作 成田良悟
メディアワークス文庫


成田先生の初のメディアワークス本となります。
あとがきでもありますように、『バッカーノ!』『デュラララ!!』と同じ世界感内の話となっております。
とはいえ、今回のオツベルは比較的平和、という程でもないですが、超人的な異能力者等の話ではなく、至って一般的な(家柄的には一般の枠にはあてはまらないかもしれませんが)雑誌編集長であるオツベルこと乙野辺さんと、そこにやってきたどう見てもカタギではない喜佐さんの話。
このオツベルと喜佐さんの組み合わせがすごく好きです。喜佐さんの人柄があいまってなんだかすごく萌える組み合わせですよ!!続編が出る場合は出来ればこのまま美味しい関係が続いてほしいものです。
(まったくの余談ですが、昔『ダブルブリッド』を読んでいたのですが、一時期その暗さに読めなくなった時がありまして…)

今回モチーフ?ともなった宮沢賢治の『オツベルと象』恥ずかしながら読んだことがなかったのでこれを機に青空文庫で読んでみました。最後の象の気持ち、或いはオツベルが良い悪人だったら、というものに改めて成田さんの描く先が気になりました。
あ、あと第三者の語り部の正体がはっきりするのは成田先生にしては珍しいのでは?今回は登場人物が少ない方なのでなんとなくの予想はついてました。個人的にも樫井さん好きです。

時折『バウワウ』の話とも接点があったのは嬉しかったです。大橋建設中止の理由だとかがすっきりしましたが、あの半グレはあまり記憶にないですね…多分大橋に来てすぐにやられるチンピラとかかな?
あといつも『バウワウシリーズ』と勝手に読んでいるのですが、正確には『越佐大橋シリーズ』みたいで。失礼致しました。

次巻の発売を期待しております。