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曖昧だけどひとつだけ言えることは(銀魂:…銀時)

脳の中か目の奥か分からないけれど、どこかで何かがバチっと発光した感覚に陥って一瞬だけ息が詰まって呼吸困難になる。けれど次の瞬間にはそれぞれ自分の役目を思い出したらしく心臓はどきんどきんと音をたてて動いていて肺は空気をひたひたと満たして、それからぐるぐると耳元で反響する声
その言葉の本意が知りたくてゴミ箱の後ろからそっとあの人の様子を確かめる。人混みの中に映える銀髪の髪がそよ風で揺れて綺麗だった、  あ。


『(あの人…)』


その先の思考を紡ごうとして遮られたのは目線の先にいた人物が自分の顔を掌で覆い、ふいと後ろを向いて足早に去っていったからだった
ごくり、と口内に溜まっていた唾を飲む。その小さな音がやけに煩く感じて細く息を吐きもう一度銀髪の男の人を探してみる

あたしの目に、もうその人の姿が映ることはなかった。




「生きてた、」


そう彼は言った。

それは聞き間違いでも空耳でもなく、そして彼は



『(泣いて…た)』






夢を見た。いつか見たのと同じ夢を。
夜が潜む夕暮れの橙色、真っ赤な鮮血の中に伸ばされた掌とすり抜けていく掌、どこかに落ちていくちっぽけなあたしの身体にあたしの名前を叫ぶ銀髪の人


「…──、───っ!!!」


そしてあたしも彼の名を叫ぶんだ。必死に、届け届けと祈りながら。


『 、!!───…







突然、脳裏でぶつん と切れる擬音がした。と同時にあたしの目が見開かれる
首筋に伝う汗を拭いながら辺りをキョロキョロと見渡してみればそこは荒んだ戦場ではなく自分の寝室で、ほっと安堵の溜息をついた。


『ゆ、め…』


言いながらごろんと寝返りを打って障子の隙間から空を仰ぐ。空はすっかり真っ黒で星達が申し訳ない程度に瞬いていた
上体を起こしたその刹那、軽い頭痛と目眩がして顔をしかめる。風邪でもひいた…かな


『…』


夢の中であたしは誰の名前を叫んでいたのだろうか。さっきまで見ていた夢を巻き戻しして再生してみるけれど自分が叫んだ言葉も思い出せないどころが相手の顔すらぼやけていてイライラ、


『…っ、なんで…』


もう少しで全てを取り戻しそう、なのにいつまで経っても何も掴めないもどかしさに嫌気がさす
せめて夢に出てきたあの銀髪の人の顔さえ、名前さえ分かれば、



…銀髪…


そんな時、ふと思い出したのは夕方出逢ったあの銀髪の人だった。もしかしたら彼は何か知ってる、かもしれない。


『(あの人は「生きてた」って言った)』

『(あれはあたしのことなの?)』

『(…なんで、)』



『、泣いてたんだろう…』






急に、逢いたいと思った。

頭の中がぐちゃぐちゃで
誰かに何とかして欲しくて
でもあの人じゃなきゃ駄目な気がして
どうしても逢いたくて
きっとあの場所に行けば逢える  そう思って

気付けばあたしは夜の街を走っていた。





『っ、はぁ…』


夜だからかもしれないけれど足元にある白い花は少し小さく見える
息を整えながらぐるりと視線を一周させる。当たり前、と言ってしまえばそれまでだけどこんな真夜中に出歩く人がいるはずもなくあたしは壁に手をついてがくりと項垂れた。


『……いる訳、ない…か…』


誰にともなく、掠れた声で呟く。次第に何やってるんだろうと自己嫌悪の念がくつくつと沸き上がってきて泣きそうになったけど我慢する
もうここにいる理由もない、そう思って顔を上げた  その時だった。




「こんな所で女が何やってんだぁ?」


背後から聞こえた声に驚いて振り返るとそこにいたのは怪しい笑みを浮かべて刀を構える男達
もちろん全員初対面な訳で、あたしはぴきりと固まってしまった。(え、ちょ、嘘!)


「おお、よく見りゃいい女じゃねーか」


一人の男があたしを見て舌なめずりをしながらじりじり近付いてくる。ようやく我に返ったあたしはこの場から逃げようと試みたけれど男達はあたしを囲うようにして並んでいるし皆愛用の刀を腰に差してるし、それにあたしは女でこいつらは男で、

どうしようどうしよう!なんて後悔している暇もなく男の手があたしの顎を掴んで乱暴に上を向かされた。


「斬るには惜しいな、」

「遊郭にでも売って金にするか?」

「その前に俺らの相手でもしてもらおうか、姉ちゃん」


あたしの着物に手がかかる。叫ぼうにも恐怖で声が出なくて反射的にぎゅっと瞳を閉じた、直後のことだった。




「うぎゃああぁぁっ!!!」


耳をつんざくような悲鳴、次いであたしの顔にびしゃりと飛び散る生温い液体、驚いて目を開けると信じられない光景が飛び込んできた。





心臓を刀で貫かれている目の前の人間
驚愕の表情を浮かべる男達
刀を伝って滴る血液
それを楽しそうに眺めている、天人。



何が何だかさっぱり理解出来なかった。




ああ、これからどうなってしまうのか、
(そんなのあたしが一番知りたい!)



「ヒヒッ、ダメじゃぁん、それは俺達が先に見つけたんだからぁ」


そう言った天人の顔は暗くてよく見えなかったけど
不気味なくらいの笑顔で歪んでいたことだけは分かった。



主役は貴方なのか私なのか、それすらもの続きっぽい話。
区切りが悪いので…中途半端だけどごめんなさい!

今回銀さん要素ない…orz で、でも次は銀さん活躍するから!多分!←】
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