今年もこの日がやってきた。子どもの頃からずっと忘れられない日。あの日の沖様を想像するだけで胸が締め付けそうになる。彼が生きた31年よりも長く時は過ぎ、当時から世の中は様変わりしていった。

 今年のご命日は日本映画専門チャンネル『俺たちは天使だ!』や、時代劇専門チャンネルでは翌日深夜に『闇を斬れ』最終回の放送。『闇を斬れ』はとても良い役なのよ。

徳川十代将軍・家治の治下。老中・田沼意次(三國連太郎)、若年寄・意知(原田大二郎)親子の悪政が罷り通り、庶民は貧困と窮乏のドン底にあえいでいた。そんな権力に繋がる悪を断つべく、名君白河藩主・松平定信(沖雅也)の公用人・兼子八郎左衛門(尾上松緑)の密命を受けた隠密組織が、秘密裏に諸悪と対決、破滅させて世直しを図る、勧善懲悪時代劇。江戸の長屋に住む謎の素浪人・鳥飼新次郎(天知茂)を筆頭に、按摩の安斉(山城新伍)、小唄の師匠・渚(坂口良子)、金魚売りのテツ(三浦浩一)の4人に、甲斐犬・火山を加えたメンバーで悪を斬る。

 コピペだけど、こんなストーリー。私の地元のお殿様・松平定信公を沖様が演じてくださってて本当に嬉しいよ!

 松平定信は日本で初めての国立公園南湖(なんこ)公園を作った。武士も農民も関係なく自由に楽しめる憩いの場にしようと城下に設けた。南湖では趣味の和歌を詠んだり、絵を描いたり楽しんでらした。開園からあるという南湖だんごの美味しいこと!農作物が不作の年は城内の贅沢を慎み貧しい町民に備蓄米を渡し飢えから救った。そして、現在も続く名物白河だるまを作らせたのも松平定信。この方についてはとにかくいい話しか出て来ないお殿様!
 沖様の松平定信をたくさん観たかったのだが、当時は交通事故後であったため出番が少なかったのが残念。悪政を止めるために立ち上がったというストーリーは正しく松平定信そのまま。沖様にぴったりの
役柄!天知茂先生や坂口良子さんらとの絡みがないのがちょっと残念。

 亡くなられても映像がたくさん遺されているので本当に有難い。いつも思うことだけど、それぞれまったく違うお芝居をなさってたのが素晴らしい。次はどんな作品に出会えるだろう。