これの続き。
三年の時を越えて…!!
今だからこそ(笑)
一人称と口調は脳内変換すると良いです。
相変わらずものっそいSHの影響受けてる。




「ベテルギウスは死の運命に捕らえられている」

 身を切る寒さの中、満天の星空を仰ぎ見て呟く。その横顔はどこか寂しいものだった。

「ベテルギウス?」

「オリオンのα星さ、ほら、あれ」

 オリオン…。ずっと昔、大切な人とそんな話をした気がする。
 相変わらず私には意味のある点には見えない。私は星屑では無く、地上に生きる炎[ヒカリ]をずっと見て来たから。

「近い将来、超新星(スーパーノヴァ)を起こしバーストする。生命を殺す光を放ちながら」

 頭に過ぎるのは死の運命に逃げずに真っ向から挑んだ人の姿。
 戦い、驕り、そして朽ちていったあの人の姿。
 私の表情に気付いたのか、哀れむような視線を向けた。

「その喪失は辛いかい?なら、それは君にとって意味のあるものだ」

 囁き、語りかけるかのような優しい声。

「…ねえ、君。意味の無い事なんて無いのだよ。その喪失も悲しみも全ては君のもの。慈しい感謝なのだから、否定してはいけない。一番の悪しきは心の闇を見ず、自らの業を否定し、逃げる事。解るかい?喪失[ロスト]からは逃げられない。受け入れるんだ。その喪失を。生きている意味を答えられないのは罪だよ」

「解ってる。逃げていてはいけない。オリオンの様に」

 あの日語った神話が頭を過ぎる。あの人はもう逃げないと言った。

「…あの人がベテルギウスなら、君はアンタレスだ」

 星空を眺めたまま微笑み、呟く。

「次から次へと、詳しいのですね。して、アンタレスとは?」

「星ばかり眺めていたから。蠍座のα星さ、それもまた近い未来、超新星の可能性を持っている」

「…運命かしら」

「そうかもしれない」

 だってあの人を迎え打ち、トドメを刺したのは紛れもない私なのだから。
 ずっと追っていた。その背に向けて。
 二度と巡り合えないとしても、その事実は幸せなものだった。

「次は一緒に流星群を見よう。きっと綺麗だよ。お話も沢山してあげる」

「違う方角を見るとか、失態は止めて下さいね」

「そんな事しないよ」

「ねえ、貴方。私がアンタレスなら貴方は何?」

「冥王星」

「どうして」

「惑星ですらなくなった半端者。野望は果て、零落し、屋根裏で死の幻想を魅せる事しか出来なくなった哀れな冥王さ」

「そう。ふふ、やっぱり運命かしら」

「そうだね」