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サラダ記念日

作 俵万智
河出文庫


以前伯母と本の話題になった時に伯母が愛読していたという本を「今度読んでみますねー」と言いつつ忘れていたら、有り難いことに送って下さったので読破しました。

普段はもっぱら小説ばかり読んでいる自分にとって、俵万智さんの短歌は新鮮でした。
これまでの短歌のイメージといえばどうしても古く、暗いものだったのですが、この本を読んでその爽やかさに驚きました。
『サラダ記念日』が出版されてのは1987年ともう20年以上も前。それなのに今にも通じる、この若く、さばさばとしている恋愛の短歌。決して後味が悪くならない不思議さ。
季節の単語や、口語でのやわらかさ。
堅苦しくないので、一度短歌を読んで容易にその風景が思い浮かべることが出来ます。
これを当時24歳という若さに書かれたのですから、すごいとしか言いようがないです。

『白猫と目が合っている路地の裏 時の割れ目と思う下町』

『ふうわりと並んで歩く春の道誰からも見られたいような午後』

状況が脳裏に浮かぶような、何気ない日常。それでいて微笑ましい短歌。好きだと思ったものを一部抜粋させて頂きました。

風景とその意味を考えるのになんだか楽しくなってました。描写も成程と思うものばかりで、とても勉強になりました。

普段読まないジャンルもこれから読んでみようかなと思うような一冊でした。

カゲロウデイズ−in a daze−

作 じん(自然の敵P)
KCG文庫


某動画で話題の小説を拝読いたしました。
元々は動画の方でアップされている曲や、今回出たアルバムに収録されている曲の世界をノベライズということですごく気になっていた一冊です。
カゲロウプロジェクトの曲はどれもストーリー性があり、ほのぼのするものや、あっとひっくり返されてしまうものなどさまざま。
それがこうして文章として形になるんですからじんさんってすごいなーと思います。

曲の中の人物達がこうして名前が付き、表情豊かに動く中で衝撃がひとつ。
『想像フォレスト』『如月アテンション』に登場するフードから髪を垂らした少年がですね、以前からずっと気になっていたんですよ。小説になるにあたって名前が『キド』だと判明したんですけど。

なんと女性だったのです!!!!

…………だがそれもいい!!イケメン!!
はい、という訳ですね、さまざまな曲が交差するカゲロウデイズの二巻目に超期待ですね!!
個人的には行間空きまくりなのがちょっと気になりました。うーん間なんですかね?

そんなとこです!!

燦−2 光の刃−

作 あさのあつこ
文春文庫


昨日1巻を読み終えて2巻を買い、もう読み終わってしまったんだぜ…。
あさの先生続きを…!!!

跡継ぎの急死により、世嗣となった圭寿様に付きそい江戸に向かった伊月。奇しくも同く江戸へ行く燦。
これまでとは異なる生活の状況下で、二人は再びまみえることとなります。

前回までは伊月や燦の出生についてがメインでしたが、今回は江戸という地で、いままでの悠々自適の生活とは違う縛られた生活となった中での伊月。そして圭寿様ですよ!!
なんか圭寿様ってば、ただの気楽な次男かと思えばしっかりなさってたんですね!!
伊月を守り守られ的な主従ですごく可愛いです。

あとこれちょっと気になったけど、やはり前回のあのシーンは最後までいってたみたいですね燦…。
や、あそこでの場面展開やからまあ、ね!←

この燦は文庫の為の描き下ろしみたいで…しばらくは出ないかなー…。
次の巻がまたどのようになっていくのか楽しみです。

燦−1 風の刃−

作 あさのあつこ
文春文庫


柚菓さんにおすすめして頂いて読み始めましたー。

江戸から遠く離れた田鶴藩に現れた刺客・鷹を操り剣も達者な謎の少年燦と、その藩の筆頭家老の嫡男・伊月の隠された宿命の話。

あさの先生はMANZAIぶり…?なので5年ぶりくらいなのですが、これの前に坂雲を長く読んでた分もあってすごく彩り豊かに感じました。状況風景だとか、人の感情だとかが。
表紙のイラストもまた…お綺麗でというか…うん。
200頁とちょっとなのでさらさら読めました。
この燦は最近始まったシリーズものらしく、すでに次の巻も読んでいるんだぜぇ…。
シリーズものってことはこれからまた波乱があるんだろうな…と思うと、主人公の伊月にはがんばってほしいですね。燦も主人公…?かな。
この二人の素直さとか諸々が早くも読む側の心を掴んでます(笑)

次の巻ではまた苦難がありそうで…はらはらしながら読みます!

