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神域第三大戦 カオス・ジェネシス15

「ね、教えてちょうだいな、貴女の槍について」
「うーーーーーーーーーんと……教えても別に構わないのだけれど、めちゃくちゃ説明がめんどくさいというか…なんというか……」
「短く話せないの?」
「短く話すとなんか君らと戦争になりそうな気がして」
「なぁに、それ」
メイヴは凪子の言葉にきょとんとした顔をする。だがすぐに、いたずらっぽく笑みを浮かべる。笑っているはずなのに、目には有無を言わせぬ力が宿っていて、あぁこれは誤魔化せないなと凪子は内心ため息をついた。
「まぁいいわ、なら食堂で食事しながらにしましょう。マスターとマシュも同席なさい」
「食事……食事!?」
だが面倒な気配に落ち込んだ凪子の気持ちは、続いたメイヴの言葉にミサイル発射のごとく浮上する。唐突にテンションをあげた凪子にメイヴら3人はぎょっとしたように飛び上がった。
凪子は思わず藤丸の肩を掴んだ。
「ご飯あるの??」
「えっ…あっ、ハイ、それはさすがに、多少なりとは…」
「マジか!!いや、人間がいるんだから食料は必須か!」
凪子はともかく、普通の生物にとって食事によるカロリー摂取は生存のために必須な行為である。そうであるならば、人間のいるカルデアでは大なり小なりなんらかの食事が供給されているのは当たり前のことであろう。
そんなことも想像できない程度には、凪子は食事から遠ざかっていたのだ。
「やった〜!!世界燃えてからろくなもの食べてないんだ、楽しみすぎる」
「えっ………あっ、そうですよね!?生物がすべて燃えているなら食事などとりようもない……。え、貴女は今までどうやって…?!」
マシュが凪子の言葉にぎょっとしたように反応する。向こうも向こうで、今さらのように気が付いたようだ。もしかしたら凪子が食事をする、ということが意外だったのかもしれないが、その可能性は低いだろう。
凪子は両手をあげて肩をすくめる。
「いやまぁ、確かに本来私に食事は要らないんだけどさ。エネルギーだけでいうなら大気のマナを吸収すればいい話だから。でもほら、必要なエネルギー点滴で摂取してれば食事要りません、っていうのは、あれだろ?」
「まぁ…確かに……?で、ですがその…ワイバーンのお肉とか、そういうものになってしまいますが」
「ワイバーン食べてんの?すごいね、まぁとかげ肉みたいなもんでしょ、イケるイケる。はやくはやく」
「あ、まってまって」
凪子は説明の面倒くささも忘れて、食堂へ案内しろと3人を急かしたのだった。



 「おや、新顔かね」
「(あーら見覚えのある顔がいる)」
食堂にいくと、なぜかカウンターにはサーヴァントがいた。3体いるうちの一人に凪子は見覚えがあった。確か以前見学した聖杯戦争にも参加していたはずだ。なるほど、そういう意味では確かに、相当数のサーヴァントを召喚しているらしい。
じ、と自分を見る視線に気がついたか、褐色肌のサーヴァントはわずかに眉間を寄せた。
「…失礼だが、どこかで会ったかね?」
「あぁ気にしないで、特に意味はないよ」
「…?そうか、まぁいい。昼食かね、マスター」
「うん。こっちはエミヤ、こっちの人は春風凪子さん。よくわからないんだけど、新しいサーヴァント…になるのかな…??」
「曖昧だな。…あぁ、もしかして敵襲の騒ぎになっていたあれか?敵ではなかったのか」
「暫定だがな。ね、ね、それ何??」
凪子は適当に問いに答えながら、ずい、とカウンターから身を乗り出して厨房を覗いた。何かのシチューだろうか。美味しそうな臭いが鼻孔をくすぐり、久々の生の食事に唾液線が刺激される。
うずうずとしている様子を見てとったのか、エミヤと呼ばれたサーヴァントは、ふむ、小さく呟くと小皿にそれをよそい、凪子へと差し出した。
「ちょうど味見をするところでね。お願いしても?」
「いただきます」
凪子は迷わずそれを受け取り、口へと運んだ。久方ぶりの食事は筆舌に尽くしがたく、言葉にならなかったが、その分顔に出ていたのか、エミヤは満足げに頷いていた。
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