持ちええ!

ボッスーン!はよ来いや!」

「うっせ!ちょっとタイムだタイム!」


波は太陽の光を受けて
揺れてよれて
ゆらゆら
きらきら

少しだけ息を整えて
女が待っる波打ち際まで
踊るように走った


「ぎゃーっ!有り得ねー!冷たっ!」

「しばらくしたら慣れるって!
ほら!」

「うわ!水かけんな…って!口に入った!しょっぱっ!!」

「もっとかけたるー!」

「ちょ、おま!」


いつの間にか俺の中に渦巻いてた陰鬱な気持ちは
波間にさらわれてどこかへ消え失せてしまっていた

ああ
こんな毎日もいいかもしれない、なんて



ドルフィンスルーでダイブイン!



【song by:ASIAN KUNG-FU GENERATION“稲村ヶ崎ジェーン”

SKET DANCEから初ボスヒメー
この微妙な友達関係がすき!】
前の記事へ 次の記事へ
カレンダー
<< 2010年03月 >>
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31