天地明察

作 冲方丁
角川文庫


9月に映画が決まっている天地明察。
実は原作の前に、コミックの方を読んでおりまして(天地明察コミックは現在2巻まで発売中)そちらを先に読んで面白いなーと思い、原作である小説に手を出してみました。

今回この冲方先生の小説は初めてなのですが、なんと文章の爽やかなこと。元がライトノベルの方なだけあって、決して重苦しくなく、またライトノベルに見られがちなくどさもない(個人的な見解として)、さらさらと読み進められることが出来ました。
最近読んだ中では、山口幸三郎先生の『探偵・日暮旅人シリーズ』にも似た軽快さと、拝読後の清涼感です。主人公の人柄や、登場人物達の朗らかさはこちらの方が和みますが(笑)

ただ、主人公の渋川晴海の若い頃に重点を置いている分、後半は読んでる側としてペースが早いように感じました。見送る側であった晴海の心境等をもう少し詳しくあって欲しいと思う反面、人に人生を納めるにはペース配分も必要なのかな、と思いました。まあ何を偉そうに、すみません。
そんな理由もあり、文庫の上巻の方が好きです。晴海の苦労だとか失敗だと学ぶ喜びとかが溢れていて、下巻では政治的なあれこれが含んできます。
また、家光後の時代が少し苦手な自分としては大変わかりやすくてよかったです。

あとこれは本当に超個人的なんですが、この天地明察(文庫)の後に解説ない方がよかったです。解説者の養老孟司先生の文章はこの解説が初めてでしたが、解説としての文章の割には幾分か我が前に出過ぎているように感じました。それが読んだ後の清涼感を邪魔しているように思います。

主人公への愛着が深まる話であり、この話がどのように映画化されるのか。
晴海役が岡田君(V6)な辺りすでにちょっとイケメンすぎない…?(笑)とか思ってしまいましたが、文章ではちょっと想像が難しかった問題や天文的な場面がわかりやすくなることを期待しています。

坂の上の雲 八

作 司馬遼太郎
文藝春秋


松山に行った際、坂の上の雲ミュージアムで文庫版の一巻を購入し、読み始めてから気付けばもう三年近くも経っていました。
それがようやく、読み終わりました。
久しぶりです。こんなにも長編を読み終えたのは。
正直読むのが辛い時期もありました。正岡子規が亡くなった辺りです。それまでの秋山兄弟の成長や子規と真之のやりとりが楽しかった分、主人公の一人でもある子規の死は辛く、そこからは暗く苦しい戦争がメインになるのだろうなと思うと、なかなか続きに手が出せないでいました。
ドラマも原作を読んだところまでは見て、まだずっと録画だけ残して見れないでいました。
放置していた期間、他の本を読んだりしていましたが、どうにも気がかりで、その後の秋山兄弟はどうなったのか、やはり最後まで読んでその終わりを知るべきだと思い、文庫の続きを購入出来たのは今年になってからです。子規の死を読んでから丸二年が経っていました。

日露戦争がメインの巻が続き、遼順、二〇三高地、バルチック艦隊。
坂の上の雲は小説ではありますが、作者の司馬先生が実際に生存された方々からお話を聞いたりしたものが基にもなってますので小説であると同時にノンフィクションの戦争記にもなっているのです。
二〇三高地の場面では、小学生の頃に父が見ていた映画『二〇三高地』の地獄のようなシーンが何度も何度も思い出されました。
真之がバルチック艦隊との戦闘の後に見た艦内。
これらは戦争というものがなした事実なのでしょう。
たくさんの人が国の為に闘い、命を落とした時代。
人が亡くなる小説というのは星の数ほどあります。けれど、これほどまでにその一つ一つが重く感じる話もないでしょう。そこには確か実際にいた人の命なのですから。

最後の巻では『雨の坂』というタイトルで締めくくられています。
日露戦争が終わった後の秋山兄弟、そして子規亡きあとの家族についてを、過分なく淡々と綴られているのを読み、胸をつくような寂寥感でいっぱいになりました。
兄の好古は最後まで我が道をいくような人でしたが、弟の真之の戦争への思いと母への思いを見た上での最期は、読んでる側としてお疲れ様、と言いたくなる気持ちでした。

随分と真面目な感想になりました(笑)
しかしこの読み終えた後の感情を言葉にするにはまだまだ足りていないように感じます。
最後に、この『坂の上の雲』を紹介してくれた友人に感謝を述べて、終わります。


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